女優業のみならず、モデル・雑誌・CM・バラエティなど多方面で活躍中の飯豊まりえが、実写版『トムとジェリー』でゲスト声優に挑戦した。飯豊は、物語の核となる世紀のサプライズ・ウェデイングの開幕を告げる鳩DJと公園にいる女性の二役を務め、「わたしにとってはあこがれの仕事でした」と声だけで演じる仕事が再びできたことにつて感激したと語る。
その飯豊は、2012年女優デビュー。NHK朝ドラ「まれ」、TBS「花のち晴れ~花男next season~」などのドラマ出演をはじめ、映画、日本語吹替、舞台、情報バラエティ番組、モデル、CMなど、さまざまな場で活動を広げている。デビューして13年、デビュー当時に抱いた「その時の夢は全部叶いました」と語る人気女優は今、何を感じ、どこに向かうのか。仕事への思いを聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】
最高のコンビ・トムジェリ
――もともと大ファンだそうですが、今回の実写版はいかがでしたか?
すごく面白かったです!クロエ・グレース・モレッツ演じるケイラのウソから始まるサプライズ・ウェデイングの企画は、トムジェリがいなければ成功するはずなのに簡単には上手くいかないところとか、ふたりは、本当は仲がいいと思うけれど、ついついじゃれあってしまう感じとかは、映画版でスペシャルになって帰ってきている感じがしました。
――パーティーのシーンをはじめ、ドタバタが楽しいですよね。
ウェディングパーティーがいいですよね。パーティー×トムジェリは絶対ダメ(笑)。設定が面白いです。最高のコンビなので。引きずられるシーンは大変そうだなって思いましたが、パーティー会場の色やケーキもそうですけど、かわいかったところもありましたよね。
あと、音楽がおしゃれでテンションが上がるテイストだったので、子どもから大人まで楽しめるのではないかなって思いました、シンプルに楽しかったです!
――今回の実写版では、しっかりとトムジェリ感が出ていましたね。
出ていますよね!全然変わっていなかったです。初めて単体でトムとジェリーを観る人たちは「かわいい!」ってなるけれど、ふたりがみんなに嫌われてしまうくらいハチャメチャになってしまう感じも愛おしいなってなりますよね。
――好きなシーンはどこですか?
トムがジェリーを捕まえようとするとけれど、うまいこといかない、一筋縄ではいかない感じのシーンがいいですよね。あとカッコいいなと思ったのは、ドローンを使ってジェリーが乗っていくシーンで、スケートみたいになっていましたよね。ホテルに住みたいのに出ていけと言われてジェリーがウルウルするシーンもいいですよね!トムのホテル帽もかわいかったし、ジェリーの部屋だけ特別なところもよかったです。
いずれは『バイオハザード』に
――こういうある意味、王道の洋画はお好きですか?
洋画大好きです!サバイバル、アクションもよく観ますし、SFも好きです。特にゾンビもの、コメディーが好きです。でも、本当にオールジャンルで好きですね。具体的には「ウォーキング・デッド」、『バイオハザード』シリーズなどのアクション・サバイバル系で、生き残るものが好き。でも泣ける話も好きなので、基本的には洋画はよく観ていますね。女優ではアン・ハサウェイがすごく好きで、『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』のレイチェル・マクアダムスも好きです。
――いずれ出てみたいですか?
はい!それこそ『バイオハザード』シリーズには出てみたいと思っていました。アクションもやりたいですし、日本人として出てみたいと思っていました。ゲストじゃなくてレギュラーで出たかったです(笑)。
――それこそ今、ゾンビものに出ていらっしゃいますよね。
そうなんです。念願でした。プロデューサーさんにも「本当に好きな感じだよね」っていうリアクションを取ってくれると言われました(笑)。実際にゾンビが来たような感覚で、命がけで死ぬ気でやっています!
――今回のような声の仕事は、全部の仕事の中でどれくらいの位置づけですか?
わたしにとってはあこがれの仕事でした。普段観る映画も字幕と吹き替え、両方とも魅力があると思っています。わたしは普段、顔を出しながら自分自身も出演しながらやっていて、そうするといろいろなところに意識が向くものなのですが、声だけだと声だけでいろいろと試すこともできるので、その表現の仕方もまた違った楽しみ方があり、どっちも好きですね。
――具体的な夢はありますか?
ジブリ作品です。森の妖精Aでもいいのでやりたいです(笑)。でも、まさかトムとジェリーの仕事が来るとは思ってなかったので、今回すごくうれしかったです。
子供の頃の夢は叶った
――デビューして13年、仕事を始める前に思い描いてた将来の自分に、どれくらい近づけましたか?
子どもの頃に妄想癖があったのですが、その時の夢は全部叶いました。会いたい人や、やりたいこと全部。たとえば子どもの頃に「花より男子」を観ていたのですが、この学園物の世界観に入りたいなと思っていたら、10年後に「花より男子」の続編をレギュラーでやらせていただけました。あの英徳学園の制服を着て通っている自分が10年後にいたんです。
なりたかったモデルさんの仕事も、なれるなれないではなくて、もしもやれたらいろいろと楽しいことが待っているだろうなと思っていました。当時まったく予想もしていなかったけれど妄想は自由だから、その夢も叶いました。好きなアニメの声優もできて、全部叶った気がします。願ったことというか、こうなりたい、ああなりたいと言っていたことは、全部叶っていると思います。
――となると今は、何をモチベーションにどこを目指しているのですか?
モチベーションは家族ですね。最初は両親に喜んでもらいたかったことがきっかけだったのと、あとは続けていくために、積み重ねていくためには、自分自身が強くならないといけない。自分が強い心を持っていないと、戦っていけないんですよね。それは10年後くらいにわかりました。
――わりと最近なのですね。
そうですね。未成年で9歳からだったので、大人のみなさんになんとなく指示してもらって導いてもらった感覚から、夢ってより叶えるためには、どうしたらいいか考えながらやるようになりました。昔はなんとなく妄想していたものが現実に、それこそたまたまなっていた。それを楽しんでいただけですけど、今は自分の夢をどう実現させてくか考えながら日々生活している感じですね。
――具体的なことも考えるわけですよね。
今こういう作品をやっているので、次はこういう作品に出会えたらいいなとか、そういう考えをもったことがなかった。与えていただいたものを一生懸命やって楽しんでいた感覚でしたが、今はたとえば素敵な人たちと出会いたいから、目の前の作業を充実させていくというほうに変りました。
――最終的な理想像はあるのですか?
でも一番は、心と体が健康でいることですよね。そうするとパフォーマンス力が上がる。なので求めていただいたことは、100パーセントやり遂げます。真面目すぎ、考えすぎと言われるけれども、それでも直感を信じながらやり続けたいと思います。
(おわり)