川栄李奈×本郷奏多

 2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)。3世代100年で紡ぐファミリーストーリーの3代目ヒロイン・ひなたを演じるのは川栄李奈。そして、彼女に大きな影響を与える人物の一人、若き大部屋俳優の五十嵐文四郎を本郷奏多が演じる。安子(上白石萌音)からるい(深津絵里)、そしてひなたへ。昭和から平成、そして令和へと時代が移りゆくなかで強く結びつく母と娘。

 川栄「安子は戦争があり芯を持たないと生き抜いていけなかったと思います。でもひなたの時代になるとそれも変わって自由にのびのびと暮らしています。現実に、おばあちゃんたちが大変な時代を乗り越えたからこそ、私たちは自由に生きられていると思います。そのつながりを感じています」

 3世代を描くことで描写にも自然と表れるつながり。チーフプロデューサーの堀之内礼二郎氏は「夏祭りのシーンは3世代に出てきます。赤螺家とのつながりや、店に訪ねてくる場面もそう。僕らも気づかずに後で考えたら『そうだった』というのがたくさん出てきます」

 本郷もこう語る。「安子さんは古き良きおしとやかな女性。でも時代は現代に近づき、ひなたは前に前に出てくる性格で、そのキャラクター性の違いも楽しめると思います。ひなたという人物がどういうふうに形成されていったのか、3世代を描くことでしっかり理解することができると思います」

ひなた、似ていて演じやすい

ひなたを演じる川栄李奈(NHK提供)

 朝ドラ出演は『とと姉ちゃん』以来2度目の川栄。ひなた役は、応募のあった3061人によるオーディションで勝ち取った。

 川栄「ヒロインということもありシンプルに出番が多いことが嬉しいです。今まで、ヒロインの方が色んな方とお芝居する姿を見て『この方ともお芝居ができるんだ、いいな』と思って見ていました。それが今できていますのでありがたく思っています。プレッシャーよりも嬉しいという思いが強いです」

 戦後、日本は大きく様変わりするが、ひなたはどこか時代に取り残された気分でいる。出会う人々も、どこか時代遅れだったり、クセものだったり…。そのなかでさまざまな出会いを通してゆっくりと成長していく。

 川栄「ひなたは応援したくなる子です。一生懸命に頑張りますが、なかなかうまくいかない。背中を押したくなるヒロインで、回が進むごとに魅力が増していきます。私との共通点は何をやっても長続きしないところですかね(笑)。自分を見ているかのようです(笑)。ひなたは勉強ができなくて、英語も挫折して…。だけどあっけらかんとしています。そういうところも私に似ていて、演じやすいです」

五十嵐、似ている真面目さ

五十嵐文四郎を演じる本郷奏多(NHK提供)

 本郷は朝ドラ初出演となる。発表当時は「ヒロインたちが紡ぐ100年の物語のエネルギッシュさにとても元気をもらえる作品だと思いました」と語っていた。

 その本郷が演じる五十嵐は、時代劇に憧れ京都に来たものの、上下関係が厳しい撮影所の男社会になじめずにいる。だが染まらず、こびず、けれど努力は怠らず。自分はスターになれると思い込む生意気で無愛想で、ちょっと頭でっかちな男だ。将来の進路に迷うひなたを、大いにかき乱し続けるキャラクター。

 本郷「時代劇俳優スターを夢見て毎日頑張っている男の子です。不器用に生きながら夢を追いかける、彼もまた応援したくなるキャラクターです。ただ、ひなたに対してライバル意識も持っていますが、好きな子に意地悪するタイプ。僕は、わりと器用に人生を渡り歩いてきた方ですので五十嵐とは根本が違いますが(笑)、仕事に対しての向き合い方と根が真面目なところは似ているかもしれませんね」

撮影現場に流れる柔らかい空気

ひなたと五十嵐文四郎(NHK提供)

 撮影現場は「穏やかで温かい空気が流れています」と語る川栄だが、「緊張しいので毎回、頭の中がパニックになる」ことも。しかし「深津さんはその緊張すらも和らいでくれる雰囲気をまとっていらっしゃいます」と“母”深津の存在が大きいという。

 一方の本郷は大部屋俳優の伴虚無蔵を演じる松重豊との共演が多い。「松重さんは佇んでいるだけで虚無蔵さんのようでびびってしまう雰囲気がありますが、話せば優しくて柔らかいです」

 セリフ量が多い川栄だが、本郷もまた大部屋俳優として劇中劇も行うなど濃厚だ。「時代劇俳優として切られ役など色んな役を演じています。オーディションにも臨む姿もありますので、殺陣も含めて松重さんとしっかりコミュニケーションを取らせて頂いています」

息の合った2人

川栄李奈×本郷奏多(NHK提供)

 それぞれの印象を語る2人だが、取材会では劇中を切り取ったようなやりとりが続いた。

 本郷「通常の連ドラよりも撮る量が多いので、それだけ川栄さんの負担は大きいだろうと『すごい』と思いながら見ています。香盤表もひなたの名前がずらっとあってセリフ量もすごい。それなのに現場では眠そうな顔をしていなくてすごいです」

 川栄「でも…英語をしゃべるシーンの撮影が始まるからちょっとパニックで…(笑)」

 本郷「そうだろうなと見ていました(笑)」

 川栄「本郷さんは空気を察してくれます。間を間違えたり、こちらが言わなくても無言で合わせてくれます。だけど、本郷さんは何をやっても面白いんです。安達(祐実)さんとも話していましたが、五十嵐の英語のシーン。『本郷さん英語できるのかな』って。でも『できてもできなくてもおもしろいよね』って話していて。どうなるんだろうと楽しみです」

 本郷「ほら、下に見てる…(笑)」

 川栄「見てないですよ~(笑)でも不思議な魅力を持っています」

 堀之内氏「途中からすみません。実は、五十嵐が甲冑を着るシーンがあります。戦国武将の鎧を着たら『かっこいい!』とテンションが上がりそうなものですけど、ただただ『重いです…』って(笑)」

 川栄「普通ならテンションが上がりそうだけど…」

 本郷「いや重いから…」

 記者「五十嵐はちょっと変わっているところがありますが、ご自身は?」

 本郷「会う人ほぼ100%、そう言われます」

 川栄「こういう方、見たことがなくて。良い意味で知れば知るほどその人間性が好きになる。掘っていけば掘るほど魅力があります」

 本郷「川栄さんは、僕のことをいつもニヤニヤしながら見ているんですよ。野球のボールを投げるシーンがあって、投げる時に『おまえ、できんのか』という感じでニヤニヤしていて。それがプレッシャーになって変なところに投げてしまったら笑っていて…(笑)」

 川栄「アハハ」

努力を見せない

 風変わりな一面を見せる本郷だが、演じれば期待を上回る芝居を見せる。「僕は台本に書いてあることをやっているだけ」と謙遜するが、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』では近衛前久を見事に演じ切り、話題になった。

 本郷は「川栄さんの姿を見て毎日本当にすごいと思っていて尊敬しています。忙しいスケジュールですし、方言や英語など大変なことがたくさんある。きっと普通の人ならパンクする量。努力をしているのにそれを見せない姿が素敵です」と川栄を称えるが、彼自身も努力を見せない。

 ちなみに、映画『嘘喰い』で共演する横浜流星は本郷の役者としての人柄を「淡々としていて、大変な役なのに誰にもそれを見せない。大事な役でアクションがあっても疲れを見せない。淡々としてポーカーフェイス」と称えていた。

 そんな本郷、同じく“努力を見せない”川栄。堀之内氏は2人の掛け合いは「面白い」とも語っていたが、個性的な2人が織りなす息の合った芝居にも注目だ。【取材=木村武雄】

▽川栄李奈
ヘアメイク:ESPER 伏屋陽子
スタイリング:スタイリスト 髙橋美咲
○…衣装
ドレス、シューズ:トッズ
問い合わせ:トッズ・ジャパン(0120-102-578)
ピアス、リング:プリュイ
問い合わせ:プリュイ トウキョウ(03-6450-5777)

▽本郷奏多
ヘアメイク:Hair and make up 髙橋幸一(Nestation)
スタイリング:スタイリスト 川地大介
○…衣装協力
クロ/クロ ギンザ 03-6274-6257

Photos
NHK提供

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