『らんまん』で“日本の植物学の父”槙野万太郎を演じる神木隆之介(NHK提供)

 神木隆之介が、2023年度前期のNHK連続テレビ小説『らんまん』で主演を務めることが決まった。日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎氏をモデルにした槙野万太郎を演じる。

 連続テレビ小説第108作となる『らんまん』は、明治の世を天真らんまんに駆け抜けた天才植物学者の物語。喜びと発見に満ちた生命力あふれる人生を美しい草花やみずみずしい里山の情景とともに描く。

 神木は主演が決まり「人生でこんなに嬉しい事が起きるのかと驚きました。それと同時に長く深く誰かの人生を生きるという責任、とにかくひたすら一生懸命生きます」と喜んだ。

 神木演じる槙野万太郎は、体が弱くいじめられがちな少年だったが、植物の魅力にとりつかれ、その秘めた才能を発揮。小学校中退という学歴にもめげず、独学で植物学をきわめ東京帝国大学植物学教室の門をたたき、のちに「日本の植物学の父」と称される役どころ。

 万太郎のモデル・牧野富太郎氏の笑顔を見た時に「なんて素敵な優しい笑顔なんだ」と思った神木は「こんなに純粋に屈託ない笑顔ができる牧野さんがすごく羨ましいな、と思うと同時に、優しさに包まれる気持ちになりました。僕も牧野さんみたいな素敵な笑顔が似合う人になれるように、また、観てくださる方が優しい気持ちに、そして、“笑顔”になっていただけるように精一杯頑張ります」と意気込んだ。

 制作統括の松川博敬氏は「主演は神木隆之介さん。見てると何だかワクワク楽しい気持ちになる俳優さんです」とその印象を明かし「毎日、朝が来るのが楽しみになるようなドラマ『らんまん』を誠心誠意お届けしたいと思います」と寄せた。

 脚本は、同局連続ドラマ『群青領域』などを執筆した長田育恵氏。「題材を問われ、真っ先に浮かんだのが牧野富太郎の大きな笑顔でした。世界規模での感染症流行の渦中、この先に広がる世界を思い描いたとき、もう少し風通しがよく、もう少し優しい、ひとりひとりの多様性が尊重される価値観が求められていくのではないかと想像したからです」。

 更に「ありのままの生を見つめる明るい眼差しと、植物が光に向かうような生命力、そしてひたむきに何かを愛する心が、観てくださる方の『今日』を彩ることを願っています」と寄せた。

物語

江戸時代末期の1862年(文久2)3月、全国で尊王攘夷の機運が高まるなか、坂本龍馬が土佐藩を脱藩―― そのわずか1か月後、同じ土佐の地で酒造業を営む裕福な商家に待望の男の子が誕生する。のちの天才植物学者・槙野万太郎(まきの・まんたろう)である。

万太郎は、明るい性質だが、虚弱な子ども。なぜだか植物のことが好きで、集中すると周りのことも目に入らなくなってしまう。大人たちは不思議な子どもだと思っているが、母親の房子は、そんな万太郎に穏やかな愛情を注いでいた。しかし、万太郎が 6 歳の時、房子が病気で死去。父親も早くに亡くしていた万太郎は、祖母タキの手で育てられることになる。

タキは、名家の跡取りとして立派な男子に育てようと、万太郎を藩校に入れる。最初は学校生活になじめなかった万太郎だが、植物の名前と挿絵の載った本を見つけ、「その本が読みたい」という思いから、熱心に勉強するようになる。

その後、万太郎は学業の面でメキメキと頭角を現し、英語・地理・物理・天文など西洋の学問を次々と吸収していく。やがて明治新政府のもと新たな学校制度が始まり、万太郎も小学校に通い始めるが、その教育レベルの低さに物足りなさを感じて自主退学。その後は家業の手伝いもそこそこに、大好きな植物採集に明け暮れる生活を送るようになる。

東京上野で開催される「内国勧業博覧会」をきっかけに万太郎は初めて上京。その旅のなかで憧れの博物学者たちと出会い、日本各地の貴重な植物や海外から来た珍しい植物を目の当たりにする。「いつか必ず日本の植物のすべてを明らかにしたい!」―万太郎の植物学への情熱に火が付いた。万太郎は、東京帝国大学植物学教室の門をたたき、助手として働くことになる。水を得た魚のように研究に没頭し、新種を次々と発見、学名をつけていく万太郎。しかし、その活躍に嫉妬する教授陣から嫌がらせを受けたり、学歴がないことを理由に十分な給金をもらえないなど、理不尽な目にも多く合う。それでも、愛する植物のため、「日本独自の植物図鑑を編纂する」という夢のため、万太郎は情熱を失うことなく一途に突き進んでいく―。

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