INTERVIEW

大島優子×三池崇史

自由度の高い現場だった。
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』撮影秘話


記者:鴇田 崇

写真:鴇田 崇

掲載:21年08月14日

読了時間:約6分

 世界を救う勇者に選ばれた少年と妖怪たちの大冒険を描く映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』が全国公開となった。1968年からの三部作で、2005年には平成版が興行収入20億円の大ヒットを記録した映画『妖怪大戦争』が、この令和の新たな時代に、スケールアップしてスクリーンに復活を果たした。豪華キャストの共演も話題だ。

 突如出現した「妖怪獣」によって未曽有の危機が訪れるなか、選ばれし勇者である主人公ケイ(寺田心)が、妖怪たちと立ち向かう本作。その公開を記念して、雪女役で出演した大島優子と、監督の三池崇史に取材。世界観や役柄についてのクリエイティブな話をうかがう一方で、ふたりの間には数年前の出来事による“遺恨”があったそうだが、それは果たして…。ツーショットインタビューをお届けする。【取材・撮影=鴇田崇】

(C)2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

自由度があった、雪女役

――大島さんは雪女役について、三池監督からはどういうリクエストがあったのですか?

大島優子 雪女なので雪を吹いているシーンがあるのですが、「その時は目をカッと見開いてください」とのことでした。妖怪は怖くおぞましいものとして子供の記憶に残っていくと思うので、目を見開いて息を吹くところだけ、そういうおどろおどろしさが出るように演技をしました。

――三池監督は雪を吹く時が見せ場のように考えられたのですか?

三池崇史 いや、個人的にそういうシーンが観たかったということではなく(笑)、あまりあれこれと決めたくなかったんですよね。何が怖いかは人それぞれだし、「こうです!」とくくるとワンパターンに陥ってしまう。それはそれでアリだけれども、せっかく演じてもらうので大島さんぽい雪女、妖怪を演じてほしいじゃないですか。

――確かに他の妖怪たちにも自由度を感じました。

三池崇史 自由を奪って型にはめていくことはつまらない作業ですよね。それこそ型にはまらない子供たち、要は寺田心たちを相手に対決できないんですよ。昨日までそうかと思っていたことが必ずしも正解ではなくて、正解は逆に言うとない。自由なんです。可能性は観る人の感覚で広がっていけばいいかなと思います。

大島優子 おっしゃるように基本的に自由な撮影でした。本当に「目をカッと見開いて」と言われたぐらいでした。

――隠神刑部(大沢たかお)に恋をしている“目”もありました。

大島優子 雪女は、ただただ隠神刑部に恋をしているので、そういう気持ちで演じました(笑)。

――自由な現場はやりやすいものですか?

大島優子 妖怪役に正解はないので、普通の人間を演じるよりも自由は効くと思いますし、大島優子が雪女を演じるのはどういう風に映ったら面白いかはたくさん考えていたので、自分がやってみたい雪女をやらせていただいた感じです。

――それは具体的には?

大島優子 雪女は隠神刑部に恋をしていて、彼女にとってはそれが映画の物語よりもメインのことなんです。隠神刑部は狸の総帥として狸の軍団をまとめあげているので、大人の男という感覚を彼女は持っていたと思うんです。その大人な男性、妖怪に恋をするとなると、自分もちょっと大人になりたいなと背を伸ばしている感覚になったらいいかなと思い、トーンを低くしてみたり、しゃべるテンポをゆっくりに下げてみたり。恋する女が影響を受けている、引っ張られている感じを出したいなとは思っていました。

三池崇史 そういうものは直接話してどうのというよりは、衣装合わせやメイクを通じて確かめあうような感覚でしたね。僕の場合は。脚本の情報は共有していますが、それに対して足していこうと自分で感じてもらうほうが、役がより豊かに広がっていく感じがしています。言葉にして分かりあうってそもそもどうなのかというか、性別も年齢も全然違うのに、このじじいと理解しあう作業のほうがおかしいじゃないですか(笑)。

 映画って、そういう作業が必要だって言われている部分もあるんです。語り合って作り上げていく、合意してね。もちろんそれは時には必要なんだけれども、自分の場合はほとんどないですね。スタイルとして。

(C)2021『妖怪大戦争』ガーディアンズ

三池崇史監督との出会い

――そんな三池監督の現場ですが、今回改めて一緒にお仕事をされていかですか?

大島優子 まず、お話がいただけるとは思わなかったのでうれしかったです。わたしの心の中では三池さんというお名前が、わたしとの間に遺恨が残っている感覚だったので(笑)。

――遺恨とは穏やかではないですな(笑)

三池崇史 大島さんに興行収入をものすごく上げていだいた作品があるんですよ(笑)

大島優子 そういうつもりはなかったんです(笑)

三池崇史 我々としてはびっくりした出来事がありまして。数年前に『悪の教典』という伊藤英明が学校で暴れる映画をAKB48のみなさんに試写会で観てもらう企画があって、その後に伊藤英明が出てきてあいさつをして、生生しい感想をもらって宣伝しようと。そういうイベントがあった。すると試写が始まってほどなく、僕らは別室にいたのですが、偉い人がえらいこっちゃと。「大島優子が、帰りました…」と。きっと許せない映画だったんでしょうね(笑)。

――それは怖かったのではないですか?

三池崇史 いや、あり得ない、じゃないですか。衝撃的な題材だったので、「あんな映画、この世の中にあってはいけない」くらいの、むしろ怒りを感じられたのだと思います。

大島優子 当時、まだ感受性が豊かで、歳も20歳そこそこで、人が死ぬシーンというものを自分の中で受け入れられない部分があり、心が叫んでしまい退出してしまったんですよ。もちろんお仕事だったのですが、自分の感情が勝ってしまったので帰りたいとあらぶってしまいました。後日、やってしまったと思い直すんですが。

三池崇史 拒絶(笑)!

大島優子 その日以来、三池さんのお名前はわたしの心の中に刻まれてしまいました(笑)。それで今回お話があって「本当ですか!まさか!」と心の中で叫びました。だから本気でうれしかったです。ずっと謝りたかったんです。

――思い出しました。「わたしはあの映画が嫌いです」ですね。

大島優子 『妖怪大戦争 ガーディアンズ』はちょうど撮影がバレンタインの時だったので「あの時はすいませんでした」と謝りました。今日みたいに笑い話にしてくださるので、心の広いお方だなとつくづく思います。

三池崇史 でも当時、正直だから本当にいい人なのかもと思いました。さっき言われたように、ある意味お仕事なんですよね。だいたいリアクションも決まっていて、お決まりの台本があるなか、それが仕事といえども「許さん!」という。それが正しいのかもしれないですよね。本当に強烈な思い出になりました。関係者の慌てぶりとか、凄まじいものがあったので(笑)。

――ある意味、大成功ですよね?当時のトップアイドルが逃げ出した映画なわけですし。

三池崇史 いや、そういう風に考えられるのは2~3日たってからなんですよ。それに当時は、全部なくなると思ったんです。そういうことはなかったと。

大島優子 でも、秋元さんがそのままいきましょうと。

三池崇史 そうなんです。そのままいったほうが面白いです、と。すごいな、さすがなだと思いました。それで後日改めてコメントを改めていただいたんですよ。

大島優子 秋元さんに素直に書いていいと言われて、それで「わたしはこの映画は嫌いです」と。そういうことがあったんです。

――今回の映画はもちろん、お好きですよね?

大島優子 もちろんです!大好きです!!(笑)

三池崇史 本当にご迷惑をおかけしました。たまに僕の作品ではそういうことが起こるんで、そういう気分にさせてしまい、申しわけなく思うところもあります。

――最後に映画を楽しみに待っている方に改めてアピールをいかがでしょう?

大島優子 夏の風物詩みたいなものが近年は、なかなかないと思うので、この映画を映画館で観て、夏が来たなと思っていただければ、一番うれしいかなと思います。これはお祭り映画で、劇中で盛大なお祭りをしています。胸が高鳴るような興奮を感じてもらえたらいいなと思いますね。主題歌も強烈に頭に残りますよ!

三池崇史 実はね、ちょっと努力したんですよ。いつも長い長いと言われるんで、1分も違わない尺に編集したんですよ、『鬼滅の刃』と。1時間57分と同じにして、それと同じなら文句を言われないだろうって(笑)。

大島優子、三池崇史監督

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