5人組男性ボーカルグループのCOLOR CREATION(カラクリ)が9月23日、2ndアルバム『SECOND PALETTE』をリリースした。先日10月末で無期限活動休止することを発表した彼らの、活休前最後の音源作品。初回盤、通常盤を合わせて、「The Call」などシングル曲やユニット曲、ソロ曲などバラエティに富んだ15曲が収録されている。インタビューではメンバーそれぞれが制作に携わった今作の制作背景から、ステイホーム期間に考えていたことまで、多岐にわたり5人に話を聞いた。【取材=村上順一】
今まで作った中でも一番想いのこもった作品になった
――KAZさん、7月に入院されていましたが、どのような状況だったのでしょうか。
KAZ 心臓の不整脈が起きてしまいました。そのときたまたま親と一緒にいたので、九死に一生をえた感じでしたが、病院で調べてもらったところ、一生治ることはない難病と診断されました。AEDのようなものを身体に埋め込んだ方が良いかもという話もあったんです...。これまで自分の命が危ないと感じる経験はなかったので、精神的にはすごく辛かったです。でも、たくさんの方に支えていただいて、無事に退院して今はこの病気と向き合いながら、前向きに頑張っていこうと思っています。
――お見舞いにみなさん来てくれました?
KAZ 来てくれました! みんな本当にすごい心配してくれて。でも、今日久しぶりにメンバーに会ったんですけど、僕が元気になったからか扱いがヒドイです(笑)。
――まだ療養中だと思いますが、こうやって元気な姿が見れて、みんな嬉しいと思います。さて、2ndアルバム『SECOND PALETTE』がリリースされますが、みなさん今どんな心境ですか。
YUUTO このアルバムは7月にリリース予定だったんですけど、新型コロナの感染拡大の影響で延期になっていました。ファンのみんなもすごく楽しみにしていてくれていた分、延期は僕僕たちにとっても辛い決断でした。でも、この期間があったからこそよりこだわって、制作することができて、収録した楽曲たちも最初に予定していた内容とは少し変わりました。最終的にはすごく納得のいく作品ができたと思っています。
――収録曲も変わったんですね。
YUUTO そうなんです。本当だったら今年は東京オリンピックもあったので、「応援」をキーワードにしたアルバムになる予定でした。そのオリンピックが延期になってしまったので、応援ソングだけではなく恋愛の曲を入れたり、アルバムのコンセプト自体が変わっていきました。
JUNPEI 今作はメンバー全員が作詞作曲に携わったので、僕らが普段考えていることだったりとか、このコロナ禍で感じたことなどをすごく落とし込めた作品になったと思います。だから手応えを感じています。
――JUNPEIさんはこのコロナ禍でどんなことを考えていたのでしょうか。
JUNPEI 当たり前にあった日々の大切さです。ライブができなくなってしまったのはもちろんですけど、ファンのみんなやメンバー、スタッフさんにも会えなくなってしまったので。かったので...。何気ないことがすごく幸せだったんだなと痛感しました。
――本当に痛感させられましたよね。さて、RIOSKEさんには今回リード曲「約束」のMVでも確認できる、巨大な「3D折り紙」についてお聞きしたいなと。
RIOSKE 本当に大変でした。自分は折り紙が得意だと言ってきたものの、こんなにも大きな作品を作ることになるとは思っていなかったので。最初は10万枚を使っての完成形も見えなくて。しかも今回はファンの皆さんにも参加してもらって手伝ってもらうという状況の中で、自分が指揮を取らなければいけないということはプレッシャーや怖さもありました。でも、完成してみて「みんなで力を合わせればここまでのものができるんだ」という自信にも繋がって。
――このコロナ禍で人とのつながりを感じられたことと、不可能なんてないということを実証してくれましたよね。
RIOSKE 本当にその通りです。絶対1人ではできなかったですし、そもそも作るという発想にもならなかったと思います。COLOR CREATIONを支えてくれる人達も含めて、大切な作品になったと思います。今まで作った中でも一番想いのこもった作品になりました。
――TAKUYAさんは、「3D折り紙」をやってみていかがでした?
TAKUYA 家にありえない大きさのダンボールが3箱届きまして、まずそれをみてびっくりしました(笑)。心が折れそうになったこともあったんですけど、同時にファンのみんなも一緒に折り紙を折ってくれていて、SNSで「今日何枚折ったよ」と報告をくれたりしていて。それを見て「自分も頑張らなきゃ」と背中を押してもらって達成できたと思います。
JUNPEI ファンのみんなと繋がれるきっかけになりましたし、本当にやって良かったと思っています。
――次は20万枚ですよね?
TAKUYA えー、無理です(笑)。
RIOSKE 勘弁してください。折り紙、卒業したいです(笑)。
今しかできないメッセージを持った「約束」
――今回で集大成を見せることが出来たんじゃないかなと思います。さて、KAZさんはこの「約束」を作曲されていますが、どういう気持ちで作ったのでしょうか。
KAZ アルバムが延期になる前は、この「約束」が4月〜5月くらいに配信される予定でした。この曲を作り始めたときは、コロナ禍になる前のちょうど新生活が始まるくらいの時期だったので、5月病と呼ばれる時期を乗り越えられるような楽曲にしたい、新しいことに挑戦する人を応援するような曲にしたいと思いました。そんな中緊急事態宣言が発出されて、当時の歌詞のままではダメだと思い、この辛い時期を乗り越えるための明るく前向きになれる曲にしたいと、気持ちが変化していきました。MVにも表現されているように、「今」しか伝えられないメッセージを持った曲になって、当初イメージしていたものよりもさらに力強さを感じられる曲になったと思います。
――歌詞はみなさんで書かれているんですよね。
KAZ 最初は僕が書いていたんですけど、内容を書き直すにあたって、5人で書いていくことになりました。「約束」はアルバムのリード曲になることが決まっていたのですが、強い曲にしたいなと思いました。みんなの歌詞も相まって、自分が想像していた以上にパワフルで良い曲になりました。
――さて、今回は「約束」にまつわるエピソードをお聞きしたいです。こんな約束をした、約束を破ってしまったなど、ありますか。
JUNPEI 僕は島根県の高校に入学して、音楽をやりたいと思って大阪に戻ってきたんですけど、COLOR CREATIONとしてデビューするために上京するときに、「自分が満足するまでやりきってくる」と両親と約束したことが印象的でした。
KAZ 僕はまだ果たされていない約束になるんですけど、自分が作った曲でヒット曲を出すことです。これはファンのみんなにもメンバーにもずっと言ってるんです。今は少しずつたくさんの人に聴いてもらえるようになってきたんですけど、国民的な曲ができたかと言えば、まだまだなので、この約束はいつか果たしたいと思っています。
YUUTO 僕が高校時代一番お世話になった先生との話です。先生は僕が歌手になるために上京することを「それは現実的ではない」と反対していました。僕はそのとき先生に「絶対に歌手になって帰ってくる」と約束したんです。歌手になるという目標を達成したので、先生に連絡したかったのですが、高校を卒業してから先生の連絡先が分からなくなってしまって、全然連絡も取れていなくて…。でも、先日『かみひとえ』(テレビ朝日系)という番組放送をたまたま先生が観ていて、僕の友達を伝って10年ぶりに電話をくれました。僕が歌手になれたことを先生は知らなくて、夢を叶えたことを喜んでくれました。
TAKUYA 僕はお菓子がめちゃくちゃ好きなんですけど、太るからメンバーからお菓子禁止令を出されているんです。なのでメンバーの前では食べないようにしているんですけど、実はこっそり家で食べていて、痩せるという約束は果たせていなくて…。特にポテチ系が好きなんですけど、“あいつ”は夜中になると誘惑してくるんですよ(笑)。でも、何とか週一だけに出来るように、ここで約束したいと思います!
大人なカラクリを表現
――さて、ここからはみなさんのお気に入り曲をお聞きします。今作でYUUTOさんの印象的な曲は?
YUUTO 歌詞を書かせていただいた「EMPTY」です。歌詞も曲調も今までのカラクリにはなかったような雰囲気の楽曲になっているので、またカラクリの新たな一面を見せることが出来たんじゃないかなと思います。INSPiの吉田圭介さんがコーラスディレクターとして入っていただいているんですけど、圭介さんもこのコーラスに手応えを感じていただけました。本当にカッコいいコーラスワークになっているので聴いて欲しいポイントの一つです。
――『FIRST PALETTE』以降のカラクリの特色の一つにハーモニーがありますよね。
YUUTO はい。TikTokを中心に僕らはアカペラをやってきたので、自分たちの楽曲にもその成果を活かしていこうと。それもあってコーラスに力を入れている楽曲が多いです。
――歌詞で気に入っているフレーズはありますか。
YUUTO サビの<情けない僕のこと嘲笑って>です。この歌詞は僕の実体験なんです。僕は失恋してしまうと1週間ぐらい、ただただ凹む時期があるんです。そこを越えるとやけになる、自暴自棄という第2波がきます(笑)。その人のことを忘れるためにお酒を飲んだりしてしまうんです。それで次の日、二日酔いでぐったりしている情けない僕がいて、それを嘲笑っているという描写なんです。
――自分自身を投影した歌詞なんですね。続いてJUNPEIさんの印象的な楽曲は?
JUNPEI KAZと歌った「Be with you」です。この曲はKAZと一緒に歌詞も書いているんですけど、ある程度歌詞が出来てからも、さらに3日間ぐらい一緒に作業して、細かいところまでこだわって、レコーディング当日の朝までやっていました。
ストーリー設定もかなりこだわって。これは高校3年生の夏休みの出来事で、夏頃から付き合い始めた2人のひと夏の終わりまでを描いた話になっています。大学に進学するために上京することが決まっていて、離れ離れになってしまう。そんな2人にとって最後の夏の儚さを描いています。
――こだわり抜いた歌詞で気に入っているところは?
JUNPEI 僕が特に気に入っている歌詞は<崩れた浴衣と握った手のひら 遠のく夏の音が切なくて>というところです。これは自分も実際に体験したことがある情景だな、と。歌詞を書くのは大変でしたけど、完成してみてすごくこだわって作って良かったと思いました。
――このシチュエーションは共感できる人も多いんじゃないかと思いました。KAZさんは?
KAZ 僕はこのアルバムでたくさんの曲の作詞や作曲をしたんですけど、僕も「Be with you」は、思い入れが強いです。季節が変わっていく瞬間というのは、誰もが少し寂しさを感じると思うんです。9月になると日も徐々に短くなり、肌寒くなって、どこか楽しかった時間さえも奪われていくような感じがして。この曲の1番では季節は夏なんですけど、2番で秋に変わっていくという、曲の中で季節をまたいだ歌詞を書けたのは初めてのことでした。
それがうまく表現できたと思っているところが<日に日に早まる夕日が 君ごと連れ去さらないように抱きしめた>という歌詞です。2人の楽しい時間さえも奪われてしまうような気がして、だからふと抱きしめてしまうという、楽しかったからこそより離れたくないと思う気持ちを表現できたと思っています。
――情景と心情描写が表現されていますよね。さて、RIOSKEさんはどの曲が印象的でしたか。
RIOSKE 僕はソロで歌った「Star」です。この曲は当初メンバー全員で歌う予定の曲でした。アルバムのリリースが延期したことで、それぞれの個性を出して行けたらいいんじゃないかという話から、僕がソロで歌わせてもらえることになったんです。歌詞も僕が書いたんですけど、ただ前向きな歌詞にしたくなかったんです。
――それはなぜですか。
実はこの新型コロナで僕の叔父と友達が亡くなってしまいました。でも、僕だけではなく世界中でそういった人がたくさんいるんじゃないかなと思って。大事な人を亡くしたときは、その人に会いたい、悲しい気持ちでいっぱいで綺麗事なんて出てこないんですよね。だからそのまま自分の気持ちを歌詞にしました。でも、最後の歌詞で<届くまで歌うよ 夢で待ち合わせしよう>と、すこしだけ前向きになれる言葉を入れました。僕自身もこの曲を作ったことで悲しみが少し和らいだので、聴いてくれる人たちにも同じように感じてもらえたらと思っています。
――この曲で浄化された部分もあったんですね。さて、TAKUYAさんはいかがですか。
TAKUYA 僕は初めて作詞・作曲の両方を担当した「You're special」です。恋愛の曲が多いなかで、曲ごとに役割を分担させようと、歌詞を書く前に方向性を決めました。僕は「付き合う直前のドキドキ感」をテーマにしたいと考えました。今年の夏はコロナ禍もあって、恋愛もストップしてしまっている人も多いんじゃないかなと思うんですが、この曲を聴いて恋が始まるドキドキ感を味わってもらえたら嬉しいです。
――お気に入りのフレーズはありますか。
僕が一番気に入っているフレーズは<ダル着のまま急いだ ココロ躍る 2:00AM コンビニ前 なんでもない話が朝を急かしてる>です。時間の経過や情景描写がうまく書けたんじゃないかなと。
――充実した時間を過ごしているのがわかる歌詞ですよね。では、最後にこの『SECOND PALETTE』にサブタイトルをつけるとしたら、何にしますか。
KAZ 『FIRST PALETTE』の主人公はフレッシュな好青年という感じだったんですが、『SECOND PALETTE』は大人なカラクリを表現できたんじゃないかと思っています。人間的にも成長していく中で、様々な経験を重ねることでできた楽曲が多いなと感じています。なので、『SECOND PALETTE 〜ADALT〜』です! ぜひ、皆さんに大人なカラクリを楽しんでもらえたら嬉しいです。
(おわり)