サカナクションの山口一郎が1日、都内で行われた『サンテFX×サカナクション TVCM 発表会』に登壇した。『サンテFX』新TVCMのために書き下ろした新曲「プラトー」をプレスカンファレンスエディションとして初披露した。

 参天製薬は、今年発売から30周年を迎える一般用点眼薬「サンテFX シリーズ」において、サカナクションの楽曲をCMに起用。この日新たなブランドアーティストとしてCMにも出演するサカナクションのボーカリスト兼ギタリストである山口一郎をゲストとして招き、サカナクションによる生LIVEを実施。その中で、『サンテFX』新TVCMのために書き下ろした新曲「プラトー」を初披露。新曲は緩急のある流れ、躍動感と爽快感はこれからのサカナクションの指針になるような一曲だった。ライブは加えて代表曲の「新宝島」「忘れられないの」全3曲を演奏した。

 ライブ終了後、トークセッションを行い、新曲「プラトー」について山口は、この日のために作ったプレスカンファレンスエディションとして演奏したことを明かした。制作にこだわったところとして参天製薬のこと、『サンテFX』のこと、これまでのCM曲など調べたという。その中で参天製薬の名前の由来なども徹底的に調べ上げ、そこから文化との繋がりを感じ、そこと紐付けながら今回のテーマに合うようにメンバー5人で一丸となって作り上げたと語った。

 CMで山口が挑戦したワイヤーアクションについて、「映画とかで見ているとくるくる回ったりしているのを見ていたけど、すごく難しいですね。ハーネスがめちゃくちゃ食い込むんです」と、撮影の苦労を話した。そして、最初は山口の自宅で撮影する計画もあったがコロナ禍で断念し、スタジオに自身の家具やスピーカーなど私物を持ち込んで撮影したことを明かした。

 CMでも印象的な「キタ。」というキャッチフレーズを実演してほしいとリクエストに応えた山口。私物の「サンテFXネオ」を持参し、実際に目薬をさす場面も。「こんな環境で目薬をさすのもレアですよね」と、なかなか出来ない経験に満足そうな笑みを浮かべた。

目薬をさす山口一郎(撮影=村上順一)

『サンテFX』のコンセプトとなっている“内に秘めた野心を静かに高める”。その野心をもってチャレンジしていることについて聞かれた山口は「アルバムの制作に時間がかかるバンドなんですけど、年内にアルバムを出せたら良いなという、いま野心を持っています」とファンにとって嬉しい言葉も。

 イベント終了後に行われた囲み取材では、オンラインライブについて言及。山口は「リアルライブに勝てるものはないと思っているんですけど、リアルライブとは違う感動を提供できるんじゃないかなと思っていて、新しい表現を発明する、コロナ禍が開けた後もひとつコンテンツが増えて元に戻れるんじゃないかなと。そう言った部分も「サンテFX」と志がリンクするところかなと思います」。

 新曲「プラトー」は、リハーサル日だった昨日の午前10時50分に完成したという。通常、新曲が出来た時はスタジオでバンドメンバー5人だけで合わせるが、今回はスタッフやクライアントもいる中で新曲を合わせた。それは初体験の出来事だったという。ギリギリの完成だったこともあり、「実は今日寝坊してしまいました」と明かした。

 さらに「プラトー」に込めた想いとして、「こういう状況だからこそ、音楽を作っていかなければいけない。企業と一緒に作品を発表することで時代を形にすることは僕たちにとっても良いことですし、こういう状況でこういう機会が増えていったら良いなと思いました」。

 気分転換する方法を聞かれた山口は「僕は不思議な曲作りをするんですけど、この曲を作るのにインターネット環境を遮断して制作していて、3時間やって30分休むというのを繰り返して制作していきます。その30分間で何をするかというと掃除をして気分転換します。僕はドラッグストアが大好きなんですけど、掃除道具を買いだめして歌詞の制作に臨んでいます。『サンテFX』は集中する3時間のなかで使用しています」と語った。

山口一郎(撮影=村上順一)

 目薬と掛けて「最近、目が覚めるようなニュースは?」という質問に、「僕は北海道の田舎の出身なんですけど。両親から実家の近所が空き家になったから、そこを購入して欲しい、と頼まれて購入したんですけど、生まれて初めて固定資産税を払ったんですけど「こんなにするの!?」とその高さに驚いて、目が覚めるほどびっくりしました」と明かした。

 そして、最近のニュースについて、いろんなニュースがあって表面的な部分はすぐに入ってくる時代になりましたけど、なぜそれが起きてしまったのか、その奥行きみたいなものがなかなか見せない時代だなと思っています。それを知ることで意見がガラッと変わるし、情報が早い分、奥行きを知ることが重要なことなんじゃないかなと思います」と述べた。

 チャレンジする若者にエールを送る、というCMのコンセプトとかけて、過去の自分にエールを送るとしたら、という問いに山口は「おまえ『サンテFX』のCMやるよって。多分自分は『うそだ〜俺が?』というと思うんです。なので、頑張れよとエール送りたいです」。22歳の時に音楽を諦めて就職しようと思い面接を受けたが、面接官と話した瞬間に自分との世界の違いを感じて、「結局苦労するなら好きなことで苦労したい」と、音楽を続ける道を選んだことを明かした。【村上順一】

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