スリーピースガールズバンドのnolalaが7月14日、2ndシングル「ルームメイト」をリリース。2016年に結成、京都発ツインボーカルの絡みと耳に残るハイトーンメロディが 印象的なバンド。メンバーは千陽(Gt.Vo.)、美寿々(Ba.Vo.)、ひな(Dr.Cho.) の3人。2019年2月に千陽が“私は別れた彼氏を全員曲にするタイプです”という20文字のツイートと20秒の「グッバイライアー」のMVが話題に。そのMVは14万回再生を突破している。バンド初の全国流通盤をリリースするnolalaにMusicVoiceではアンケートを実施し、3人の素顔に迫った。

結成の経緯

「ルームメイト」ジャケ写

――結成の経緯はどんな感じでしたか。

千陽 6年前当時組んでいたバンドを辞める時、お世話になっているライブハウスの方に話をしたところ「良い曲を書くのに辞めるのは絶対もったいない。バンドやりたいって言ってる子いるし一回やってみてから考えてみなよ」と美寿々さんと前のドラマーを紹介していただきました。初めてスタジオに入った時、なんとなく曲を作って持っていってみました。それを美寿々さんと二人で歌ってみた時にすごく綺麗に声がマッチしてとても心地よくて、録音したものを家で何度も聞き返して浮かれていたことを覚えています。

美寿々 お世話になっているライブハウスの方にバンドやりたいと相談していて、紹介してくれたのが千陽ちゃんでした。当時のドラムと3人でカフェでお話して、とりあえずとのことで次スタジオでチャットモンチーを1曲コピーしました。すぐやめて笑、千陽ちゃんが持ってきてくれた曲を合わせたんですが、めっちゃいいやん!やっていこ!って早くもめちゃめちゃやる気になったのを覚えています。ちなみにその合わせた曲は“夏のこと”という曲です。

ひな 私は前ドラマー脱退後すぐにサポートとして加入しました。私が以前所属していたバンドからの脱退と、nolala前ドラマー脱退が偶然同じ時期に重なって、それも、千陽ちゃんと美寿々さんを出会わせたライブハウスの人に、私もたまたま相談していて紹介してもらいました。

―nolalaというバンド名はどのような想いを込めて付けられたのでしょうか。

千陽 元々、私はつらら(氷柱)という名前をバンド名にしたかったんです。氷柱は見た目は鋭くて危険そうに見えるけど、叩くと脆いところが私と似ているなと思って。ただメンバーに話をしてみたところ全く良い反応ではなくて(笑)。ツインボーカルなのにバンド名に私の色しか入っていない。となったので、メインの二人が混ざるように美寿々さんの野良猫のような自由気ままな要素を入れて「のらら」にしました。

美寿々 千陽ちゃんが“ツララ”がいいと言っていたのですが自分の要素も入れてほしいと言って自由気ままに生きている「野良猫」の“野良”を合わさせてもらいました。

――ツインボーカルというスタイルになった経緯、それによるメリットや可能性など感じていることは?

千陽 メンバーを紹介していただいた時点で「声質が似ているから二人で歌ったらいいと思う」と言ってもらっていたので、その流れでそのままツインボーカルでやることになりました。二人が歌えるので、どっちかが喉を壊してもカバーできるのは大きなメリットです。(笑)後は二人の声質が似ているので、歌い分けが激しくなったとしても曲がすっと入っていくところが私たちの良さだと思います。

 ツインボーカルあるあるの急に歌う人が変わって耳が追いつかず、歌詞が一部聞けなかったということはnolalaでは少ないのではないかと思うので、曲や歌詞を存分に推したい私たちにとっては二人の声質が似ていてよかったなと思います。

美寿々 ツインボーカルってめっちゃ贅沢やと思うんですよね。これまでも歌番組でコラボしてはるのを観てすごく聴き入ってました。阿部真央さん+Aimerさんとか、Salyuさん+Superflyさんとか。うまく使わないと、歌を入れ替える必要ないし、聴きづらい。という印象になるので難しいのですが…

――メンバーの性格や人柄はそれぞれどのように感じていますか。

千陽 美寿々さんはのんびり屋さんでふわふわしたように見えるけど、負けん気強くて、細かいところまで気がついて意外とめちゃくちゃしっかりしてるスーパー頼りになるお姉ちゃん。ひなも負けん気強いけど、意外と繊細で気にしいなところがある(笑)後は相手の気持ちをよく考えて行動できるし、義理堅い、nolalaの中で一番優しい子だと思ってる。

美寿々 千陽ちゃんはほんまに私の真逆なんですよね。すごい気にしすぎやし超繊細。私としては思ってること言わなわからんやんってなるのでいつももどかしい気持ちにさせられてます(笑)。けどそういう千陽ちゃんだからこそ、こういう歌詞書けるんやもんなって思うので、引き続きその調子で居てもらいます(笑)。あ、でもしんどくなってるのは見てて辛いな、抱え込みすぎないようにサポートできればと思っています。活動についてもいろいろ考えて行動してくれてるのでとても頼りになります。

 ひなっちは女前の部分もあればかわいい部分もあって見応えあります。さばさばしてるけど気にしいなところもある。相手のことをしっかり考えてあげられる子ですね。筋が通ってて気持ちも大事にしてるし一番優しいと思います。めっちゃしっかりしてるわけじゃないのでその抜け具合がギャップでいいです(笑)。人見知りのひなっちがバイトでは、知り合いに見られたくないぐらい接客頑張ってるらしいので、いつか見に行きたいってずっと思ってます。

ひな 千陽ちゃんは、いつも先陣切って何でもやってくれるし頼りになる。しっかり者で効率がよくて頭の回転が速い。賢いと思います。でもふざけるときは一緒になって遊んでくれます(笑)。

 美寿々さんはのんびりなところもあるんですが、自分を持ってて周りに流されないし真面目です。でもだいぶ変な人(笑)。

――影響受けたバンドやシンガーなど教えてください。併せて今ハマっている音楽もお聞かせください。

千陽 影響を受けた音楽というのを一言でこれ。というのが難しいくらいたくさんの音楽を聴いてきました。中学の時は音楽番組を片っ端から録画して、その週のランキングトップ10は必ずCDをレンタルして聞き漁ったり、寝るときも授業中も(笑)ひたすら音楽を聴いていました。その全てが私に影響を与えているし、今の音楽の元になっていると思います。今ハマっている音楽というかずっと大好きなのはMAGIC OF LiFEです。
初めてライブハウスに行ったのも初めて出会ったインディーズバンドもMAGIC OF LiFEでした。とにかく曲が好きで、昔のものから今のものまで全部大好きです!

美寿々 影響受けてるかはわからないのですが、Avril Lavigneとか阿部真央さん、ふくい舞さんのような、強さを感じさせる女性が好きです。今ハマってるのはインディーズバンドですね、音楽というよりライブの仕方ですが。ソウルフードとかiTucaとかPOETASTERなどです。インディーズバンドは自分達の身近でかっこよく抗っていて自然と涙が出てくるようなグッとくるライブをしているんです。自分達もそうなりたい、抗っていきたいです。

ひな バンドというものを知ったのは父親の車の中でいつも流れていたRCサクセション、バンドをやるきっかけとなったのはSCANDAL、FLiP、GO!GO!7188あたりですね。影響受けたのは数知れずです。多分普通に対バンしてるバンドにも影響受けまくってます(笑)。

あんなに早くファボの数字が回転してくところを見れたのはすごくレアだった

――2nd Single「ルームメイト」Release Tour も残すところ2公演ですが、ここまで全国を回ってどんなことを感じましたか。

千陽 元々は“さよならツアー”の予定でした。バンドを辞めようと思っていたので。だから初めての場所もたくさん盛り込んだし、自分たちがやりたいと思うバンドだけに声をかけて後悔しないように、やりきろうという話をしていました。結局ツアー開始前に運良く事務所から声を掛けていただいて、バンド続行となったのでさよならツアーではなくなったのですが…。

 行く先々で自分たちが好きなバンドのみんなに会えて、「久しぶり〜!」って声を掛け合って、最高のライブを見れて、「なんて良い出会いと音楽が沢山溢れてるんだろう。私はこの幸せな場所を捨てようとしていたんだな」と、バカなことをしようとしていたなと何度も思いました。

 でも私は結局バンドを続けるわけで、さよならではなく、みんなと「またやろう」って言えるので、これからがすごく楽しみです。たくさんのお客さんがこのご時世の中私たちの音楽を聴きにきてくれて、まだまだみんなの心にnolalaが残っていることも再認識しました。好きでいてくれたことを後悔させないように、また良い曲を持って会いに行きたいと思います。
美寿々 楽しい! 5月まるまる中止になったので予定してた半分しか行けなかったんですけど、だからこそひとつひとつのライブの思い出が濃く残っています。

ひな 本来なら5月7日からのワンマンを皮切りにツアーに周る予定が、5月の全てのライブを中止する決断をしました。実質福岡が初日で、計8本演ったんですけど、こんなにも全国各地に待っててくれる人がいるんだってビックリしました。私は公式のSNSを動かしていたり、取り置きを管理する担当ではないので、正直ライブが始まるまで全く分からない。セットリストは毎回私が組むんですけど、その時来てくれるであろう客層や場所を意識して組んでいて、正直狙っていなかったところで沸いたり、悔しかったライブのリベンジ戦、と思っていてもライブはマジで良しも悪しも奇想天外。まだまだこんなもんじゃないですけど、全国各地に沢山nolalaを認知してくれている人がいることを知ったから、いつか大きな舞台でやる時、全員連れてってやるって思ってます!

――“私は別れた彼氏を全員曲にするタイプです”とSNSで宣言されていましたが、このコンセプトに行き着いたきっかけはあったのでしょうか? 

千陽 「誰にでも曲にすると思うなよ」というツイートがたまたま流れてきて、それを見たときに「私は元彼全員曲にするけどなー」と思い、なんとなしにツイートしたらバズりました。あんなに早くファボの数字が回転してくところを見れたのはすごくレアだったと思います(笑)。

――「ルームメイト」の歌詞が生まれた背景について。タイトルに込めた想いや、作詞、作曲でこだわったところなど教えて下さい。

千陽 nolalaの最後に作る曲はグッバイライアーを完結させるものが良いなとずっと思っていたので、グッバイライアーの前のストーリーに当たる曲になるように別れる時のことを思い出しながら書きました。
大切にしたのは素直すぎるくらい正直な歌詞にすること。自分の想いを全部込めたいという気持ちが強かったです。

 タイトルのルームメイトは「もう恋人を終わらせよう。いつかまた同じ部屋にいても友達のように笑って話せるといいね」という希望が込められています。

ちなみに「もう、終わりにしよう」この言葉が曲の中で何度も出てきますが、どんどん言い方や想いが変わって行きます。それも曲を聞きながら感じて欲しいなと思います。

――この曲からリスナーにどんなことを感じてもらえたら嬉しいですか。

千陽 私自身ダメダメな恋愛をしている時、周りに「もう別れた方がいい」と散々助言を受けたのに全然別れられなくて、ズルズル長引いてしまいました。
今を捨てる勇気が出なくて、なんとか関係を取り戻せると信じていたけど、結局何年も経ったときに「もう無理だな」と思いました。もっと早く気付けたらこんなに長く辛い時間を過ごさなくてよかった。今となってはそう思うので、同じようにさよならに勇気が出ない人の支えになる曲になれたらいいなと思います。

美寿々 この曲はどこか懐かしさがあると思うんです。聴いて昔を思い出すのもいいんですが、今聴いておいてもらって、将来この曲を改めて聴いた時に2021年を思い出してジーンとなってほしいなと思います。んー、ちょっと意味わからないですね(笑)。

――美寿々さんとひなさんはこの「ルームメイト」の歌詞を読んだ時、どのような気持ちになりましたか。

美寿々 過去の恋愛を思い出して苦しくなりました。好きなのに自分から別れを切り出すってしんどすぎませんか。当てはまる人が多いと思うのでこの曲でみんなと慰め合おうと思いました

ひな 冒頭の"もう終わりにしよう"から始まる歌詞はとてもセンスがあるなと思いました。恋愛の曲なんですけど、冒頭の歌詞だけをみたらこの曲はどんな日常にも当てはまる気がするし、聴く人をワクワクさせるなと思いました。

――カップリングの「私と居たこと」はすごく相手への未練を感じさせる歌詞ですが、 この歌詞の制作エピソードを教えて下さい。

千陽 「良い女で居たかった」この気持ちが強すぎていろんなことを我慢し、後悔をしました。あのとき伝えられなかったこと、思って居たことをとにかく書き出した曲です。

――メンバーの皆様はこの「私と居たこと」の歌詞を読んだ時、どのような気持ちになりましたか。

美寿々 明るい曲調で切ない歌詞というのが好きなので「私と居たこと」が大好物です。特にこのわがままな感じがとても可愛くて愛おしく思えて、好きです。

ひな 自分の言いたいことを最後まで言い出せなかった気持ちに後悔が詰まった曲なんですけど、ふいに"私と居たこと"を思い出してほしいという主人公なりの最後のワガママなのかなって思います。

――今作収録の2曲でアレンジや歌唱などこだわったところを教えてください。もしくはレコーディングでの新しい試みがあれば併せてお願いします。

千陽 ルームメイトの歌唱についてはいかに切なく苦しく歌うかを意識しました。そういう歌い方ができるのは私の長所だと思うので、そこを存分に出せるように歌録りの時も精一杯元彼を思い出しながら歌いました(笑)。

ひな 「私と居たこと」の激ムズドラムテイクは、2発撮りで完パケしました!

良いライブ・良い音楽があるバンドでいられたら

――nolalaならではの武器、強みはどこだと感じていますか。

千陽 声質の似ている二人のツインボーカル、そこにウィスパーなひなのコーラスが入り三人の声がぴったり重なったときに出る歌の圧だと思います。
サビでグッとくるこの瞬間はnolalaならではのものだと。

美寿々 メロディがキャッチーでちょっと古いのがいいのと、ツインボーカル、3人でのハーモニーですね!最近流行りのバンド達とは違う、うちらはうちらという気持ちでブレずにいきたいと思っています。

ひな 3人とも歌えるところ。三声で勝負しにいってます。

――これからどんなバンドにしていきたいですか。

千陽 今はバンドがとても楽しいです。全員が辛い思いをすることなく、楽しいの延長線に良いライブ・良い音楽があるバンドでいられたらいいなと思います。私自身としては、着飾らず、等身大でステージに立って、歌って、こんなメンタル弱くてネガティブで親に猛反対されながら夢を追いかけようとしているやつもいるんだということを伝えたい、誰かが夢を諦めない理由になれたらいいなと思います。

美寿々 私がずっと思っているのはてるてる坊主。あなたの太陽になってあげる、あなたを守る傘になってあげる、というバンドがいるけど、私たちは雨を完全にシャットアウト出来る強さもないし、太陽ほどのギラギラしたものもない。けど一緒に雨に濡れて隣にいることはできるよ、一緒にあなたの晴れを祈ることもできるよ、寄り添って、一緒にいてあげられる。強くはないけど、心の拠り所になってあげたいなと思っています。

ひな 自分たちのやりたいことをやりたいようにやらせて貰える環境に感謝しつつ、私が数々のバンド影響を受けたように、nolalaキッカケでバンドを始めました!という人にいつか出逢いたい(笑)。そしていつかクアトロツアーをしたり、京都大作戦の舞台に立ちたいです。

――最後にツアーファイナルに向けての意気込みをお願いします。

千陽 自分たちの最後だから、大きいところでやろう! と意気込んで選んだJANUSは現状スカスカの予定です(笑)。でもここからが始まり、もっとデカくなるにはもってこいの状況だと思っています。バンドを終わらせるためのツアーファイナルが、自主ツアーを終わらせる日に、新しく再出発する日に変わった。きっといつまでも忘れられない日になると思います。あとは良い思い出になるように、ツアー先でいろんなバンドからもらった熱い気持ちを全力でライブに出すだけです。

美寿々 JANUSでやるという挑戦、大好きな先輩バンドを迎えてのツアー最終日。現状楽しみ以上に不安が勝っていますが、当日はそんなの吹っ飛ばして目一杯楽しみはじけたいと思います!

ひな 心斎橋JANUSというライブハウスを選んで、大好きなIRabBits、裸体に力を借ります。どちらもバンドの大先輩なので呼んだからには2組に恥じないライブを、お客さんには目一杯成長した姿を見せられるように、その日にしか出来ない忘れられない1日を作ります!

(おわり)

この記事の写真

記事タグ 


コメントを書く(ユーザー登録不要)