KALMA「何年経っても愛されるバンドに」10代が鳴らす等身大のサウンド
INTERVIEW

KALMA「何年経っても愛されるバンドに」10代が鳴らす等身大のサウンド


記者:榑林史章

撮影:

掲載:20年03月08日

読了時間:約11分

 北海道在住の3ピースバンドのKALMAが3月4日、2nd Mini Album『TEEN TEEN TEEN』をリリース。畑山悠月(Vo/Gt)、斉藤陸斗(Ba/Cho)、金田竜也(Dr/Cho)による3ピースバンドで、高校1年生の2016年に結成。全員まだ10代という元気なパワーと、北海道らしい大らかさが魅力で、メジャーデビュー作となった『TEEN TEEN TEEN』には、等身大の彼らが収められている。全作詞作曲を手がける畑山に、メジャーデビューの気持ちや制作の裏話など話を聞いた。【取材・撮影=榑林史章】

10代に限らず大人まで全員に届くように

畑山悠月

――今作『TEEN TEEN TEEN』は、メジャーデビュー作になりますが、メジャーデビューすることについてどんな気持ちですか。

 メジャーデビューすることは、もちろん嬉しいしもっと頑張ろうと思う気持ちが、当たり前のこととしてあります。それにメジャーデビューというのは、今まで僕らがやって来たことが間違ってなかったという証明だと思っていて。だからこそ、変な意味ではなくメジャーデビュー作だからと言って、奇をてらうようなことはなく、むしろ今までと変わらないの気持ちでやろうと思いました。

――そのままで良いんじゃないか、と。

 はい。いろいろ考えたんです。今年20歳になるし、もう高校生の頃と同じではないから、聴いてくれる人がびっくりするような、目新しいものを作らないとダメなんじゃないかとか。でも、今までやって来たものを認めてもらってメジャーデビューが決まったわけだから、今まで通りの部分もないとダメだと思って。それに僕らが今までと同じだと思って新曲を作っても、聴いてくれる人にとっては、高校生の頃の僕らとは違う新しいものになるわけで。それなら変に背伸びをせず、リラックスして制作しようと思って。実際に、すごく楽しく制作が出来ました。

――結果的に10代であるみなさんの魅力が詰まった、等身大のアルバムになりましたね。10代ならではの楽しさもあるけど、10代には10代の葛藤もあって。みなさんらしい、やんちゃさや憎めなさなど、いろいろな面が出ているアルバムだなと思いました。タイトルが『TEEN TEEN TEEN』でもあるし、やっぱり10代はテーマの一つでしたか?

 そうですね。タイトルは、僕らが3ピースバンドで3人だから、『TEEN』を3つ重ねたという(笑)。TEENという言葉については、今年で20歳になってしまうし、最期に等身大のリアルな作品が作りたくて。大人びたタイトルにするよりは、大人になって振り返った時に、「10代の時のアルバムじゃん!」って分かりやすいとか、内容も10代の最後に作ったことが分かりやすく表れているほうが良いなと思いました。

――1曲目は「これでいいんだ」という曲で、これは最初に話していただいた、今まで通り自分たちらしくやれば良いと思ったということにも通じています。それと同時に、自己肯定という部分で、自分に自信が持てなかったりといった、10代ならではの悩みに対して、背中を押してくれるものでもあります。

「これでいいんだ」ジャケ写

 友人でもけっこう悩んでいる人がいるし、僕自身だって悩みはあるから僕だけじゃなく、みんなにも共感してもらえる曲にしたいと思って、それはコンセプトの一つになっています。スポーツをやっている人にも、やっていない人にも、10代に限らず大人まで全員に届くようにと思って作りました。

――KALMAのサウンドは3ピースというのもありますけど、すごくシンプルなバンドサウンドですよね。そもそもの話ですが、畑山さんはどんな音楽から影響を受けていますか?

 実際に音楽を始めたきっかけはMr.Childrenでしたが、最初にハマった音楽は、ORANGE RANGEでした。これは自分でも記憶に残っていて、親も証言しているんですけど、3歳くらいの時にORANGE RANGEの曲を歌っていたんです。それを聴いた祖父母が「この子には音楽の才能がある!」と言い出したみたいで、結果的に幼稚園の年長から小学6年生までバイオリンを習っていました。当時は自分が音楽を好きなのかも分からなかったし、むしろ野球が好きでチームにも入っていたから、中学に入る前まで学校以外は野球・野球・バイオリンという日々でした。それで中学の時に親の車でたまたま流れていたMr.Childrenを聴いて衝撃を受けて、そこから本格的に音楽が好きになり、自分でもやりたいと思うようになって。最初は弾き語りをやっていました。

――もっとパンク系のバンドかと思いました。

 いくら好きだからと言って、いきなりMr.Childrenのような曲を作れるわけないじゃないですか。いつかそういう曲を書きたいとは思っていますけど、自分で出来ることと出来ないことはわきまえているつもりです(笑)。

――でもKALMAの曲は、どの曲も弾き語りで成立しそうなメロディなので、最初に弾き語りで練習していたというのは分かりますね。

 実際に今も曲を作る時は、アコースティックギター使ってやっているし、僕自身も弾き語りで良いと言ってもらえる曲じゃなきゃ、バンドでも良いと言ってもらえないという考え方です。もちろんバンドでやることで映える曲もあるけど、例えばJ-POPの名曲と呼ばれているものは、メロディとコードが良いというのが前提なんです。弾き語りを練習していた当時、人気アイドルの曲を弾いてみたら、打ち込みとかいろんな音が入っている曲だったんですけど、それでもとても良い曲だったんです。そういう経験があったので、弾き語りで成立する曲であることは、常に意識しています。

――収録曲についてですが、「コーラ」という曲では、親への感謝の気持ちを歌っていて。<ママいつもありがとうね>という歌詞で、実際にママって呼んでいるんですか?

 呼んでます。子どもの頃はみんなそう呼んでいたのに、いつの間にか恥ずかしくなって、友だちが遊びに来た時は「母さん」って呼んだりするじゃないですか。でも一周回って恥ずかしさは無くなって、今も人前でも平気でママって呼んでいます。

 キャラじゃないって言うか、今までリリースして来た曲の歌詞や、普段の僕のSNSを読んでいる人から観れば、僕が<ママいつもありがとうね>と歌っているのは、むしろそのほうが違和感はないと思うんです。特に1曲目から3曲目までは、そういう僕らしさが出ていると思っています。2曲目の感じとか、6曲目の「わがまま」っていう曲もそうだし。

――それが、「ママ」ではなく「コーラ」という曲名になっていて。それも歌詞にコーラが出て来ないのもKALMAらしさなんでしょうね。

 歌詞を書くのはいつも最後に書くことが多いんですけど、「コーラ」の時は<ママいつもありがとうね>というフレーズが、曲を作り始めた時からあって、それを軸に書いていったんです。エゴサーチしたら、“KALMAの「コーラ」って曲がとても気になる。絶対炭酸系の青春っぽい曲だろう”という書き込みがけっこうあって。意味の分かんないところで変化球っていう(笑)。

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