INTERVIEW

井上音生

憧れのキラキラと輝く人に。
ミュージカル『魔女の宅急便』キキ役


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年03月05日

読了時間:約5分

 ミュージカル『魔女の宅急便』が今年3月に再々演される。これまで上白石萌歌や福本莉子らが演じてきた主人公・キキを、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞した井上音生(16)が務める。13歳になり魔女の修行で旅に出たキキとほぼ同じ歳頃で、芸能界という新たな旅路を歩み出した井上。「キラキラと輝いている人に憧れます」という彼女は初のミュージカルにどう挑むのか。

輝きに憧れ

 この日は、キキの衣装に身を包み、取材に応じた。取材媒体の数も多く、あちらこちらと飛び回る姿はすでにキキそのものだ。「私がキキを演じるんだと実感が湧いてきました」と目を輝かせる。

 取材中、よく出てきた言葉がある。「輝く」と「楽しい」だ。

 「輝いている人を見ると憧れの気持ちが芽生えてくるんです。ディズニーの『プリンセス』は今も憧れていますし、舞台『ローマの休日』でアン王女を演じた朝夏まなとさんはすごく素敵でした。舞台上でこんなにもキラキラと輝けるものなかと思うぐらい。フィルターをかけたように綺麗で、私もそうなりたいと思いました」

 ミュージカル『魔女の宅急便』では過去に、キキを上白石萌歌や福本莉子らが演じた。その姿を見て「キラキラと輝いていて眩しく見えました。楽しそうに演じられていたので、私もお二人のように演じられたらいいなと思いました。楽しみながら演じたいです」

 キラキラとしたものへの憧れ。その原体験はディズニー作品。支えになっている言葉も、シンデレラの「They Can't Order Me To Stop Dreaming」(夢を見ることは誰にも止められない)。

 「ディズニーは大好きで、その言葉のように私もずっと、夢を持っていたら叶うと信じて頑張っています。自分自身のモチベーションを上げる言葉です」

 2016年に開催された、第8回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞に輝いた。それ以降、映画や舞台などにも出演。活動を本格化させるため、2020年4月に愛媛から上京した。

 「それまでは、自分の考えを言えなくて、何でもいいよと言うタイプでした。でも、上京すると決めたのは私自身で、そこからいろんなことが変わっていきました。もしあの時言っていなかったら東京にもいなかったと思います」

 12歳でオーディションに参加した彼女は15歳のときに新たな扉を開いた。演じるキキも13歳の時に旅に出る。新たな土地での暮らしは全てが新鮮だ。

 「愛媛にはなかったので、満員電車は本当にびっくりしました! 旅に出たキキと同じ心境だと思います(笑)」

井上音生

初舞台で感じた手応え

 指揮者の父のもとで育った。

 「お父さんは歌が好きでよくお風呂で熱唱しているんです。私にとっては、うたのお父さん(笑)。お父さんには映画や舞台によく連れて行ってもらいました。女優業も応援してくれています」

 父に連れられ多く見ていた舞台だが、演じるとなると難しい。2019年6月に踏んだ初舞台『魍魎の匣』で痛感した。

 「舞台は稽古を重ねる度に共演者の方々とコミュニケーションを取り、距離を縮めないといけない。それが人見知りの私にとっては難しくて…」

 舞台に感じていた苦手意識だが、それを超越した瞬間があった。

 「舞台に立った時に、目の前にお客さんがいたことで安心感を覚えました。お客さんの期待に応えるために頑張ろうと思えて、その瞬間から舞台が楽しい、向いているかもしれないと感じられて。そうした使命感みたいなものが私を積極的に動かしてくれています」

 女優業は天職なのかもしれない。

井上音生

歌を届けたい

 お風呂場で熱唱する父を「うたのお父さん」と表現した。キキの父親・オキノ役は、NHK『おかあさんといっしょ』11代目うたのおにいさんの横山だいすけが演じる。

 「『おかあさんといっしょ』は昔から見ていました。なので、だいすけおにいさんは私にとっての憧れです。ご一緒させて頂けるのが本当に嬉しいです」

 そう目を輝かせる。共に物語を作っていく相手・トンボ役は、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)だ。

 「那須さんは私の3つ年上で、お兄さんという印象です。積極的にコミュニケーションをとっていきたいです。劇中でキキとトンボは序盤こそ距離はありますが、さきほども言った通り私は人見知りなので、積極的に話しかけるぐらいが私にとってはちょうどいいと思いますので、もっと距離を縮めていきたいです」

 「楽しく演じたい」そう語った井上は、キキをどう演じるのか。

 「いつも元気というキキだけでなく、悩んだり、落ち込む姿も表現して、周りから応援されるようなキキを演じたいです」

 そして、自身初のミュージカル。どう挑むのか。

 「私は音楽が好きで、悩んだときはイヤホンをして自分の世界に入ることが多いです。今回はミュージカルで、芝居をしながら歌うことの難しさがありますが、しっかり役として生きて、今度は私がみなさんに歌を通して元気を届けたいです」

 “キキ”井上音生、舞台の上で輝く――。

井上音生

(おわり)

【公演情報】

ミュージカル『魔女の宅急便』

■東京公演:2021年3月25日(木)~28日(日) 新国立劇場 中劇場
■名古屋公演:2021年4月10日(土)~11日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
■大阪公演:2021年4月15日(木)~18(日) メルパルクホール大阪

出演:井上音生 那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)
生田智子 横山だいすけ 藤原一裕(ライセンス)/白羽ゆり 他

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木村武雄

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