ブルーハーツ結成30周年、解散後も影響を与え続ける魅力とは パンクの特性から読み解く
日本にパンクロックを定着させたブルーハーツ
パンクサウンドの分かりやすさ
楽曲面で意外にも驚く点があり、パンクロックはそんなに尖った危険なコアな音楽という訳ではなく、とてもわかりやすいという明確な一面を持っている。ブルーハーツの曲も、セックスピストルズの曲も、聴いたあと口ずさめるフレーズが必ずといっていい程ある。一度聴けば、どこかしらの部分は耳に残るという良き大衆性を伴っている。そして、最小限の楽器構成や音の数から爆発力と疾走感を限りなく出せるのは、パンクロックの最大の特徴であろう。棒立ちして聴いていられなくなり、心の奥底にある衝動を直接揺さぶられてしまう。
根底にあるパンクの本質はブレずに、温故知新の精神も併せ持つという事により、社会にとって根深い文化となるパンク音楽。批難や孤立を恐れずにと言ったら大げさかも知れないが、純粋に表現し続けるというその姿勢の大切さをパンクから感じる事が出来る。1970年代であっても、ブルーハーツが結成してから活躍した時代であっても、そして現在でも、パンクロックやブルーハーツを通じて音楽という表現の本質と真実を叫ぶ。ブルーハーツの音楽には正にこういった気持ち良さがある。
とても大切な事をブルーハーツはストレートに歌い、赴くままに自由に音楽で表現する。ブルーハーツのギタリスト真島昌利の演奏は、正に直球で感じる恰好良さがある。シンプルに和音を掻き鳴らし、はっきりと伝える様にメロディーを奏でる。暴れ回る甲本ヒロトと真島昌利のクールな立ち振る舞い、河口純之助の力強いベースプレイのスピード感、梶原徹也の踊る様なドラミングからは、くっきりとしたキャラクターの対比の上で「ブルーハーツ」というバンドの存在感が成される。
「はみだし者でも構わない」「ドブネズミみたいに美しくなりたい」あまりにもストレートな言葉と、衝動を揺さぶるパンクな演奏の気持ち良さ。ブルーハーツの魅力はこれに尽きるだろう。「みんなが楽しむのが一番」と言うブルーハーツからは、何かに立ち向かう勇気と、人としてのやさしさ、その両方を直接受け取る事ができる。 【平吉賢治】
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