元ViViDのボーカリストSHINが12月11日、東京・渋谷WOMBでワンマンライブ『SHINGAME SHOW』を開催した。約2年ぶりとなったワンマンライブはソロ曲やカバー曲、新曲の「アダマント」などアンコール含め全16曲を披露。SHIN の音楽にかける誠実な想いが存分に感じられたライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

全員を楽しませる気持ちできた

 開演前のBGMには、ライブタイトルが『SHINGAME SHOW』ということで、懐かしいチップチューンのゲームミュージックが流れている。多くのオーディエンスが開演を待ち侘びるなか、いよいよ開演時刻になりクラップを仰ぐアニメーションがスクリーンに投影されSHINがステージに登場した。(※チップチューンとは80年代〜90年代初頭のパーソナルコンピュータや家庭用ゲーム機などに用いられた音楽)

 オープニングを飾ったのは「paradox」だ。色とりどりのサイリウムがフロアを埋め尽くす中、ビートに合わせ身体を揺らしながら、パワフルなSHINの歌声が響き渡る。「2年ぶりのワンマン楽しんでいこうぜ!」と、ギターを手に取り「jack the ripper」に突入。まさにタイトルのごとく空間を切り裂くようなエッジの効いたサウンドと歌で序盤からアクセル全開のパフォーマンスを繰り広げていく。

 さらにギアが一段上がったステージを展開した「6inchの凶器」。オーディエンスは振り上げる拳と、ヘッドバンギングでSHINの放つエネルギーに共鳴するかのように応える。それを受けたSHINの歌声もより力強くなっていく、エネルギーのキャッチボールという生ライブの醍醐味が詰まっていた。

 この日初めてのMCでは、「(ライブに)沢山来てくれて心から嬉しいです。全員を楽しませる気持ちできたので――」と、このライブにかける意気込みを述べ、ミディアムヘヴィチューンの「dirty hurry」を投下。ブルーのライトがステージを照らす。海中に迷い込んだかのような錯覚を起こさせる中、続いて「4444」を披露。テンポ感の違う曲を交互に配置することで緊張と緩和を生み出していく。フロアの盛り上がりにニヤリと笑みを浮かべるSHINの表情も印象的だった。

 再びギターを手に取り、「好きに暴れてくれ!」と投げかけ披露された「diluculo」から、サイリウムを使った振り付けで一体感を生み出した、ファンキーなロックチューン「センターオブトーキョー」へ。SHINのセクシーな歌声と身体を揺らすビートで楽しませた。SHINの表情からも楽しんでいる様子が存分に伝わってきた。続いて演奏された中島美嘉のカバー「GLAMOROUS SKY」では、空に突き抜けていくような開放感溢れるロックサウンドでオーディエンスを盛り上げた。

“ついていきたい”と思ってもらえるように

SHIN

 ライブも後半戦へ。雰囲気は一転し幻想的なシンセパッドの音色が会場を包み込む。刹那のブレイクからパワーバラードナンバー「WEAKEND」を届けた。エモーショナルな歌声に静かに耳を傾けて聴き入るオーディエンス。曲が進むにつれて徐々に熱を帯びていくSHINの歌声と楽曲の世界観に深く誘っていく。

 2回目のMCでは、「ソロとして2年ぶりのライブは皆さんのおかげでいい景色だったし、本当に楽しかったです。こうやってワンマンが出来たことが奇跡だと思います。思うように活動が出来ない中、先のことは考えずに目の前の一歩をしっかりと歩こうと決めて、歌い続けられるように過ごしてきました。その中で色んな変化があってカバーを沢山したり、新しいプロジェクトを始めてみたり、その中で気づいたことがあって、自分の曲、ソロは改めて好きだなと今日思いました。みなさんのおかげです」。

 さらに続けて「今日みんなとこの場所を作れて幸せです。この想いを次の曲に込めて、届くように歌います」と伝え、「花」を届けた。優しいメロディに乗せて、一人ひとりに語りかけるように丁寧に歌い紡ぐSHIN。そのメッセージをしっかりと受け止めるオーディエンスと、お互いの絆を感じさせた瞬間でもあった。

 フロアを上手、下手、センターと分け、一体感を高めるようにオーディエンスを煽り、「今日までついてきてくれてありがとう」と感謝の言葉から、「just going true side」を披露。これから訪れるであろう明るい未来、希望を感じさせるナンバーでステージを後にした。

 アンコールを求める手拍子が鳴り響く。再びステージに登場したSHIN。アンコールで披露する曲は事前に募集したリクエストからランダムで選ばれた2曲を披露することに。スクリーンに投影されたSHINのアニメキャラがカプセルトイを回し、出てきたカプセルの中に書かれていたのはJanne Da Arcの「ヴァンパイア」、もう一曲はL'Arc〜en〜Cielの「READY STEADY GO」と、名曲を立て続けに披露し、大いにフロアを盛り上げた。

 「いつまでも立ち止まっているわけにはいかない」と、来年末にShibuya O-EASTでワンマンを開催したいと想いを話すSHIN。ソールドアウトに一歩届かなかった2年前のO-EASTワンマン。リベンジの想いを込めて「on my way with innocent to 「U」」を披露。あの景色をもう一度見たい、そんな所信表明とも捉えられるナンバーで見せた全霊の歌声を響かせた。

 SHINは「“ついていきたい”と思ってもらえるように一歩一歩、歩いていきたい」と告げ、ステージを去ると、スクリーンにはSteam,PlayStation4,NintendoSwitch向けゲーム『METALLIC CHILD』のタイアップ曲の「アダマント」のMVが流れる。サイバー感溢れる映像にオーディエンスの視線は釘付け。

 MVが終わると再び音が鳴り響きSHINがステージに一人舞い戻ってきた。届けられたのは「アダマント」。スクリーンには先ほどのMVの世界観と同様の映像が流れる中、ロックとEDMを融合させた鮮烈なサウンドでSHINの新しい一面を見せ、2年ぶりのライブは大団円を迎えた。

 かけがえのない時間を共に過ごす。SHINもオーディエンスも宝物のような時間になったのではないだろうか。SHINの信念にある、今を精一杯生きるというスタンスがパフォーマンスに惜しみなく出ていた。O-EASTでのワンマンという新たな目標を掲げたここからの活動がどんなものになるのか、大いに期待したい。

セットリスト

『SHINGAME SHOW』

12月11日@東京・渋谷WOMB

01.paradox
02.jack the ripper
03.6inchの凶器
04.why not?
05.dirty hurry
06.4444
07.diluculo
08.センターオブトーキョー
09.GLAMOROUS SKY
10.WEAKEND
11.花
12.just going true side

Encore

En1.ヴァンパイア
En2.READY STEADY GO
En3.on my way with innocent to 「U」

W.Encore

WEn1.アダマント

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