弾き語りトラックメイカーアイドルの眉村ちあきが17日、自身初の“音楽隊”(バンド)を率いて東京・中野サンプラザホールでワンマンライブ『眉村ちあきの音楽隊』を開催した。眉村ちあき音楽隊は、越智俊介(Ba)、兼松衆(Key)、qurosawa(Gt)、小西遼(Sax)、吉田雄介(Dr)という気鋭のミュージシャンが担当し、そのサウンドで新たな眉村ちあきワールドを展開。ライブは新曲の「モヒート大魔王」や「悪役」などダブルアンコール含め全22曲を披露し、これまでとは一味違ったステージでファンを楽しませた。そのライブの模様を以下にレポートする【村上順一】

サンプラザへようこそ〜!

(撮影=Ryo Higuchi)

 開演時刻になり生バンドによるゴージャスサウンドが鳴り響くと、観客も一斉に立ち上がりライブを楽しむ準備は万端。幕が上がると音楽隊の演奏に乗って眉村が投げキッスでステージ袖から登場。満面の笑顔で夏をテーマにした新曲「モヒート大魔王」でライブの幕は開けた。サビでのクラップも印象的で、全身で音楽隊の音を浴び楽しそうに歌う姿が印象的な幕開けだった。

 「元気〜? サンプラザへようこそ〜!」と観客に投げかけ個性的な展開を見せる「Individual」へ。小西遼のサックスとのユニゾンや、オペラのセクション、さらにラップパートとノンジャンルな“眉村ワールド”を堪能できる1曲。妖艶な雰囲気を醸し出した「開国だ」で、スケールの大きさを感じさせる迫真の歌唱で聴かせ、序盤から眉村の魅力全開のステージだ。

 自由奔放な眉村のキャラ全開だった「I was born in Australia.」。眉村自らカウントを出して曲へと入るのだが、そのトリッキーなカウントに入るタイミングが読めない。吉田雄介(Dr)はじっくりと眉村の一挙一動を見守り、さすが百戦錬磨の音楽隊メンバー、バッチリトリッキーな眉村のカウントに動じずバンドイン。これには眉村も「すご〜い」と声を上げ、見ている我々にもスリリングな瞬間を味わわせてくれた。

 生バンドのサウンドに興奮冷めやらずといった様子を見せる眉村。「壁みてる」を披露するにあたり、声が出せない中での楽しみ方として、体を使ったコール&レスポンスを観客にレクチャーするが、めちゃくちゃ細かい要求に配信でのチャット欄で、「いきなり試練」、「でもマユムラーはこれに対応しちゃうのよw」、などコメントで盛り上がっていた。

 そして、ガラッと雰囲気を変え眉村は落ち着きのある着座スタイルで歌唱した「夏のラーメンワルツ」を披露。兼松衆のピアノと小西遼のサックスのみというシンプルな編成で、しっとりと丁寧にこの夏を彩った。続いて、ピアノ伴奏で届けた「DEKI☆NAI」、「本気のラブソング」バラードたちは、感情表現豊かな眉村の歌唱スキルの高さが際立だったセクションだった。

(撮影=Ryo Higuchi)

 ここで音楽隊は一旦ステージを後にし、眉村のソロセクションへ。「東京留守番電話ップ」では、ミラーボールが眉村の頭上で眩い光を放つ中でのパフォーマンス。サビでは観客も眉村の腕の振りに合わせ大きく左右に振り、一体感を高めた。そして、替え歌が日清食品「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」のCMソングとして流れていたのも記憶に新しい「顔ドン」を披露。楽曲の後半では迫力のあるデスボイスも披露し、天真爛漫なスタイルで繰り広げるステージのボルテージはさらに高まっていく。

(撮影=Ryo Higuchi)

まだ開かなければいけない扉がいっぱいあるんだ

 ここで眉村の真骨頂でもあるフリースタイルへ展開。その時の気分で繰り出されるインプロヴァイズされたメロディで楽しませてくれる。ミュージカルを彷彿とさせる展開から、アコースティックギターを手に取り弾き語りで<私はロボット〜>と歌い上げた。そして、ソロセクション最後は「代々木公園」。ステージ後方には星空をイメージさせる光が投影され、幻想的な空間を作り出した。

(撮影=Ryo Higuchi)

 続いて、ギタリストのqurosawaをステージに呼び込み、「奇跡・神の子・天才犬!」のアコースティックバージョンを披露。qurosawaの奏でるアコギをバックに伸びやかに歌い上げ、越智俊介のベースサウンドが際立った「おばあちゃんがサイドスロー」では、音楽隊のソロセクションもあり、生バンドならではのコーナーも。そして、観客もリズムに乗って横揺れして盛り上がった「ブラボー」、眉村からの優しさが詰まった1曲「やさいせいかつ」、眉村が裸足になり活き活きとしたパフォーマンスで魅了した「冒険隊〜森の勇者〜」と、緩急をつけた流れで楽しませた。

 MCで次に歌う人気曲「大丈夫」を「ずっと嫌いな曲でした」と告げる眉村。「ノリで作った曲をみんなが褒めるから。もっと手を掛けて作った曲もあるのに...」と嫌いな理由を明かした。さらに、音楽隊のメンバーに対しても演奏が上手すぎて嫉妬したという。8月に配信リリースされたばかりの新曲「悪役」のBand Ver.の反響に「まだ開かなければいけない扉がいっぱいあるんだ。自分一人で編曲するよりも人と組んだ方が褒められるんだもん、悔しい〜! でも私が一人で編曲した曲の方が一番好きだという人もいると思うし、私どの扉が好きかはわからないなと思った。だから私はこのままで生きていこうと思った」と、なんとも負けず嫌いな眉村が垣間見れた瞬間だった。

(撮影=Ryo Higuchi)

 そんなMCから「大丈夫」を歌唱。音楽隊の演奏と眉村のエネルギーが見事に融合し、より立体的で強さを感じる曲へと昇華。そして、夏の恋を歌い上げたポップチューン「悪役」を本編ラストに披露。ステージ上を舞いながら感情をマイクに注ぎ込み、笑顔でステージを後にした。

 アンコールの手拍子に応え、ステージを後にしてから2〜3分という短いスパンで登場した眉村は「(出て)いいよ、と言われていなのに出ちゃった(笑)」と、屈託のない表情。アンコールは「私についてこいよ」を弾き語りでしっとりと届け、再び音楽隊とノリノリで「あごけずりゆうこ」を披露。体を動かさずにはいられない躍動感に満ちたパフォーマンスで、最高の空間を作り上げた。

 観客に感謝を告げ、ライブの終わりを感じさせる中、眉村は「帰りたくない〜」と降りた幕の間から前に出て、ダブルアンコールへ突入。何を演奏するのか期待が高まる中、眉村が口頭で音楽隊へコード進行を伝え、フリースタイルコーナーで披露した「ミュージカルMCで産まれた曲」を、まさかの即興演奏で披露。眉村はこのセッションに「最高〜!!」とステージを飛び跳ね喜びを表現。この展開にチャット欄では「こんなセッションできちゃうのすごすぎ」、「涙が出るほどすごい」といったコメントで溢れた。眉村は「音楽って最高じゃん! 大好き〜!!」と観客に投げかけ、約2時間のライブの幕は閉じた。

(撮影=Ryo Higuchi)

 これまでのライブとはまた一味違った眉村ちあきを見ることができたステージだった。ソロで既に完成されていた音楽が人のエネルギーが加わることで、また違った次元に押し上げられたと感じ、眉村の音楽スキルの高さと、改めて音楽の面白さを味わわせてくれた瞬間の連続だった。10月24日には日比谷野音でワンマンライブ『ナントカサマーフェスティバル』の開催も決定している眉村ちあき。次は開放感溢れる野外でどんなステージを見せてくれるのか楽しみに待ちたい。

 このライブの模様はライブ配信サービス「Streaming+」で9月24日(23時59分)までアーカイブ配信中。

セットリスト

『眉村ちあきの音楽隊』

9月17日@中野サンプラザホール

01.モヒート大魔王
02.Individual
03.開国だ
04.I was born in Australia.
05.壁みてる
06.夏のラーメンワルツ
07.DEKI☆NAI
08.本気のラブソング
09.東京留守番電話ップ
10.顔ドン
11.ミュージカルMC
12.代々木公園
13.奇跡・神の子・天才犬!(Acoustic ver.)
14.おばあちゃんがサイドスロー
15.ブラボー
16.やさいせいかつ
17.冒険隊 〜森の勇者〜
18.大丈夫
19.悪役

<アンコール>

20.私についてこいよ
21.あごけずりゆうこ

<ダブルアンコール>
22.ミュージカルMCで産まれた曲(Band ver.)

■『眉村ちあきの音楽隊』配信
https://eplus.jp/mayumurachiaki/
チケット:3,500円
アーカイブ : 9月24日(金)23:59まで

■ライブ情報

『眉村ちあき 日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ「ナントカサマーフェスティバル」』
【出演者】眉村ちあき
【会場】日比谷野外音楽堂
【公演日時】2021年10月24日(日)16:30開場/17:30開演
【チケット料金】4,500円(税込・全席指定)
【主催・企画・制作】サンライズプロモーション東京 / 会社じゃないもん / TOY’S FACTORY
【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)

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