七海ひろき「少しでも成長した姿を」ワンマンライブ「”FIVESTAR”」を振り返る
INTERVIEW

七海ひろき

「少しでも成長した姿を」ワンマンライブ「”FIVESTAR”」を振り返る


記者:村上順一

撮影:

掲載:21年11月28日

読了時間:約8分

 宝塚歌劇団で男役スターを務めた七海ひろきが11月24日、LIVE Blu-ray『One-man LIVE773”FIVESTAR”』をリリース。2019年8月にメジャーデビューし、俳優、声優、アーティストなど多方面で活動。今回リリースされる『One-man LIVE773”FIVESTAR”』は、今年7月にリリースされたミニアルバム『FIVESTAR』を携え行われたツアーの中から、生配信も行ったLINE CUBE SHIBUYAでのステージで披露された23曲を収録。映像特典として七海ひろきだけを追った「オンリー七海ひろきアングルver.」も収録されている。インタビューでは、久しぶりの有観客でのツアーはどんな意識で臨んだのか、映像作品としての見どころなど多岐に亘り話を聞いた。【取材=村上順一】

少しでも成長した姿を

『One-man LIVE773”FIVESTAR”』ジャケ写

――コロナ禍になって七海さんはどんなことを考えた時間でしたか。

 皆さんと会えないことがすごく寂しかったり、そういった状況が続いていたので、何か発信していきたいという気持ちで、止まることをせずできるだけ皆さんと交流を持てることを模索しながら活動していた1年半でした。元々、LINE LIVEで配信をしていたのですが、新しい企画内容を考えたり、皆さんとコミュニケーションを沢山取れるようにしていました。

――その中でYouTubeでやっていた「スタイリッシュ体操」は興味深かったです。これは七海さんだからできるクオリティだなと思いました。

 ステイホーム期間でのアイデアで、少しでもお家で楽しめて、体も動かせるものというところを形にしていきました。私のことを知らない方も見てくださって面白いと言ってもらえて嬉しかったですね。

――振り付けは別の方に頼まれて?

 風馬翔さんにお願いし、こんな感じでというコンセプトやイメージを伝え、振り付けを考えていただきました。最初に、完成した振り付けを見た時は爆笑でした(笑)。決して笑いを取りにいっているわけではないんですけど、一生懸命にやっている中で、ちょっと笑ってしまうようなものができたらいいなと思いながらやっていました。

 「スタイリッシュ体操 第一」を一回目に撮影した時は屋内で、まだまだ何かが足りないという感じでした。それで「よりスタイリッシュにするためには?」ということで、屋上で撮影しました。「スタイリッシュ体操 第二」はミラーボールのあるライブハウスで撮ったら面白いんじゃないかとなって全力で作りました。

――ロケーションも大切ですよね。さて、7月からスタートした東名阪ツアーはいかがでしたか。

 有観客ライブを久しぶりに行わせていただいて、まずライブが行えたことに感謝の気持ちでした。決して一人ではできることではなくて、スタッフの皆さんや何よりお客さんが万全の対策をとってくださったからこそできたことだと思いました。

 久しぶりの本格的なライブだったのですが、最初は舞台の稽古と重なっていたので、ちゃんとツアーを走り抜けることができるんだろうか、という不安もありました。でも、色々の方の協力やサポート、ファンの皆さんの「楽しみにしてます!頑張れ!!」という声に支えられながら、無事に終えることができました。初日の名古屋公演は緊張もありましたし、久々の有観客だったこともあり、すごくテンションが上がって、今までの人生の中でも一番と思えるくらいアドレナリンみたいなものが放出されたライブでした。

――そうだったんですね。

 それもあって、いつもはSNSで「おはよう」や「おやすみ」を発信しているんですけど、「おやすみ」を言う前に寝てしまいまして。次の日にみんなにごめんと謝りました(笑)。今までに経験したことがないものだったので、大きな一歩を踏み出したような初日でしたし、それを経ての東京と神戸だったので初日を超えるものを、という気持ちで臨みました。

――舞台経験の多い七海さんでも、珍しいことなんですね。

 過去にも舞台が終わって、帰ってきてソファーに座ると眠気が襲ってきて夜の8時くらいから12時くらいまで寝てしまうこともあったのを思い出しました。でも、名古屋公演はお客さんがこの瞬間を待っていてくださったんだなというのもすごく伝わってきて、声は出せないけれど同じ気持ちになればこんなにも空気が振動するんだと、舞台上から感じた結果なのかなと思います。

――どんな姿を見せたいと考えてツアーに臨んだのでしょうか。

 アーティスト活動を始めた時から、アルバムやツアーを行うたびに少しでも成長した姿、アーティスト七海ひろきとして進んでいく姿を見せたい、という気持ちです。

――セットリストもその気持ちが表れていますね。

 セットリストは考えていくうちに、これまでに出したアルバムの曲をなるべく沢山聴いていただきたいなと思いました。そして、休憩を挟んでから昨年のディナーショーで歌った曲も披露したんですけど、ダンサーさんを入れたり、バンドさんにアレンジしてもらったりと、ライブステージでやったらどうなるのか、という楽しみもありました。

――七海さんから見たディナーショーの魅力とは?

 その日のために何を着ていこうかなとか、どんなお料理が食べられるのだろうか、あとその日のための特別なカクテルもあったり、ライブにはない楽しみがあります。ショーが終わった後も友達とその日のことを共有したり、一つのショーで多くの時間を掛けて楽しめるところが素敵だなと感じています。

心に持っている言葉とは

――今回映像作品としてリリースされますが、七海さんは客観的にライブを見ていかがでした?

 リアルライブでの楽しさと、映像として楽しむのは少し違うと思うんですけど、カメラワークや照明、バンドさんが演奏している姿だったり、沢山のカメラを使って1曲の時間を楽しんでもらえるようにというのを考えています。すごく素敵な映像になりました。特にこのライブは曲ごとの照明も凝っていて、見ていて楽しめるものだと思います。また、細かい動きや表情にも注目して観てもらえるのも映像作品としての楽しみ方の一つかなと思います。

――七海さんのお気に入りの照明演出は?

 一番感動したのは「もう一度...」という曲で時計のことを歌っている歌詞があるのですが、その時に照明が時計回りに回転していて。それを見た時になんて素敵な照明なんだと思いました。割とステージングは自由にやらせていただいたのですが、その時だけはステージのセンターにいないとその演出が見えなくなってしまうので、その時だけはセンターに行こうと決めていました。

――ご自身の中で、特に気持ちが高まっていたと感じた曲はありましたか?

 『FIVESTAR』の曲をお届けするのが初めてだったので、その収録曲たちを歌っている時は自分でも「どうなるんだろう」という気持ちと、「皆さん、見守っていてください」という気持ちがあったので、『FIVESTAR』の曲を披露する時は高まっていた気がしています。

――あと、MCではパフォーマンス中の時とはまた違った七海さんが見れますね。ハンディタイプの扇風機もご用意されていたのも、印象的でした。

 確か『GALAXY』のライブの時だったと思うんですけど、私は暑がりなので扇風機をスタッフさんが用意してくださって。そこから今回も昼公演は足元に置いてくれていたのでパフォーマンス中も快適にできました。Blu-rayに収録されている夜公演の時は映像の関係もあったので、ハンディタイプの扇風機でMC中に涼みながらお話しさせていただきました。

――もしかしたら観ただけでは伝わりづらいかもしれないですけど、実はこんなことを意識してパフォーマンスしていた、というような事柄はありますか。

 七海ひろきとして歌っているんですけど、曲によってイメージするものを変えて歌っていました。例えば「Never too late」は格好よく、「花に嵐」は大人っぽく、「QQ」はアザラシのように歌おうみたいな。抽象的ではあるのですが、そういった感情を持って自分の気持ちをより大きくしてステージに臨んでいるので、その微妙な表情の変化も見ていただけたら嬉しいです。

――七海さんだけが映っているという「オンリー七海ひろきアングルver.」が活きますね!

 そうですね! 汗だくになっているところや、必死になっている瞬間を楽しんでもらえると思います(笑)。ちょっと照れくさいんですけどね。

――ライブの中でチャレンジはあったのでしょうか。

 一番はダンスを踊りながら歌うことでした。『FIVESTAR』に収録されている曲はチャレンジが多かったので、それをライブで歌うこと自体がチャレンジでした。レコーディングしたものと、お客さんがいる中で聴いてもらうのは全然違うと感じています。私の中では、皆さんにライブで聴いてもらえて初めて、スタートラインに立てるのかなと思っていて。曲は、歌い続けていくことで、自分自身の中でも、皆さんの中でも成長していくものだと思っているので、そのスタートラインに立つのがライブで聴いてもらえた時なんです。

――楽曲が成長していく感じがあるんですね。「DARKNESS」を聴いてもっとロックな七海さんが見れるんじゃないかという期待も高まりました。

 これからもいろんな楽曲にチャレンジしていきたいと思っているのですが、元々ロック系の曲は好きなので、今後もそういった楽曲は挑戦していきたいと思っています。

――ちなみに七海さんが今聴いているロックバンドは?

 ちょうど今、テレビアニメで『ヴィジュアルプリズン』という作品に声優として出演させていただいていて、その中でヴィジュアル系の楽曲を歌唱するので、L’Arc〜en〜CielさんやMALICE MIZERさんをよく聴いています。ヴィジュアルロックは世界観がすごく確立されていて1曲の中でもいろんな変化があって面白いなと思いました。

――さて、個人的に言葉で支えられることがあると感じていて、言葉がすごく重要だなと思っています。七海さんの支えになっている、常に心に持っている言葉はありますか。

 宝塚を退団する時にも言った言葉なのですが、「変わらないために変わり続ける」という言葉です。もともと宝塚在団中にお仕事で関わらせていただいた方の言葉なんですけど、すごく感銘を受けました。止まらず進化し続ける自分でいたいなと思って、私の中にいつもある言葉です。

 これは、常に根本にある信念は変わらないけど、変わり続けていくことで進化していけるというものです。信念が変わらないからこそ皆さんも安心して付いてきていただけると思いますし、進化していく姿を見守ることができるのではないかなと思います。そして、私自身も進化して行こうという気持ちが生まれるんです。

――いい言葉ですね。最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

 『FIVESTAR』というアルバムが挑戦の始まりとなって、ワンマンライブでは今までの私とこれからの私を表現できたライブになったのではないかなと思います。何度でも観たいと思っていただける映像作品になったと思うので、盛り上がりたい時は勿論、ちょっと落ち込んでしまった時や元気がない時にもこの映像を観ていただいて、元気を取り戻してもらえたらいいなと思います。ぜひ何度でも観て楽しんでもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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