横山由依「いまのAKB48が求めていた理想の形」、向井地美音に託した思い、山根涼羽への助言
<AKB48〇〇な2人を深堀り>特別編
<〇〇な2人:連載アフターインタビュー(5)>
AKB48の山根涼羽(21)がMCを務める、ライブ配信アプリ「17LIVE」の番組『AKB48 広報 山根涼羽と○○(マルマル)な2人』の第5回生配信が11月30日に行われた。ゲストはAKB48劇場で12月9日に行われる卒業公演をもってグループを卒業する横山由依。そして、横山から総監督のバトンを受け継いだ向井地美音。しんみりとした雰囲気は一切なく笑いに溢れた配信回となった。【取材・撮影=木村武雄】
笑いに溢れた配信回
「本当に面白くて笑い過ぎちゃいました。こうしたお2人を見るのがあまりないので新鮮でした」
山根は、憧れる先輩の笑顔を前に目を輝かせていた。
「ずんちゃんの司会が上手かったから心配することなくワイワイ楽しんじゃった」と横山が言えば、向井地も「普段は私たち仕切る側ですからね」とうなずいた。
11月27日、パシフィコ横浜 国立大ホールで、横山由依の卒業コンサート『MXまつり 横山由依卒業コンサート~深夜バスに乗って~ supported by 17LIVE』が行われた。AKB48グループ2代目総監督としてAKB48をけん引してきた功労者であり、メンバーにとっては精神的支柱だった。その横山のフィナーレは涙で濡れた。
その2日後、そしてAKB48劇場での最後の姿を9日後に控えたこの日の配信。しんみりしたものになるのではないかと思われたが、明るく、そして笑いに包まれた。
横山と向井地は「総監督な2人」としてゲスト出演した。卒業コンサートの裏話やお互いの好きなところ嫌いなところなどが明かされたが、なかでも総監督引き継ぎ期間のギスギスとした関係性は山根、そして視聴者を驚かせた。しかしそれも全て“いい思い出”として笑顔へと昇華されていった。
すべての鎧を脱ぎ、楽しんでいる横山。京都弁が饒舌になる。向井地も笑いながら返していく。その掛け合いに腹を抱え笑う山根。立場を忘れて楽しんでいる3人のさまは、青春を謳歌する少女のようだった。
「はしゃいでいる姿を見て本当に嬉しかったです」
山根が2人に向かってそう言葉をかけて終えた配信後の取材。3人の言葉をそのまま残したいと思い、今回は次回ゲストの千葉恵里、西川怜の印象も含め一問一答で届けたい。
横山由依がご馳走したもの
――卒業コンサートの時の手紙でも言ってましたけど、ギスギスしていた関係は、正式に向井地さんが総監督になる移行期間の時だったんですか?
向井地 総監督になる前でしたね。
――公にしたのはあの時が初めて?
向井地 あの時の手紙とメモリアルブック(AKB48横山由依卒業メモリアルブック「深夜バスに乗って」)の対談で言いました。
横山 そうなんです。だからメンバーにも言っていないんです。
――こうして言えるようになったということは…。
向井地 手紙を書かせて頂くならそれにも触れたいと思いました。今では笑って話せます!
――メンバーと会う時間も減ってきています。
横山 メンバーとこうして過ごす時間がなくなるのは寂しいです。メンバーとワチャワチャするのはAKB48ならではというか。卒業して一人になった時、別の方とそういう機会はあるかもしれないけど、リラックスしたメンバーとのトークはなくなると思うので寂しいです。
――山根さんはきょうの配信どうでしたか?
山根 卒業直前だから来て頂けるとは思ってもいなかったのでびっくりです。これは「17LIVE」さんの凄さだなって(笑)。
――山根さんは、馬刺しを最初に食べたのが横山さんと鍋に行った時と話していましたね。
山根 そうなんです。馬刺しを食べる度に思い出します。
横山 ずんちゃんの馬刺し、初めてが私だったんだ。そういうのは嬉しいですね。
――向井地さんはどうでした?
向井地 めっちゃ楽しかったです。そうそう! 今思い出したんですけど、昔、横山さんに「美音は食べたことがないものがいっぱいあるから、私と一緒に経験しようね」と言ってくれたのを思い出しました! ウニもあまり食べたことがないだろうからって。
横山 そうそう! 懐かしい! 食わず嫌いがすごく多かったんだよね。
向井地 すごく偏食で、いまはそれもなくなったんですけど。お寿司行きましたよね!
横山 行った!
向井地 うわ~、急に思い出して、懐かしくなりました!
横山 めっちゃ行ったな。しかも回らないお寿司。
向井地 そうです! ちゃんとしたお寿司に連れて行ってくれたんです。初めてでした。それも約束して行ったんじゃなくて、その日に嫌なことがあって落ち込んでいて、横山さんから「行こうよ」と誘ってくれて。
横山 めっちゃ懐かしい!
――横山さんのそうしたエピソードはよく聞きますね。他のメンバーさんも悩んでいる時に声をかけてくれたって。
横山 でもその能力、捨てたいんです。
向井地 え! なんでですか?
横山 AKB48ではすごく良かったんですけど、それが一人になると、これを言ったら相手はこう思うんじゃないかと思って何も言えない可能性があるから。そういう察しすぎるところを少しなくして、自分の言葉をしっかり伝えたいなって。思っていることを言わないと伝わらないと思うので、特に最近の世の中はそういう傾向が強いから。いまはそれが必要かなって。
――自分の意見をはっきり言わないといけない場面もありますからね。
横山 そうなんですよ。
――でも察することで救われたメンバーがいたわけですから。
横山 そうだと嬉しいですね。
向井地、山根ともに深いAKB48愛
――横山さん、改めて向井地さんと山根さんを普段どう感じているのか教えてください。
横山 美音は15期で私は9期。年齢も入った期も離れているけど、考え方が大人っぽいんです。私は何年もAKB48にいて、それから美音が入ってきたけど一緒の会話ができる感覚があって。AKB48の事に関して同じ感覚で話ができる後輩で、特別な存在です。美音はAKB48が好きだし、総監督になるのも納得。厳しく接した時期もあったけど、卒業コンサートの手紙でも「それがあったから良かった」と言ってくれたから自分も救われて。卒業してからの関係性が楽しみですね、もとに戻るので(笑)。総監督としての関係性ではなく、一人の人としての関係値になっていくので、お互いに楽になるだろうし、個人的な相談もし合えると思う。AKB48のことも私は分かるからそれに対するアドバイスもできるところもあると思うから、そこは面白い広がりが持てそうだなって今から楽しみです。
――お風呂に入らないでソファーで寝ても?(※配信では、横山宅に向井地が泊まりに行った時にお風呂に入らないでソファーで寝てしまったことを話していた)
横山 それはいやだ(笑)。お風呂に入ってもらって。シャワーを浴びさせて寝かしつけたいです(笑)。
――親ライオンですね。(※配信で、横山の向井地への接し方が子ライオンに接する親ライオンのようだったと話題になった)
向井地 (甘えた声で)お願いしま~す(笑)。
――山根さんに対してはどうですか?
横山 ずんちゃんは良い子です。いい子だし、感受性が豊か。人の事まで考えているし、自分の事もしっかり考えている。そこが魅力的だし、ちょっと心配なところでもあって。でも自分のペースでやっていったらいいなって。この番組だってずんちゃんにしかできないことだし、そういったことを1個1個丁寧に掴んでいくと思うし、すごく素敵だなって。だって、私が昔だったら他の子が出ている番組を観ていたとしても公表できなかったと思う。でもそれを「ここがこうで素敵です」と言えるずんちゃんが素敵。
山根 え! 嬉しい!
横山 そういうグループでの居方は、ずんちゃんが切り開いてきたものだと思うから、美音もAKB48愛があるけど、ずんちゃんからもそれを感じられるので、素敵だなと思ってみています。
――多くの経験を積んで、たくさんのメンバーも観てきている横山さんにそう言われるのはどうですか?
山根 嬉しいです! メンバー同士でいいところを言う機会はあまりないので、そういうふうに思って頂いていたんだと知って嬉しいです!
横山 確かに言う機会はあまりないよね。美音と私たちは対談でさせてもらっていますけど、全員でこういうのはあまりないので。
山根 嬉しいお言葉を頂きました!
――自信につながりますね。
山根 自信につながります!
横山由依が贈る言葉
――さて、このインタビュー恒例のキャッチコピーです。向井地さんへ以前つけているので、今回は横山さんに。横山さんと向井地さんのペアは「横山らい音」でしたが…(笑)
山根 ゆいはんさんは、私のAKB48人生のなかで一番重要な人です。なので「一番重要な人」。2年前にご飯行ったときに言ってもらった言葉で私ここ2年頑張れていて、くじけそうになったときとか、落ち込んだとき、自分が焦ったときはゆいはんさんから頂いた言葉で頑張れてます。
――どんな言葉だったんですか?
山根 「ゆいはんさんは努力をされてきた方ですから…」という話をさせて頂いた時に、「最後勝てばいいから」って。
向井地 めっちゃかっこいい!
山根 ゆいはんさんは「同期とかも先に行って焦ると思うけど最後に勝てばいいから」って言って下さったんです。
向井地 すごい!
山根 その言葉でめっちゃ頑張れました。
――その言葉には自分の経験が?
横山 そうです。私自身がそういう経験してきたからなんです。最初の頃、みんなが出ているコンサートに3人だけ出られないことがありました。選抜の方や雑誌に出ている同期とか、自分が選ばれないことがたくさんあって。それでも劇場でやるべきことやっていって、そうしたら先輩がキャプテンに指名してくれたり、総監督も任せて頂いて。自分の道を見つけられたことが私のAKB48人生で良かったことだと思っていて、同期が先に行ってそこで諦めたら自分の道も見つけられていなかったと思うし、そこで辞めていたらこうなってもいなかったですし。人それぞれにチャンスが来るタイミングがあると思っているので、私もその時に掴めるようにやってきていて。勝ち負けで表現するのは違うかもしれないけど、分かりやすく伝えるためにそういう表現をしたんですけど、最後に自分が満足して、自分として勝てたと思えたらそれが一番いいと思う。ずんちゃんはその時の悩みが深刻という感じで、置かれている状況や周りも分かっていたから「ずんちゃん最後勝てばいいから腐らずにやった方がいいよ」と伝えました。
――高橋みなみさんの名言ではないけど、努力していれば必ずチャンスは訪れる?
横山 「努力は報われる」とは私の立場では言えないけど、チャンスが来た時にそれに乗れるかどうかと思っています。それに乗れる人はそれまでにちゃんとやってきた人だと思っていて、美音もしっかりと自分の夢、なりたいと思って掴んでいるし、チャンスは誰からどこでどういうものでくれるかは分からないから、自分の一時の感情で諦めるのはもったいないなって思います。
千葉恵里と西川怜はこんな人
――さて、来週は千葉恵里さんと西川怜さんがゲストです。2人への印象は?
向井地 恵里は変な人です(笑)。すっごく変(笑)。顔も可愛くてスタイルも良くてルックスはめちゃくちゃ可愛くてモデルさんという感じなんですけど、中身が変(笑)。「ハ」が好きなんですよ!
――「ハ」?
向井地 歯です!
山根 メンバーの歯を磨いていることがあります。
向井地 え!!!! 恵里のなかで「この人の歯が好き」というのがあるみたいで…。
横山 びっくり! 恵里は現代っ子だなって思っていて。私の卒業ソング「君がいなくなる12月」はYouTubeで解禁になったんですけど、恵里は「LINE MUSICで早く解禁になってほしい!」って言っていて現代っ子だなって(笑)
――西川さんは?
向井地 怜ちゃんはめちゃくちゃしっかりしていて、若手世代ではリーダー気質な感じもしますし、めっちゃ面白いんですよね。横山さんと仲がいい。
横山 私も怜ちゃんも餃子がすごく好きで何回か食べに行ったことがあって、その流れで私の家で映画を見ることになったんです。怜ちゃんが1回見たことがある恋愛映画があって「それを観ましょう」と。そうしたら初めて私の家に来て映画を見て大号泣。しかも同じ映画を見るのは2回目なのに。めっちゃリラックスしてるやんって(笑)。場に馴染む力があるんですよ。初めて行った先輩の家で、普通なら緊張するやんな、度胸あるなって(笑)。
向井地 怜ちゃんは頭が本当にいい。クラス一の秀才みたいな、それをいまもずっと守っているみたいです。
横山 美音に近いかも。頭の回転が速い。怜ちゃんとは年齢が10個ぐらい違うけど、普通に会話しています。後輩としゃべっている感じがなくて賢いという感じ。人間力が高い!
いまが理想形
――ところで、向井地さんが卒コンでの手紙で「今の若手は横山さんが育てた」と言っていましたけど、逆に横山さんから見た向井地さんは?
横山 総監督で見た場合、たかみなさんはぐいぐい引っ張っていくタイプで、私は一緒に歩くタイプ。それは美音も言ってくれたんですけど。美音の場合は周りに自分の役割を見つけさせるリーダーだと思っています。私はたかみなさんを見ていたので「自分で言わないと」と思うところがあって、注意するときは自分で言おうと思っていたんです。でも美音はきつく言うことはなくて、言い方が丁寧。周りのメンバーも自分で見つけたことを言える空気感があるんです。美音だけの一強ではなくて、みんなで、というのがあって、それは美音の人柄というか魅力。ピリピリしているところがない。だからみんなが言えるし、みんなが見つけられる。でも美音は要所で鼓舞することを言う。歴代の総監督をくみつつ、美音ならではの総監督というのを見せている印象です。
――向井地さん、横山さんとは卒業後、関係性が深くなるかもしれないですけど、ずっとそばにいてくれた頼りになる人がいなくなるという不安は?
向井地 やっぱり不安です。でもここが総監督として独り立ちするタイミングだと思っていて。これまでリハーサルとかいろんな場面で横山さんと同じ思いで引っ張っているという安心感があったんですけど、総監督として共有できる相手がいなくなるのはすごく寂しいです。でも横山さんが「立派になったね」と言ってくれたので、その言葉を自信に変えてこのままやっていこうといまは思えています。総監督としては一人、これからは戦っていきたいと思います。
――横山さんは、卒コンの後の囲み取材で「今のAKB48は素晴らしい」と言っていましたね。
横山 素晴らしいです。どの時代も楽しく、大好きなAKB48ではあったけど、自分が目指していた理想としていたAKB48がいまあります。個人も一人一人ももちろん素敵。その上でグループとしての見せ方というかパフォーマンスの仕方が提示できています。粗削りだったとしても歌とパフォーマンスをみんなで揃えたり、レッスンをたくさんしたり。「根も葉もRumor」をきっかけに意識がガチっと芽生えたので、いい意味で手を抜けないAKB48になっていると思います。
向井地 うんうん!
横山 それが理想だったんですよ。私は全力でやりたいタイプだったから、それが浮いていた時期もありました。でもそれが浮かないAKB48になっていること、この状態のAKB48を卒業できるのが嬉しいです。
――「根も葉もRumor」をライブでフルで披露したのは卒コンが初めてでしたが、実際に見たらシンクロがすごいですね。
横山 そうなんですよ!
向井地 嬉しい!
横山 あれは気持ちが揃わないとできないんです。1曲だけ披露するなら揃えられるけど、あの時は5曲目にやったので、みんなしんどいけど「揃えるぞ!」という気持ちも揃っていたと思います。みんなで頑張ってレッスンで揃えてきましたけど、それ以上のものがあの場で出ていました。
向井地 本当にそうです!
――山根さん、横山さんにこうして言えたり、聞く機会も減っていくので最後にどうぞ。
山根 きょう一番楽しかったです!
向井地 嬉しい!
山根 素で大声で笑って、そんな自分を俯瞰して見た時にめっちゃ大声で楽しんでいるなって(笑)。
横山 (ユーザーからの)コメントにもあったもんね。「ずんちゃん司会が上手くなっている」って。
向井地 そうなんですよ!
横山 私たちもずんちゃんに対して心配することがなかったからワイワイと楽しんじゃった!(笑)
向井地 普段は私たちが仕切る側ですからね。
横山 美音は特にしっかりしないとという立場だからね。
向井地 きょうも台本を見ずに(笑)。
横山 そうだ、というか台本持って行かなかったね(笑)
向井地 そうなんですよ。初回配信から持って行っていないですよ(笑)
山根 はしゃいでいる姿を見るのがほぼ初めてだったのでめっちゃ嬉しかったです!
(おわり)
※「AKB48広報 山根涼羽の○○な2人」は毎週火曜日20時から配信。また、17LIVEアプリをダウンロードすれば無料で視聴が可能だ。
アカウント:
AKB48_official
https://17.live/profile/r/13741515
12月7日(土)に開催された「MXまつり「横山由依卒業コンサート〜深夜バスに乗って〜」supported by 17LIVE」と「“アフタートーク”ライブ配信」が17LIVEで12月9日(木))まで無料アーカイブ配信中。
また、12月9日(木)に開催される横山由依の卒業公演の模様は「AKB48 LIVE!! ON DEMAND」(有料)、VR SQUARE「AKB48+(PLUS)チャンネル」(有料)にてご視聴いただけます。
AKB48は、2022年1月12日(水)、13日(木) にパシフィコ横浜 国立大ホールにて、AKB48フレッシュメンバーによる『新春!AKB48フレッシュコンサート2022〜冬もやっぱりAKB!〜」と「新春!エイトの日2022 横浜おしゃれ祭り」を開催決定!
詳しくはAKB48公式サイト(https://www.akb48.co.jp)にて。
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