中村倫也の新境地を垣間見た『人数の町』、dTVで配信スタート 受け身の芝居に注目
中村倫也が主演する映画『人数の町』が2日、映像配信サービスdTVで配信スタート。中村は不条理な世界に飲み込まれていく主人公・蒼山哲也を演じることで、受身の芝居という新境地を開拓した。
映画配給会社キノフィルムズを擁する木下グループが、2017年に開催した「第1回木下グループ新人監督賞」の準グランプリ受賞作品を映画化。
独創的なCMを多く手掛けてきた荒木伸二が初の長編映画監督を務め、中村倫也を主演に迎えた本作。中村が演じる主人公・蒼山は、借金まみれで人生に行き詰まった男。借金取りに暴行を受けて路上で倒れていたところ、黄色いツナギを着た人物に声をかけられ、とある「町」に連れられる。
そこは、それぞれ与えられたパーカーを着た人々が暮らす不思議な町。黄色いツナギの「チューター」から与えられる簡単な仕事をこなすだけで衣食住が保証され、住人同士のコミュニケーションも自由。その代わり町を抜け出すことは出来ない、という空間に最初は戸惑う蒼山だたが、次第に順応していく。
そんな中、蒼山が出会ったのは、映画『ばるぼら』やフジテレビ系テレビドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』など話題作への出演が続く石橋静河演じる新入りの住人・木村紅子。行方不明の妹を探しに来たという紅子は、この町のシステムにまっすぐ疑問をぶつけ始める。一体、この町はなんのために存在しているのか? その真実を知った時、蒼山がくだす決断とは。
見どころは、謎の「町」を舞台に繰り広げられるシュールでシニカルな世界観。色違いのパーカーを着て過ごし、社交場のプールで遊び耽る人々。繰り返し放送される無機質な案内アナウンス。時々割り当てられる謎の仕事。SFのような質感の設定が、ストーリーが進むうちに見慣れた現実とリンクし、謎が解けていく展開に注目。
ラブコメディから社会派ドラマまで幅広い作品で活躍する中村が、不条理な世界に飲み込まれていく蒼山を演じる中で受身の芝居で新たな魅力を発揮した。

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