ロックバンドのGLAYが25日、神奈川・横浜アリーナで全国アリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2019-2020 DEMOCRACY 25th HOTEL GLAY THE SUITE ROOM』公演をおこなった。本ツアーは11月9日の福井公演から1月26日の神奈川公演まで展開されるGLAY25周年大型アリーナツアー。本公演ではアンコールを含む全25曲を披露し、メンバー本人出演の映像演出など大盛況の一夜となった。横浜アリーナ2DAYS公演25日の模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

今日明日でHOTELは破壊されます!

(撮影=田辺佳子)

 HOTEL GLAYは2009年、2012年に開催をされた「感謝の意を込めてファンをおもてなしする」といったコンセプトを元におこなったライブ。7年ぶりに復活し実施され、セミファイナルの25日の横浜アリーナは客席を埋め尽くす圧巻の光景を見せた。

 開演するとまずはスクリーンにメンバーが演じる物語が映し出された。メンバー4人が容疑者と刑事に扮して演じられる “HOTEL GLAY殺人事件”という物語の途中でメンバーからの「My name is DATURA」のタイトルコールでライブがスタート。一気に照明が点くとステージにスタンバイしていたメンバーが一斉にアンサンブルを放ち、初曲からオーディエンスは両手を掲げて前後に揺らし、曲間の“キメ”に合わせてのクラップと絶好のオープニング。

 鋭いギターフレーズから切り込まれた「黒く塗れ!」ではTAKURO(Gt)とHISASHI(Gt)はステージ左右の端に移動、目一杯のフォーメーションにステージ前方に立ち上がる炎、ステージを覆うスモークと、演出も激アツのなかTERU(Vo)の力強いボーカルがアリーナ中に広がった。

 「Flowers Gone」では、今度はJIRO(Ba)とTERUがステージ左右端に移動し、オーディエンスと近距離での演奏を見せ、勢いあふれるコール&レスポンスを巻き起こす。TAKUROもモニターに上がってのプレイを見せるなどメンバーのテンションは上々。HISASHIとのメロディアスなツインリードギターもビシッと決まり、開始3曲で会場はGLAY一色に染め上げられた。

 TERUは「OK, 横浜アリーナ!」というけたたましいシャウトからのMCで「今日明日でHOTELは破壊されます!」と、公演の熱さを言葉にしつつ会場の笑いを誘う。「今日は12000、13000人かな?」と、集まったオーディエンスに向けると温かい拍手に包まれた。そして「25年経ってもよくぞ付き合ってくれてます。ありがとうございます!」と、太陽のように輝く笑顔で感謝を伝えた。会場横、スタンド席後方、アリーナと全方位に声をかけ、「今日はそこに想いを届けるために来ました」と伝え、会場は最高のムードに包まれた。

この空間は一夜限り

(撮影=田辺佳子)

 清涼感たっぷりのギターアンサンブルにメロウな歌が光る「愁いのPrisoner」では1バースをオーディエンスが合唱、ダンサンブルなビートがたまらない「everKrack」ではスクリーンにレトロ調のアクションゲームの映像、四方八方へ飛び交うレーザービームと、様々なカラーの演出でオーディエンスを魅了。

 TERUは「やっぱり一番大事なのはこのライブの空間。この空間は一夜限り」と、この日のライブ空間を噛みしめるようにオーディエンスへ伝えた。GLAYから音として言葉としてライブの臨場感が表されると、この日限りというライブ空間を共有することの貴重さを改めて実感させてくれた。そしてTAKUROのしっとりとしたギターの音色から始まる「あゝ、無常」での壮大な空気感のなか、温かい歌詞と共にGLAYのバンドサウンドが優しく広がった。美しいブルーのライトをバックにミドルテンポで披露された「COLORS」ではTAKUROもHISASHIもストラトで艶やかに奏でる。さらにテンポを落として、「元号」へと進み、JIROのベースラインが6/8拍子で心地良く体を揺らしてくれた。

 そして清涼感抜群のアンサンブルが弾ける「笑顔の多い日ばかりじゃない」では、オーディエンスは冒頭からコールに挙手とエネルギッシュにGLAYに応える。サラウンドに広がる<LA LA LA…>のシンガロングにTERUと交互に歌うオーディエンスと、会場のライブ感はどこまでも膨張した。

 セットリストの緩急があまりにも見事であることを実感し始めた中盤、ライブの展開はさらに深みを増していった。サポートキーボーディストのハジメタルが奏でるピアノからの「はじまりのうた」では4つ打ちのビートにTERUの歌が疾走するように乗り、TAKUROのレスポールの太いトーンが絶妙に絡み合う。「氷の翼」ではハスキーなTERUの歌声がアリーナ中を包み込み、ムーディーな空間を醸し出した。

 そしてJIROの印象的なベースラインからの「Into The Wild」では、ライブにスペーシーかつ神秘的なエアー感をプラス。続く「AMERICAN INNOVATION」ではステージにメンバー4人の姿の巨大なバルーンが一瞬にして出現し、オーディエンスのボルテージも膨れ上がるようにタオルを回しつつのハイテンションな反応を見せた。GLAYが刻む拍とシンクロするオーディエンスのクラップで楽曲が締められると、あまりに見事な会場の一体感だったからか、演奏後にTERUは「パン、パン、パァン!」と思わず言葉にして満面の笑顔を見せた。

目指せ50周年!

(撮影=岡田裕介)

 ライブ冒頭の“HOTEL GLAY殺人事件”の続きがスクリーンに映し出されると、HISASHI&JIROのカットインから「BLACK MONEY」へと突入。映像と演奏の絡みがライブ進行の絶妙なスパイスとなり、ドラマティックに公演を彩る。エッジの効いた「BLACK MONEY」はHISASHI、JIRO、サポートドラマーのToshi Nagaiの3ピースでの披露となり、各人のプレイのカラーがビビットに映えた。「LET ME BE」ではピアノの音色にアコースティックギターをつま弾くTAKUROと、バラード調のサウンドがロマンチックに鳴り渡る。月明かりが照らされた海の景色の映像をバックに、TERUの叙情的なボーカルが優しいサウンドと共に心と体に染み渡ってくる。そしてシンフォニックな空気感の「逢いたい気持ち」へと続き、どこまでも豊かなライブ展開で“一夜限り”のライブ空間を楽しませてくれた。

 ライブも後半、パワフルなドラムのフィルインから始まる「誘惑」では突き刺すようなTERUのボーカルとHISASHIのリードギターが轟き、アリーナのテンションは最高潮へ。そして客席にバルーンが投入された「Runaway Runaway」へと続き、ハッピーな空気感が広がるなかフィナーレへと向かった。

 本編最後のMCでTAKUROは「25周年はみんなのおかげです。ありがとうございます!」と、声を大にして感謝の気持ちをオーディエンスへ伝えた。さらにTAKUROは「サンキュー! サンキュー! サンキュー!」と、サポートメンバー含む5人へ情熱的に伝えつつメンバーと熱く絡み、TERUは「小学校6年生からの付き合いですが、こんなテンションが高いTAKUROを見たのは初めてです」と、TAKUROの熱量を具体的に表すと会場からは大歓声。そして「13000人の気持ちを一つにしてこの曲を一緒に歌いましょう」と、「Bible」へ進み、本編ラスト曲の「反省ノ色ナシ」を披露して本編を締めくくった。ステージを去る前にTERUは、「いつもいつも最高の景色を見せてくれて本当にありがとう」とストレートに、オーディエンスへ温かい笑顔で伝えた。

 アンコールを受けたGLAYは「ちょっと激しめの曲を」と、「生きてく強さ」から4曲のアンコールに応えた。「生きてく強さ」では、TERUはAメロからマイクを客席に向け、オーディエンスの合唱が続いた。そのままサビへ、そして2番へと――前代未聞の1曲まるまるオーディエンスがボーカルを担当させるというパフォーマンスを見せた。これにはTERUも「25年間やってて初めて1曲まるまる歌わせた!」と、爽やかな笑顔。あまりの出来事にHISASHIから「“悪いGLAY”、まだ続いてないよね?」とツッコまれるシーンも。会場は和やかさと熱気と幸福感と最高の空気感のなか全25曲が演奏され、灼熱のテンションの25th HOTEL GLAYは終演となった。

 最後にTERUは「目指せ50周年! 音楽と真面目に向き合ってこれからも生きていきます!」と前向きでどこまでもポジティブなメッセージを伝えて、最高に満たされた雰囲気のなか、公演は幕を閉じた。そして再び“HOTEL GLAY殺人事件”がスクリーンに映し出され、オフショットの映像も流れ、GLAYのライブ空間を最後の最後まで楽しませてくれた。

セットリスト

『GLAY ARENA TOUR 2019-2020 DEMOCRACY 25th HOTEL GLAY THE SUITE ROOM』

2020年1月25日@神奈川・横浜アリーナ

01.My name is DATURA
02.黒く塗れ!
03.Flowers Gone
04.愁いのPrisoner
05.everKrack
06.あゝ、無常
07.あなたといきてゆく
08.COLORS
09.元号
10.笑顔の多い日ばかりじゃない
11.はじまりのうた
12.氷の翼
13.Into The Wild
14.AMERICAN INNOVATION
15.BLACK MONEY
16.LET ME BE
17.逢いたい気持ち
18.誘惑
19.Runaway Runaway
20.Bible
21.反省ノ色ナシ

ENCORE

EN1.生きてく強さ
EN2.FATSOUNDS
EN3.彼女の“Modern…”
EN4.VERB

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