BUKOWSKIの来日公演で考察するフランスのヘヴィロックシーン
池袋で行われた8日の来日公演でシャウトするベースのジュリアン・ドッテル。前日足を痛めたらしく、足を引きずりながらも激しくパフォーマンス
フランスから来日したBUKOWSKI(ブコウスキー)のライブが12月7日・8日、都内で行われた。7日は渋谷・SHIBUYA MILKYWAYで『Far From Perfect presents Novo”Everything Changes”TOUR FINAL』と題して単独ライブを、8日は池袋・KINGSX TOKYOで『KINGS OF ROCK vol.20 ~BUKOWSKI来日公演~』と銘を打って対バンライブを行った。
フランスのロックバンドだと「Phoenix」、ダンスミュージックでは「DaftPank」などが有名だが、失礼な話フランスと聞いてロックバンドをあまり想像出来なかった。やはりフレンチポップのイメージが強いせいもある。果たして「BUKOWSKI」とは一体どのようなバンドなのか?
BUKOWSKIは、マシュー・ドッテル(Vo.G)、ニコ“サンダー”ノッティー(Ds)、ジュリアン・ドッテル(B,Cho)からなるパワートリオで、2007年に結成されたロックバンド。現在はフレッド・デュケスン(G)がバンドのセカンド・ギタリストとして正式なメンバーとなり4人組として活動している。
2013年に、母国フランスで発売されたアルバム『ハザーダス・クリーチャーズ』が日本国内でも、2014年7月23日にKING RECORDSより発売され、彼らにとって待望の日本デビューを果たす事となった。
既にヨーロッパでは「SONISPHERE」や「HELLFEST」などの欧州を代表するロックフェスにも出演し、「メタリカ」、「KISS」、「メガデス」などのビッグバンドとも共演を果たしている。更には、セカンドアルバム『The Midnight Sons』はOui FMリスナーズの2011年ベストロックアルバムにも選ばれている。
今、最もヨーロッパでブレイクしているロックバンドのひとつに数えられていると言ってもよかろう。そのBUKOWSKIの音楽性だが、ジャンルで言うとヘヴィロックやラウドロックに属する。アメリカのバンドでは「リンキンパーク」や「フーバスタンク」などが有名。
もう少し細かく分類するとBOKWSKIをフランス発のメタル「フレンチメタル」だという人もいるだろう。ちなみにフレンチメタルで有名なのは「GOJIRA」や「Anorexia Nervosa」などがいる。
筆者も8日公演に訪れ、生のパフォーマンスを体感したが、聴いた感じではメタルというよりもヘヴィロック、ラウドロックの方がしっくりくる。メタルでありがちなドラムのツーバスでもないし、ギターソロも速弾きも用いていないところからすると、ブルースハードロックを現代風にヘヴィにしたスタイルだと思われる。
前記の8日公演は午後9時頃から彼らのパフォーマンスが始まった。オープニングからヘヴィロックバンドらしく分厚いリフからスタート。そして体の芯にドラムのキックが響いてくる。そのドラムの音圧に勝手に体がリズムを刻み始めてしまう。もちろん出だしからフルスロットルだ。そしてBassのジュリアン・ドッテルがオーディエンスを煽る。
さすがに現在のヨーロッパ全土で人気急上昇中のバンドだけあって、ロックバンドとして重要なギターのリフと歌のメロディが際立っている。特にメロディはキャッチーさもしっかりあり耳に残る。
最近のヘヴィ系のバンドだとアレンジはカッコ良いがメロディがイマイチなバンドもいる中「BUKOWSKI」はメロディも充実していてすごく好印象だ。Vocalマシュー・ドッテルの声も声量がありメロディがしっかり伝わってきた。もちろん演奏も大陸的なビッグサウンドで気持ちの良いグルーブを出している。
そして筆者が注目したのはVocalのマシュー・ドッテルがギター演奏に積極的にWahWah(ワウワウ)などのペダルエフェクトを多用しているところや、Bassのジュリアン・ドッテルのシャウトがバンドの演奏にスパイス加えていたことが印象に残る。
マシューがギターにも積極的なのは、3ピース時代の名残がある物と思われる。普通ならこういうエフェクト系などはセカンドギターが担当するのがセオリーでVocalはバッキングのみでジャカジャカ弾いているのが多くのバンドの傾向だったので少々驚いたが、元々3ピースとわかり納得した。
そして、ジュリアンのシャウトがまた迫力があり嫌が応にもテンションが上がってしまう。意外にもこのシャウトがこのバンドになくてはならない存在にさえ思えた。いわゆる肝と言える。
今回のライブではミディアムナンバーが1曲あったぐらいでほとんどの曲がスピーディかつハードな曲のセットリストであった。欲を言えばバラードなどスロウな曲も聴いてみたかった。今回は対バン形式だったのでワンマンでは楽曲のバリエーションにも期待したいところだ。
そしてライブならではの演出として終盤のとある曲ではスタッフを客席の真ん中に置き、バンドの合図と共にオーディエンス達からもみくちゃにされるという場面も。
今回のライブではニューアルバムから「KEEP YOUR HEAD ON」、「BROTHERS FOREVER」などが演奏された。
来年にはラウドパークの出演も期待してしまうほどの内容だった。まだまだこれからもツアーなどでバンドの一体感を磨いて行くことで、更に洗練された楽曲やライブが生まれて行くに違いないと確信できたるライブでもあった。
次回の来日はまだ決まっていないが、是非また来日してくれることを期待したい。 【取材・上村順二】