あかせあかり「自分を曝け出す勇気」好きなことへの情熱とこだわり
INTERVIEW

あかせあかり

「自分を曝け出す勇気」好きなことへの情熱とこだわり


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年03月11日

読了時間:約9分

 TikTokのフォロワー数が120万人を超えているTikTokerのあかせあかりが2月23日、1stシングル「恋ノ行方」でメジャーデビュー。「恋ノ行方」は1月8日に放送がスタートしたTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』のエンディングテーマとしてOA中。同曲のミュージックビデオ(MV)も450万再生を突破し注目を集めている。そのMVでは『その着せ替え人形は恋をする』のヒロイン喜多川海夢のコスプレを自身が手がけ、コスプレイヤーとしてのこだわりを見せた。インタビューではシングル「恋ノ行方」の制作背景から、コスプレをはじめ、女優や音楽活動など情熱を注ぐその原動力について話を聞いた。【取材=村上順一】

学生時代に聴いていた曲を聴きなおした

「恋ノ行方」通常盤ジャケ写

――メジャーデビューおめでとうございます。歌手デビューは想定されていたことでした?

 昨年、女優デビューもさせていただいたのですが、それすらも想像していなかったことでした。でも、女優は小さい頃からの夢でしたので、それが実現し、歌までリリースできるというのは思ってもいませんでした。もともと『その着せ替え人形は恋をする』の原作を読んでいたのでお話をいただいた時は驚きましたし、最初は困惑しました。でも今は嬉しさに変わりました。

――歌に興味は?

 一人でカラオケに行くぐらい好きです。昔は週に4回ぐらい行ってました。でも、歌が好きだからといってデビュー出来るわけではないので、歌をリリースできるとは思っていませんでした。

――歌を聴かせていただいたのですが、リズム感いいですよね。

 ありがとうございます! もしかしたらリズムゲームが好きなので、そこで鍛えられた部分もあるのかもしれません。 昔よくやっていたのが、初音ミクのゲームで、ハードモードやエキスパートモードでやっていました。もちろん今でもやってます。

――ところでデビューシングル「恋ノ行方」を初めて聴いた時はいかがでした?

 アニメのタイアップ曲と聞いていたので、すごく原作のストーリーに寄り添った曲だなと思いました。歌詞を読んでこの言葉は作中のこのシーンのことなんじゃないかなとか。レコーディングもそれを思い出しながら歌っていました。<その一言 ズキュンときたの>という歌詞はまさに原作でも出てくる言葉なんです。なので、アニメでもこれから出てくると思うのですが、原作を読みたくなってしまう感じもあり、喜多川海夢が五条(新菜)くんを好きすぎてしまう描写が盛り込まれた歌詞だなって。そういうのを探すのも面白くて感情も乗せやすかったです。

――では、レコーディングもスムーズにいって。

 はい。スムーズに出来たと思います。ただ、普段私は割と落ち着いた声なんですけど、歌う際はちょっとアニメチックな声を意識して臨みました。苦労したのはカップリングの「輝きフォトグラフ」です。「恋ノ行方」は恋する乙女の気持ちが強いですけど、「輝きフォトグラフ」は明るくてテンポ感のある曲で、作品というよりも海夢というキャラの要素が描かれている曲だと思いました。けっこうキャピキャピした雰囲気があるのですが、その感じを出すのが難しいなと思いました。

――昨年、20歳になられましたからね。

 はい。それで昔の感覚を取り戻すために学生時代に聴いていた曲を聴きなおしたりして。そうやって学生時代の気持ちを思い出しながら歌いました。

――昔と今では好きな音楽の傾向は変わったりも?

 大きくは変わってはいませんが、以前ほどラブソングは聴かなくなってしまいました。最近は少年マンガのオープニング曲やエンディングで流れるような曲ばかり聴いています。

――今はどんなアーティストさんが好きですか。

 EGOISTさんや藍井エイルさん、HoneyWorksさんが好きです、今はCHiCOさんのカッコいいテイストの曲を聴いています。あとはリズムゲームで遊んでいた時に流れている曲や、アイドリッシュセブンも聴いています。

――昔聴いていた曲を今聴くと、また違う発見もありますよね。

 そうなんです。昔は歌詞が良いなという感じで聴いていたのですが、今は表現方法としてこういうのがあるんだ、とか見方が変わりました。

――ところで、あかせさんの世代だとあまりCDを積極的に購入する感じでもないのかなと思うのですが、初めて購入したCDはありますか。

 ボカロの曲でした。今でもCDはよく買っています。私はサブスクよりも物として持っていたくて、マンガもデジタルではなくて紙で持っていたいです。好きなアーティストさんや漫画家さんへの応援にもなりますから。

大切にしているのはキャラクターを知ること

――さて、MVは450万回再生を超えてすごい勢いを見せていますが、撮影はいかがでした?

 今回、アニメに登場する3キャラクターをコスプレしていて、ウィッグやメイク、カラコンを選ぶところなどは全部自分でやらせていただきました。ウィッグをグラデーションにしたり、カラコンのミリ幅や濃さなど、こだわらせていただきました。海夢は作品のなかでコスプレをするキャラクターということもあり、どう表現しようかなと最初は悩みました。

――どうされたんですか。

 差をつけたいと思いました。海夢は3次元よりに作りたかったので、ウィッグは人工頭皮のものを使用しました。雫たんとブラックロベリアはアニメよりに作ろうと考えて。海夢だったらカラコンで瞳の色が透けるようにして、光に当たると自然な感じに発色するものを選びました。他の2人は海夢で使ったものよりもミリ幅も大きく、特にブラックロベリアは発色が高いものを使っています。

――海夢の髪の毛、すごくリアルだったので地毛を染められたのかなと思ってました。

 色々なメーカーのウィッグを取り寄せて、コスプレ用のものよりも、人工頭皮のものがいいなと思いました。毛先は自分で染色していて、雫たんのウィッグも暗めになるように染色していました。目も個性があるのでアップになるところで動画を止めて見てもらいたいくらい(笑)。また、ブラックロベリアの場合は目にハイライトが入らない位置を狙って開けていたり、各キャラクターの表情にも注目してもらえたら嬉しいです。

――こだわりがすごいですね! やっぱりコスプレも目がすごく大切で。

「恋ノ行方」アニメ盤ジャケ写

  自分の持っている技術を全部発揮出来たようなMVになったと思います。人は顔の形や口は変える事ができないので。テーピングして吊ったりすることもあるんですけど、すごく変えられるパーツは目なんです。

――あかせさんがコスプレをするにあたって一番大切にしていることは?

 そのキャラクターを知ることです。その人物やストーリーをすごく見ます。どういう人なのか、こういう表情はするのか、などすごく考えます。そのキャラクターを知らないと出せない表情などがあると思うんです。なので、作品を何度も観たり、キャラクターブックが発売されたら絶対に買います!

――キャラの内面を知ることが重要なんですね。

 私の場合はそこを大切にしています。表情一つでそのキャラクターへの近づき方はすごく変わります。

――2次元ではなくて、3次元のリアルな人の表情とか観察したり?

 人はそんなに見ないんですけど、癖とかは気になって見てしまいます(笑)。友達と食事に行った時や、例えばタブレットを手に取る時、この人はこうやって回り込んで取るのかとか。それをその人に伝えることはないんですけど、そういうのも演技をする時に役に立ったりするので。

――では、海夢はあかせさんの中ではどんな人として映っていますか。

 海夢はアニメが好きなのはもちろんですが、リアルが充実していて、芯もしっかり持っている。好きなものは好き、とちゃんと言える子です。リアルが充実してキラキラしていて、ありのままを曝け出している人って惹きつけられるものがあるんです。それを感じさせる描写があって、海夢は雫たんのコスプレをしている時に嬉しくて「ニヤッ」とするシーンがあるのですが、それが印象的だったので、そのシーンをMVに組み込みました。

自分を曝け出す勇気を持ってみる

「恋ノ行方」初回盤ジャケ写

――リア充というところで、あかせさんが今を充実させるコツみたいなものはありますか。

 自分が好きなものを隠さず本気で取り組むことだと思います。自分もその時間が大切だったんだなと改めて思います。

――そう思えた背景にはどんな経緯が?

 私の母はアニメなど2次元に否定的でした。それもあって、母に隠れてコスプレをしていた時期もありました。コスプレは楽しいのですが、隠れてやっていることの罪悪感の方が強くなってしまって...。だからコソコソやっている時よりも「好きなものは好き!」と真っ直ぐ突き進んでいる時の方が、思い出としてもすごく輝いていますし、他の方から見ても輝いて見えるんじゃないかなと思いました。

――親に好きなことを明かせない方も沢山いると思うのですが、どうしたら良いと思います?

 当たって砕けろじゃないですけど、真っ向から話し合うしかないと思います。一度自分を曝け出す勇気を持ってみると新しい世界が広がると思います。

――今のあかせさんの活動をお母さんは応援してくれて?

 はい。でも、昔は芸能活動自体に大反対されていて。女優になる夢も「中学を卒業するまでにダメだったら諦めなさい」と言われていたので、高校に入学するタイミングで諦めていました。それでコスプレをやりたいと母に話したら喧嘩してしまって。

 なのでアルバイトをして、イベントに行ったり、コスプレ活動も全部一人でやっていました。それまで高校には親に車で送ってもらっていたのですが、それもしないと言われてしまって。それに対して私も反抗期だったので「一人でやるからいいよ!」って、自宅から駅まで距離があるのですが、コスプレの荷物も自力で持って行ってました。

――すごい情熱ですね!

 私はコスプレも芸能活動も好きなので、いくら親であろうとそれを取り上げる権利はないですし、私の中では「ただ反対したいだけじゃん」と母に反抗したり(笑)。でも、その姿を見ていた母もそんなにまでしてやりたいなら好きにしなさい、と認めてくれて。あの時喧嘩していなければ、歌でメジャーデビューさせていただくこともなかったと思うので、今はぶつかって良かったなと思います。

――あかせさんが母親になったら夢を与えていく?

 母の影響なのか、実は私けっこうリアリストなんです。友達から「運命ってあると思う?」と聞かれることもあるんですけど「ないでしょ」と言ってしまうタイプで(笑)。なので、私だったら自分がそう信じているのであれば、それでいいという風に育てると思います。

――考えは尊重すると。最後にシンガーとして目指す場所は?

 今回は恋がテーマとなっている曲ですが、今後はカッコいいテイストの楽曲も歌っていけたらいいなと思っています。これからも2枚、3枚とCDをリリースして、誰かを勇気づけられるような歌を届けられる人になれたら嬉しいです。多趣味なので色々やって来たんですけど、今回はそうではなくていずれ何か賞をいただけるような、成果を残すぞ、という気持ちでやっていきたいと思います。

(おわり)

■プロフィール

再現度の高いコスプレで反響を呼び現在のTikTokフォロワー数は120万人を突破!
週刊プレイボーイ、FRIDAYなど多くの表紙を飾り、女優としても活躍の場を広げ、TBS「リコカツ」、EX「ドクターX ~外科医・大門未知子~」、東海テレビ/ フジテレビ系列 土曜ドラマ「顔だけ先生」などに出演。
2022年2月23日にSACRA MUSICより、シングル「恋ノ行方」でメジャーデビュー。TVアニメ「その着せ替え人形は恋をする」エンディングテーマ(2022年1月より放送スタート)を担当。

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