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 東日本大震災10年特集ドラマ『あなたのそばで明日が笑う』(NHK総合・BS4K)が6日よる7時半から放送される。放送に向けて、主演・綾瀬はるから出演者がコメントを寄せた。

■綾瀬はるか:コメント

震災から10年がたって、被災地が今どういう状況なのか、そこに住む人たちや震災に遭われた方々がどのような気持ちで過ごしているかということを感じました。私が演じた蒼は、震災で夫が行方不明になってしまい、日々苦しみながら、それでも前を向こうともがいている女性です。大事な人を失ったという現実を受け入れる中で、忘れようとするのではなく、悲しみさえも自分の中に取り込んで、前に進む力に変えていける。人それぞれ、大小関係なく悩み、苦しみがあると思いますが、時間がかかっても受け入れながら前に進んでいくと明日に繋がっていくという、前向きなメッセージが伝わればと思います。蒼の姿を通して「前を向いて頑張っている人たちがいるんだ」ということを少しでも知ってもらい、寄り添ってもらえたらと思います。

■池松壮亮:コメント

このドラマが、見てくださった方々にとって、この国で10年前に起こった災いの記憶を、そして今世界で起きていることを見つめ直し、再生に向かう一歩となることを願っています。もっと願わくば、この世に数多ある同時代の無念の魂に寄り添い、共に笑い、共に怒り、共に涙を流し、共に生きてゆく微々たる力になれば嬉しいです。

■土村芳:コメント

この作品には、蒼さんのように過去を忘れられずにいる人や、前を向けないと思っている人を、包み込むようなあたたかさを感じます。きっと過去には辛い痛みと同時に、かけがえのない大切な思い出も存在していて、そこから今や明日へ向かうための希望のような、何かを見出せる事だってあると気づかせてくれる、とても優しさに溢れた作品になっていると思います。私自身、主演の綾瀬さんはじめ、共演者の皆さんやスタッフの皆さんに助けていただきながら、現場を通して支えていただく事の有り難さや尊さに改めて気付きました。多くの方にこの作品が届く事を願っています。

■阿川佐和子:コメント

私の役は綾瀬はるかさん演じる蒼のお姑さん。意地悪な姑かと期待していたら、まことに人のいい邪気のないばあさんで、その「いいお義母さん」モードを保つのが難しかったです。あと、石巻弁を叩き込むのも大変でしたが、実に面白くて楽しかった。実際、石巻ロケのとき、石巻弁の台詞を心で唱えながら、空き時間に一人で石巻の街をぐるぐるとたくさん歩き回りました。コロナ禍での撮影だったため、仲間とつるんで食事をしたり散歩したりできなかったのです。石ノ森章太郎さんの「サイボーグ009」の銅像を確認したり、海を見渡す防波堤の上を歩いたり、どのお寿司屋さんの暖簾をくぐろうかと店の前で佇んだり。最終的に入ったお寿司屋さんのカウンターに腰掛けて、おいしい握りを頬張りながら大将夫妻や常連客と話をしたり。かつて倍賞美津子さんがおっしゃっていました。「地方ロケのときは、撮影前にその町を一人スッピンでぐるぐる歩き回るの。そうすると、その町の空気がわかるから」と。十年前、この町はどれほど混乱し、涙と落胆と怒りに溢れていただろう。そして十年経ち、なんと静かに笑顔を浮かべ、落ち着いた日常を取り戻しているのだろう。その軌跡を想像するとおのずと涙が出てきました。エセ石巻人ではあるけれど、少しでも石巻の人たちの気持に沿った、意地悪ではないお義母さんを演じることができていたら、嬉しいです。

■高良健吾:コメント

それぞれの一生があります。そのそれぞれをすべて肯定してくれているドラマになっていると思います。ぜひ。

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