BURNOUT SYNDROMES、東京公演で魅せた音楽の力とファンとの絆
BURNOUT SYNDROMES
大阪発、青春文學ロックバンドBURNOUT SYNDROMESが2月10日、大阪・なんばHatchで『全国ワンマンツアー2022「TOKYO」』のツアーファイナル公演を行った。ツアーは2021年6月にリリースしたフルアルバム『TOKYO』を携えて、2022年1月14日の宮城・仙台Rensaを皮切りに、2月10日の大阪・なんばHatchまで全国7公演を行うというもの。ライブは『TOKYO』収録曲を中心に、「FLY HIGH!!」や「ヒカリアレ」などアンコール含め全17曲を披露した。MusicVoiceでは1月27日に東京・Zepp Hanedaで開催された東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】
「特別な日にしたい」
『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせる「2020年渋谷の旅」がBGMが会場に流れる中、開演を待ち侘びるオーディエンス。今回、スマホを使用した施策も行われるということで、どんなステージが展開されるのか、期待感が高まっていく。
開演時刻になり、この2年間のライブを振り返る映像がスクリーンに投影され、颯爽とステージに登場した3人。ライブは「Good Morning World!」で幕を開け、アクセル全開のステージを展開。オーディエンスは掲げた腕をビートに合わせ振り上げ、バンドが放つサウンドに応える。ライブならではの臨場感が序盤から余すことなく感じられた。
ニューアルバムに収録されている「ロザリオをはずして」、懐かしいナンバーから「エレベーターガール」と、タイプの違う楽曲を続けて披露。延期を繰り返してきたツアーということもあり、3人の高まったエネルギーが会場を覆い尽くすようなパフォーマンスだ。そして、石川大裕(Ba&Cho)がオーディエンスに手拍子を煽り、会場の一体感をより高めた「Love is Action!」。同曲は声優の駒形友梨に提供した楽曲のセルフカバーで、エンディングで見せた熊谷和海(Gt&Vo)の突き抜けるような伸びやかな歌声も印象的だった。
続いて、多幸感に満ちた空間を作り上げた「世界は愛で満ちている」を披露。生バンドの演奏ではなくエレクトロなサウンドで魅せる。こういったサウンドの振り幅も彼らの魅力だ。今度はクラシックの要素や熊谷の興味、趣味趣向が歌詞にも大きく反映されている「邪教・拝金教」だ。ステージ前方で石川がバスドラムを叩き、廣瀬拓哉(Dr&Cho)はスネアをマーチングドラムのようにダイナミックな演奏。そのサウンドを浴びる中、高らかに歌い上げる熊谷も合わさり、荘厳さを感じさせるパフォーマンスだった。
ツアーができる喜びと、今日ここに来てくれた人たちに感謝を伝える3人。「特別な日にしたい」と、緊急特別企画として『LINEでトーーーク』を展開。事前に友達登録したファンとLINEを使用しメンバーとトークするという、ファンにはたまらない企画だ。いま撮ったばかりの写真を送ったり、ファンの恋愛を応援するなどフランクな交流で楽しませてくれた。そこから恋愛という話題が出た!?ことで「Love is @ U.F.O(HXEROS SYNDROMES名義)」に繋げる石川。熊谷はハンドマイクでステージを動き回りながら、盛り上げていく。
MCでは10年前に『閃光ライオット』(10代のアーティストのみによる「ティーンネイジロックフェス」)に出演した時の思い出や、ライブがほとんどできなかったこの2年間で感じた仲間やファンの大切さを語り、その想いを表現した一曲「模範囚」を披露。このツアーで感じたこと、素直な気持ちを吐露するような歌詞がグッと胸に響くナンバーから、「逢いたい逢えない」の流れは聴くものの心を揺さぶり掛けた。
またどこかで会いましょう!
ライブは後半戦へ。盛り上がり必至のアッパーチューン「BLIZZARD」は、三味線などの和楽器によるサウンドとバンドサウンドが見事に融合。そして、音源以上に楽曲としての進化を目の当たりにした「銀世界」、「PHOENIX」では、オーディエンスも身体を弾ませ、声が出せない中でも、バンドの熱いパフォーマンスに応えるように、目一杯楽しむ姿がフロアに広がっていた。
そして、ライブの盛り上がりを更なる高みへと導いた「FLY HIGH!!」では、シンガロングパートは、「心の中で歌って――」と伝える熊谷。そこにみんなの声はないが、きっとここにいるそれぞれの心に響き渡っていたはずだ。「また離れ離れになっちゃうのは寂しいけど――」と話し、本編最後に届けたのは、アルバム『TOKYO』を象徴する楽曲「Hikousen」。ミラーボールが希望の光のように会場を鮮やかに照らすなか、エモーショナルな歌声を届けた。曲中で「またどこかで会いましょう!」としっかりと再会を約束し、3人はステージを後にした。
鳴り止まないアンコールを求める手拍子。アクアリウムを想起させるSEが響き渡る中、熊谷と石川の2人がステージに登場。「Ocean」(正式にはOの中にドットが入るラテン文字表記)でクールなラップで魅せたかと思えば、サビではバリバリのEDMで盛り上げる。物販紹介コーナーを挟み、会場のボルテージが最高潮まで高まった代表曲の一つ「ヒカリアレ」、そして最後は「セツナヒコウキ」を全身全霊のパフォーマンスで届け、ツアー折り返しとなった東京公演は大団円を迎えた。
最後に廣瀬が耳に装着しているイヤモニにトラブルがありアンコール2曲は周りの音が聴こえていなかったと明かす。しかし、長年一緒にやってきた3人なのでパルスで通じ合っているから大丈夫だったと話し、堅い絆を感じさせた廣瀬のコメントに大きな拍手が送られた。
これまでのライブは映像を使ったものや、お芝居をフィーチャーした演出などで楽しませてくれていたBURNOUT SYNDROMESが、このライブは音で勝負してきたことを感じさせるステージだった。それはもしかしたら、結成当時の感覚に近いものだったのかもしれない。ミュージシャンとしての矜持を感じさせてくれた熱いステージに、2022年の彼らの活動にも期待したい。
セットリスト
『全国ワンマンツアー2022「TOKYO」』
1月27日@東京・Zepp Haneda
01.Good Morning World!
02.ロザリオをはずして
03.エレベーターガール
04.Love is Action!
05.世界は愛で満ちている
06.邪教・拝金教
07.Love is @ U.F.O
08.模範囚
09.逢いたい逢えない
10.BLIZZARD
11.銀世界
12.PHOENIX
13.FLY HIGH!!
14.Hikousen
ENCORE
EN1. Ocean
EN2.ヒカリアレ
EN3.セツナヒコウキ
●タイトル
アンコール・オンライン公演
全国ワンマンツアー2022「TOKYO」
Private Jet from ZEPP HANEDA
●配信日時
日程:2022年3月4日(金)
時間:19:30開場 / 20:00開演
●チケット
一般(ライブのみ)3,500円
FC(ライブ+アフタートーク)4,200円
●プラットフォーム
Stagecrowd
https://stagecrowd.live/7795430400/