INTERVIEW

豊永阿紀&地頭江音々

今のHKT48をどう思う?:「ビーサンはなぜなくなるのか?」


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:22年06月24日

読了時間:約8分

 HKT48が新たにリリースするシングル「ビーサンはなぜなくなるのか?」で矢吹奈子が単独初センターを務める。昨年12月に発売されたアルバム『アウトスタンディング』収録曲「突然 Do love me!」でも新たなHKT48を見せたが、全国ツアー『HKT48 LIVE TOUR 2022~Under the Spotlight~』を経てリリースされる本作では更にそれが色濃く出ている。HKT48はここ数年、グループ創成期を支えたメンバーの卒業が続く一方で、田中美久らが中核となってグループをけん引し、その中で復帰した矢吹奈子が新たな風を吹かせている。10周年を迎え少女から大人へと変化を遂げるHKT48。本作はそれを象徴する、新たな魅力が詰まった作品と言える。その新生HKT48の中にあって台頭著しいのが4期生。センター経験のある運上弘菜を筆頭に逸材が揃う。そして、グループの押し上げを期待されているのが豊永阿紀と地頭江音々。2人は今のHKT48をどう見ているのか。そのなかで迎える本作の意義をどう捉えているのか。【取材・撮影=木村武雄】

未来が一気に現実に

――『HKT48 LIVE TOUR 2022~Under the Spotlight~』の東京公演を振り返っていかがですか?

豊永阿紀 ツアーは約3年振りでした。奈子ちゃんが帰ってきて、私たちがどうパワーアップしたのかを見せないといけないという思いがあって、挑戦的なツアーになったと思いますが、「楽しかった」というのが一番です。

地頭江音々 ツアータイトルが「Under the Spotlight」ということで、ツアーの選抜メンバーは1人1曲ダブルセンターというかたちも含めてセンターに立たせて頂きました。また、コンサートの選抜に選ばれなかったメンバーも含め、全員が一度は見せ場があり、ありがたいと思いました。それと自分の好きなようにダンスしていいパートもあるので、どうしたら自分の良さが見つけられるのかをメンバーひとりひとりがたくさん考えました。よく考えたらその時間は今まであまりなかったなって。今回はAKB48グループの皆さんが一緒にステージに立ってくださってパフォーマンスできたこともそうですし、AKB48グループ以外のアーティストさんの曲に挑戦させて頂くのもそう。今までとテイストが違ったので考えることも多くてレベルアップになるツアーになっていたらいいなと。意識が変わる期間になったらいいなとすごく思います。

――この1、2年で卒業や矢吹さんの復帰などがありましたが、この一連の流れで意識が変わったことはありますか。

豊永阿紀 意識が変わったというより、自分はどうしていきたいのかを考えたり、2人で再確認し合っていた感じでした。「今の活動が楽しいし、やりがいがあるよね」とか。

地頭江音々 やりがいもあるんですけど、先輩が卒業していく状況に焦りもあるし、ひとりひとりが緊張感とか責任感を持つようになってきています。

――焦りはどういった?

地頭江音々 MCを引っ張ってくださっていた村重さん、植木さん、指原さんが続けて卒業してしまったり、グループの顔となる先輩たちや、HKT48を創り上げた先輩たちも抜けていって、私たちはいつの間にかここまで来てしまったことを、ツアー期間や前回のアルバム制作の時にふと気が付いて。もちろん感じていたし、変わらないといけないなと思ってはいたけど、自分の在り方やグループ内での立ち位置とかを改めて考えるようになりました。

――それは4期生が表舞台に立つようになったからということも?

豊永阿紀 それもあるんですけど、HKT48を背負って前に出る立場になった時に、付いて行く背中がない瞬間が多くなって。そういう時に変化を意識したり、まだ先と思っていた未来像が一気に現実になった感じです。

地頭江音々 今までは選抜メンバーでもなくて、後ろの立ち位置からその姿を見てきたのに、あの先輩がここにいるって思っていた場所に自分が急に入ると、今まで憧れの眼差しで見ていた位置に立てたんだという実感が一気にきて、立ち位置はもちろん、グループの一員であることに対する重みを感じるようになりました。

――過去のインタビューで、目の前に立っている誰かの背中がカッコ良くて、早く私もあそこに立ちたいと思ったと語っていたんですけど、いざ立ってみたら…ということですね。

豊永阿紀 ツアーをやっていない3年間が大きくて実感がなかったんですけど、このツアーで一気にここまで来ているんだって感じました。でも今まで憧れていた場所に立ったということは、自分も先輩のような存在にならなきゃいけないというのもあるので、プレッシャーはあるんですけどワクワクしています。自分がここに立った時にこれからどう変わっていくんだろうとか、見え方も変わってくると思うので。

地頭江音々

豊永阿紀

常に新しく、それがHKT48らしさ

――前回のアルバムで新しいHKT48を見せたと思うんです。ツアーでもそうしたことを感じさせて、今回のシングルでまた新しい一面を見せているなと。

豊永阿紀 今までのHKT48は、甘酸っぱい青春の初々しい爽やかな曲が多かったんですけど、今回は大人の爽やかな恋になっていると感じます。成長過程というか、精神的に大人の主人公にもなっていますし、HKT48も最年少と言われていたけど、いつの間にか成人メンバーの方が多いですし、それに合っているというか、楽曲もグループと共に大人になっているような気がします。

地頭江音々 等身大なHKT48を見せられるような曲にもなっていますし、学生の方が聴いても、夏休み前とか高校や大学に進学する前の曲にも聴こえるし、大人になった時に「あの時懐かしかったな」とか思い出すような、いろんな方がぐっとくる歌詞だと思います。

豊永阿紀 考えてみたら、私インタビューの度に「新しい」って言っているなと思って。でも毎回本当に思っているんですけど、たぶん常に新しいHKT48らしいことを何かしているのかなって。HKT48らしさが毎回あって、今回もそれが表現された曲だと思います。

――確かに年を重ねて、かわいいからカッコいいになってきていますね。MVの撮影はいかがでしたか。

豊永阿紀 今回はロケではなくスタジオで撮りました。カメラと連動してCGのような精度の高いLEDを背負って踊る近代的な撮影で。衣装も近未来っぽい感じで、曲も爽やかですしCGも色鮮やかな感じです。映像技術がポイントだと思うので、完成したものを観てようやくMVを撮った感覚になるのかなと想像しています。奈子ちゃんがゲームの世界に入って一人ずつ仲間を増やしていって、みんなでダンスをしていくというストーリー仕立てになっていています。体力、戦闘力、特技、弱点とか、何をしたらご機嫌を取れますかとか、事前にメンバーがアンケートに答えたものも反映されているので、そういう小ネタも楽しんで頂けるんじゃないかなと思います。

――振りはいかがですか。

地頭江音々 とてもキャッチーなダンスなんですけど、やってみると難しいです。特に手と指の動きが難しくて。でも、サビの印象的な部分は真似しやすいと思います。奈子さんがイントロですごく難しいフィンガーダンスを踊っているんですけど、真似して欲しいと言うか、チャレンジしていただきたいです。ダンスシーンが多いMVになっているので、そういうところも楽しんでいただけたらと思います。

――最近は特に振りが注目されているような気もします。

豊永阿紀 HKT48を応援してくださっている方は、メンバーの仲の良さやテンションの上がるライブが好きと言って下さる方が多いと思うんですけど、その中でも奈子ちゃんのパフォーマンスが好きというファンの方々が最初に目にする新しいシングルだと思うので、自分たちでも意識が変わりつつあるなと感じています。メンバー同士パフォーマンス部分で聞いたり聞かれたりすることが増えているので、すぐに変わることではないけど、気付いたらすごいパフォーマンス集団になれていたら一番カッコいい姿なのかなと思います。

地頭江音々 技術が追い付いているのか不安な部分もあるので、意識が変わっている分、みんなも頑張らなきゃという思いで今パフォーマンスに磨きをかけているので、成長した姿を見せられるように頑張りたいと思います。

地頭江音々

豊永阿紀

似てきた

――ところで、お互いここ数年で変わったなと思うところは?

(見つめ合い)

豊永阿紀 似てきた(笑)

地頭江音々 うん似てきた(笑)

地頭江音々 これまでは自分のことで精いっぱいだったけど、ここ2年くらいで、グループについて2人で話すことがすごく増えました。2人でいるとずっとHKT48について語っているんです。こんなこと言ったら恥ずかしいんですけど…(笑)。気が付いたらずっと2人でHKT48のことを話していて、どうしたら良くなるかなとかどうしたら注目してもらえるのかなとか。

豊永阿紀 今起きていることに対して、自分がどう思っているのか若干の違いはあるんですけど「そうだよな」という見方がお互いできていますし、根本感じていることは同じだから。

地頭江音々 一緒に同じタイミングで成長しているからね。2人同じタイミングで同じ立ち位置についたので、それもあると思うんですけど、それは違うよということもないし。

豊永阿紀 誰かと比べなくなったんだと思います。

――自信がついた証かもしれないですね。

豊永阿紀 自分はこうしていきたいという意思がちゃんともてるようになった。不安になる時間がもったいないと思うようになったんだと思います。

豊永阿紀・地頭江音々

(おわり)

この記事の写真
木村武雄

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事