4人組バンドのフレデリックが6月29日、国立代々木競技場第一体育館で『FREDERHYTHM ARENA 2022〜ミュージックジャンキー〜』を開催した。3月に3rd Full Album『フレデリズム3』をリリースし、その後も大型フェスの出演や対バンライブなど精力的に活動。そして、2018年の神戸 ワールド記念ホール、2020年の横浜アリーナ、2021年の日本武道館公演に続いてアリーナクラスでのステージとして選んだ場所は国立代々木競技場第一体育館だ。ライブでは進化した4人のグルーヴを存分に浴びることができた音楽愛に満ちた空間。アンコール含め全18曲を披露し、大団円を迎えた。4度目のFREDERHYTHM ARENAの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

熱い夜にしようぜ!

ライブの模様(撮影=渡邉一生)

 6月29日(ミュージックの日)、多くのファンがこの大舞台で演奏するフレデリックの姿を、目と耳で確認しようと続々と集結。改めてこの会場の大きさと訪れたオーディエンスの人数に圧倒される中、いよいよ開演時刻になり会場は暗転した。ワクワク感を増大させるオープニング映像からメンバーがステージに登場。

 1曲目を飾ったのは日本武道館公演でラストに披露された「名悪役」だ。ダンサブルでメッセージ性の強いナンバーでオーディエンスを席巻。三原健司(Vo.Gt)が「熱い夜にしようぜ!」と呼びかけ「TOMOSHI BEAT」に突入し、早くもクライマックスのような盛り上がりを見せる。オーディエンスのクラップも既にエンジン全開といった様子で盛大に会場に響き渡っていたのが印象的だ。そして、アグレッシブな「蜃気楼」は間奏での一体感のある演奏では、我々の高揚感を高め、序盤から隙のないセトリで楽しませた。

 「お越し下さりありがとうございます」と挨拶すると、客席から大きな拍手が降り注いだ。アルバム『フレデリズム3』で自分達の指針となる音楽を届けることに成功。今度はライブでこの音楽を届ける場所として国立代々木競技場第一体育館を選んだという。「純粋に俺たちの音楽を全力でやりきります。あなたもそうであってください。一対一でやりましょう」と、未来へのイメージをより強固にするかのように届けられた「VISION」は、彼らの決意表明とも言える力強さを放っていた。

 オーディエンスのクラップに健司は「スゲーな!」と声を漏らす。始まったのはオリエンタルなイントロが印象的な「かなしいうれしい」。感情という人間らしさを楽曲に閉じ込め響かせる4人。三原康司(Ba)がシンセベースにチェンジし、独特なグルーヴ感で魅せた「Wanderlust」へ。南国の景色がステージ後方のビジョンに映し出される中、弾けるようなビートで会場を盛り上げた。

 煙が充満するステージ。届けられたのはライブでお馴染みの「うわさのケムリの女の子」。ライブではその演出にも注目が集まる一曲だ。ブルーのライトに照らされるステージ、唯一無二の世界観と心地よいミディアムチューンに酔いしれる。

フレデリック(撮影=小杉歩)

人生最高の日を更新したい!

 ライブ中盤では、ここで健司が「私は(ステージ)袖であなたたちの演奏を見ておきます。頑張ってください」と言葉を残し、ステージを後にする。花道の先に伸びたセンターステージで康司、赤頭隆児(Gt)、高橋武(Dr)の3人でニューアルバムから「YOU RAY」を届けた。この曲は康司がメインボーカルを取る稀有なナンバーだ。康司は健司とは趣の違う歌声で、切々とメロディを紡いでいく。

フレデリック(撮影=小杉歩)

 続いて3人がセンターステージで見守る中、健司が弾き語りで叙情的な雰囲気を持つ「サイカ」を披露。自分自身の経験と重ね合わせ、個性を認め合うというメッセージを感情的な歌声で届ける。そのパフォーマンスは空気が一変し息を呑むような瞬間で、「YOU RAY」と「サイカ」を披露したこのセクションはフレデリックの進化と多様性を感じさせてくれた。

フレデリック(撮影=小杉歩)

 ライブは後半戦へ。再びメインステージに戻ってきた4人が奏でたのは「Wake Me Up」だ。ヴァースからサビへの爆発力がたまらない一曲で、静と動をダイナミックに表現し、バンドが繰り出すサウンドにオーディエンスも全力で手を振り上げ、応えているようだ。この躍動感を担っていた高橋のビートも印象的だった。

 続いて和田アキ子に提供したことで話題となった「YONA YONA DANCE」を披露。<ミラーボール輝いて 心照らしあっていく>という歌詞と連動しミラーボールが光を反射させ、視覚的にも大いに盛り上げ会場の一体感も高まっていくのが感じられた。そして、ノンストップで届けられた「KITAKU BEATS」は、グイグイと迫り来るビートがテンションを高めてくれる。

 ダメ押しともいえる盛り上がり必至の「オドループ」でボルテージは最高潮。健司は「人生最高の日を更新したい!」と言葉でもオーディエンスを焚き付ける。この曲でお馴染みのクラップはこの日1番のシンクロ率を見せてくれたといっても過言ではない。終始テンションの高い演奏で、赤頭は花道を通ってセンターステージでギターソロを披露し注目を集めた。

音楽を好きでいてくれてありがとう!

フレデリック(撮影=渡邉一生)

 健司は「今あなたに届けたい新曲をやって帰ります! 今が一番格好いいバンドでありたい、だから一番格好いいと思っている曲で終わりたい」と、アルバム「フレデリズム3」1曲目の「ジャンキー」を投下。女子学生の姉妹ダンサーの登場に加え、会場のスタッフが突如ダンサーに変わるサプライズも。健司は会場の盛り上がりに「最高だよ!みんな」と投げかけ本編を終了。

 アンコールに応え再びメンバーがステージに登場。全国ツアーを9月15日からスタートさせることを発表。みんなと目を合わせ、会って音楽を届けることの大切さに改めて気づいて、フレデリックは自身初となる30本のツアーを敢行することを決めたという。健司は「走り続けるフレデリックでありたい」と、バンドの勢いと意気込みが詰まった「サーチライトランナー」を披露。なんとも快活なビートで我々を楽しませてくれた。

 健司は「音楽を真剣に目の前にいる人にちゃんと届ける。また大きくなってすごく格好良くなったフレデリックを届けられたらと思います」と想いを伝え、ラストは「熱帯夜」でライブを締めくくった。

フレデリック(撮影=小杉歩)

 音楽の持つ力を感じさせてくれた約2時間。明日を生きるための活力を与えてくれたパフォーマンスだった。「音楽を好きでいてくれてありがとう!」と投げかける健司の嬉しそうな表情が印象的で、フレデリックは2022年下半期も音楽を通して楽しいことを提供してくれることだろう。ミュージックジャンキーの旅はまだまだ始まったばかり、4人が提示する未来の景色を期待して待ちたい。

セットリスト

01.名悪役
02.TOMOSHI BEAT
03.蜃気楼
04.VISION
05.かなしいうれしい
06.ANSWER
07. Wanderlust
08.うわさのケムリの女の子
09.ラベンダ
10. YOU RAY
11. サイカ
12. Wake Me Up
13. YONA YONA DANCE
14.KITAKU BEATS
15.オドループ
16.ジャンキー

ENCORE

En1. サーチライトランナー
En2.熱帯夜

「FREDERHYTHM ARENA 2022〜ミュージックジャンキー〜」プレイリスト
https://A-Sketch-Inc.lnk.to/Fre_Arena_MJ0629

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