INTERVIEW

千葉雄大×永山絢斗

「良いパートナー」ドラマ『ダブル』でW主演、原動力は?


記者:村上順一

写真:冨田味我

掲載:22年06月18日

読了時間:約9分

 千葉雄大と永山絢斗が主演を務める「WOWOWオリジナルドラマ ダブル」。野田彩子氏の漫画が原作。天性の才能を持った俳優・宝田多家良と、彼の才能をいち早く見出し世に送り出そうと支える“代役”俳優・鴨島友仁の2人が主人公。天性の魅力と秘めた才能を次第に開花させていく宝田多家良役に千葉雄大。自身も「世界一の俳優になりたい」という夢を抱きながら、多家良の才能に惚れ込み、演劇のいろはを教え、生活も支える鴨島友仁役を永山絢斗が演じる。インタビューでは千葉雄大と永山絢斗に自身の役をどう捉えていたのか、撮影の舞台裏、2人の活動の原動力などを聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

役者として過渡期(千葉雄大)

――ドラマ『ダブル』のオファーを受けたときのお気持ちは?

千葉雄大 僕は尻込みをしていたんですけど、感覚的に飛び込んだというのが一番近いです。それもあり、準備段階では「なんで飛び込んでしまったんだろう?」と思っていたんですけど、やってみて最初の衝動的な気持ちは間違いではなかったと思いました。

永山絢斗 同年代でダブル主演という作品は前からやってみたかったんです。千葉くんと僕とは色が違うので、どこかで「共演することはないんじゃないか」と勝手に思っていたんですけど、今回キャストの中に千葉くんの名前を見つけて「どんな人なんだろう?どんな作品になるんだろう?」という好奇心がわきました。

――台本を読まれていかがでした?

千葉雄大 リアリティのあるシーンもありつつ、ファンタジーのようなシーンもあるので、これがどのように実写で再現されるのか、という面白さと楽しみがありました。

永山絢斗 台本をいただいてからも原作と比べながら見ていたんですけど、原作の頭から上手に収まっていて、全話良い波の中で仕上がっているという印象を受けました。

千葉雄大

千葉雄大

――共演してお互いの印象はいかがですか。

永山絢斗 不安もありながら今回参加していて、そういうところは似ているなと思いました。普段はあえて共演者と距離をとったりすることもあったのですが、千葉くんはすごく話しやすいし、最後まで良いパートナー、力強い味方でいてくれたので感謝しています。

千葉雄大 絢斗くんはすごく真面目だし、役への向き合い方がすごく誠実で見習わなきゃいけないなと思いました。一緒に戦うところは戦ってくれて頼もしかったです。現場では末っ子じゃないですけどお茶目な一面を出すので、それがずるいなと思いましたけど(笑)。

――ドラマ『ダブル』は、「このままでいいのか」という仕事観への思いも込められていると思うのですが、お2人の仕事観の変化は?

永山絢斗 現場で僕より歳下の方も増えてきましたし、コロナ禍で仕事に対する向き合い方も変わったかもしれないです。その中で責任感が出てきた、というのは自分でも感じています。

千葉雄大 伝えるというのは本当に難しいと感じています。疑問に思ったことも、デビューした時より周りが見えてきてしまうので、「こうしたらいいのに」と言ってしまったりすることもあるんです。その伝え方が難しいですし、それを言うからには「自分もしっかりしなければ」という責任感も出てきたので、役者として過渡期のような時期なのかなと思います。

――俳優という役を演じることや、2次元の漫画作品を実写化する難しさはありましたか。

永山絢斗 台本がしっかりしていたので、僕が色をつけるというのはあまりしなくてもいいのかなと思いました。今回、誠実に夢を追いかけている青年を演じたんですけど、劇中の芝居部分は苦手なところでもあるので、鴨島友仁と反してとても苦しみましたね。

千葉雄大 原作にあるカットだったり、綺麗な画というところで作り込んでくださっているので、宝田多家良の感情として血を通わせるというところで難しさもあったと思います。原作がある作品に出演したことは過去に何本かあるんですけど、いろんな原作の要素がある中で、芝居と役者というのを色濃く抽出した作品なので、その抽出されたものを一生懸命やることを意識しました。映像化することで、原作の良さも伝わればいいなと思いました。

永山絢斗

永山絢斗

――監督とはどのようなやりとりがあったのでしょうか。

千葉雄大 宝田多家良は天才役者なので、そうした役柄は演じづらい思うことも実はあって。天才の芝居というのはどういうことなのかということを、監督とお話しした時に「天才というのはいないと思っていて、それぞれの良さがある――」と返ってきて肩の荷が少し下りましたし、演じることにすごく燃えました!

永山絢斗 撮影が始まって何週間か経った後のことなのですが、千葉くんのカットの時は現場まで「OK!」という声が聞こえてくるんですけど、僕の時それが聞こえないんですよ。プロデューサーさんに聞いたら、僕の時も同じように「OK!」と言っているよ、と教えていただいたんですけど、僕としては千葉くんに贔屓(ひいき)があるんじゃないかなと(笑)。

千葉雄大 絢斗くんの方がとっつきやすくて、僕はめんどくさい人だと思われていて、ご機嫌をとられていたんじゃないかな(笑)。

永山絢斗 (笑)。あと、僕は原作を読んだ時に多家良をやってみたかったんです。役を交換する?って話したりもしていたんですけど、今は友仁で良かったなと思います。千葉くんを見ていてやっぱり多家良は大変、難しい役だなと思いましたし、監督は「役者に演じてもらう以上、何がダメというのは根本的にはなくて全てが正解だと思っている」とお話いただいて、その言葉を信じて演じました。

千葉雄大

千葉雄大

――自分の役をどう捉えていましたか?

千葉雄大 僕はいい意味で深く考えてなかったかも。スタッフさんから「千葉くんは人たらしだよね」と言われたんですけど、それは多家良にも通じるところがあるなと思って、周りが手を差し伸べたくなる、そういう人を描けたらいいなと思ってました。

永山絢斗 僕は普段、面倒見がいい方ではないので、自分の中には友仁の行動やセリフに共感することはあまりなかったんですけど、撮影している時も休みの日にも「千葉くん、元気かな」とか思っていて、だんだん友仁の気持ちになれてきました。たまに千葉くんと撮影現場で会うと嬉しくて、これは恋をしているんじゃないか?と思いましたから(笑)。

千葉雄大 撮影が終わってからも連絡をくれて、この前も生配信の舞台があったんですけど、撮影が終わる絶妙なタイミングで1番に「お疲れ様」と来て、キュンとしました(笑)。

永山絢斗 今日は千葉くん、本番の日だなと午前中からソワソワして、「本番今頃終わったんだろうな」と思ったので連絡して。撮影が終わってから何回か千葉くんと会いましたけど、普段共演者となかなかこういう仲にはならないですし、僕はあまり同年代と遊ばないので、この作品に感謝しています。

――それぞれの役としての印象は?

千葉雄大 友仁はお世話してくれる優しい感じとか、友仁としての立ち返った時の葛藤などが素敵だなと思いました。友仁が魅力的であればあるほど、僕が多家良を演じるときのプレッシャーになってましたから。

永山絢斗 千葉くんの見た目はずるいですけど、多家良役として視覚的にも入りやすかったです。僕と違って、多家良は自分の素の部分を通しすぎると、やりづらい役だったんじゃないかなと思います。でも、しっかり多家良をやりながらも感情が乗るところは、千葉くんの本当の気持ちを乗せているなと思い、自分にはない技量を感じました。自分がやろうと思っていた多家良像を超えてくる、千葉くんなりの多家良で好きでしたし、友仁を通して助けられたところもありました。

永山絢斗

永山絢斗

――嫉妬する部分も?

永山絢斗 それは内緒です(笑)。

千葉雄大 僕は言えますよ(笑)。絢斗くんは硬派なイメージなんですけど、さっきお話に出ましたが、急に甘えん坊みたいな部分を出すんですよ。

永山絢斗 えっそんなの出てる?

千葉雄大 出てる(笑)。あれでもれなくみんなが道楽していくんです。僕は普段からヘラヘラしているから、ちょっと真顔になると怒っているみたいになって、“損しているな、千葉雄大”って(笑)。でも、2人一緒の時はバランスが良かったよね。

永山絢斗 だから千葉くんがいない時、一転病みたいになっていることも多かったかも。

千葉雄大×永山絢斗

千葉雄大×永山絢斗

2人の原動力は?

――ところで、お2人は誕生日が2日違いですが、お誕生日はどうすごされましたか?

千葉雄大 僕は仕事をしていまして、そこでお祝いしてもらって、家に帰ってからはひとりでした。ごめんなさい、これがリアルなんです(笑)。

永山絢斗 僕はずっと天井を見ていました(笑)。

千葉雄大 でも後日、合同誕生日はやりました。プレゼント交換とかしたり。

永山絢斗 これ内緒ですよ(笑)。

千葉雄大

千葉雄大

――どんなプレゼントをされたのでしょうか。

千葉雄大 僕はキャンプに興味があったので、キャンプ用品をいただいて。絢斗くんは詳しいので、一緒にキャンプに行けたらいいなと。

永山絢斗 前にロボット掃除機のルンバを買って、ルンバが掃除しやすいように床を綺麗にするようになったという話をしたら、千葉くんは床を水拭きしてくれる機種をプレゼントしてくれました。まあ、僕が欲しいと言ったんですけど(笑)。あと、それと一緒に小さい黒猫のぬいぐるみが入っていたんですけど、その猫をルンバの上に置いて掃除して欲しいとのことで(笑)。その発想がすごいですよね。

千葉雄大 ちゃんと、その写真を送ってくれました。

永山絢斗

永山絢斗

――最後にお2人の活動の原動力は?

千葉雄大 寿司とお酒です! 忙しい時は「これが落ち着いたら寿司を食べに行こう」とか、このシーンが撮り終えたらお酒を飲んでリセットしようとか、モチベーションに繋がっています。

――好きなお寿司のネタは?

千葉雄大 鯛の昆布締めです。もう大好きでお店でいつも頼んじゃいます。

――永山さんの原動力は?

永山絢斗 僕は映画です。好きな役者さんや監督さんが最新作を発表するとワクワクします。劇場でなかなか見るタイミングがないんですけど。あとは千葉くんと同じくご飯やお酒もそうですね。一番身近で支えてくれている、僕の動力になっている源なのかも。でも、現場が続いている時はあまりお酒は飲めないので、将棋や車がモチベーションになっています。

千葉雄大×永山絢斗

千葉雄大×永山絢斗

(おわり)

「WOWOWオリジナルドラマ ダブル」
放送日: 6月4日(土)午後10:30放送・配信スタート(全10話)
【放送】毎週土曜 午後10:30[第一話無料放送]【WOWOWプライム】 【WOWOW 4K】
【配信】各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信 [無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】

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