5人組コーラスグループのベイビー・ブーが12月24日、東京・よみうりホールでワンマンライブ『クリスマスコンサート~イブの日は有楽町で逢いましょう~』を行った。コンサートは2部構成で全曲アカペラでカバーやオリジナル曲「花が咲く日は」など、美しいコーラスワークでホールを包み込んだ。一歩ずつ日本武道館のステージに近づいていることを感じさせてくれたコンサートの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

一歩ずつ進んで行けている1年になった

 この日のコンサートは平日の昼間の公演だったが、有楽町にあるよみうりホールには、ベイビー・ブーのハーモニーを楽しもうと多くの観客が集まった。開演時刻になり暗転。幕が開くとそこには5人の姿。雪が降る演出の中、「White Christmas」でクリスマスコンサートの幕は開けた。ユースケの挨拶からチェリーのメインボーカルで山下達郎の「クリスマス・イブ」を披露。日本を代表するクリスマスソングを豊かなハーモニーとアレンジで届けた。

 チェリーがクリスマスイブの由来、クリスマス・イブニングが元々の名称で、24日の晩からクリスマスが始まることを説明すると、客席からは「へぇ」と感心した声も。そんな豆知識を挟み、クリスマスメドレーへ。サンタの衣装にチェンジし、「We Wish You a Merry Christmas」、「サンタが町にやってくる」、「赤鼻のトナカイ」、松任谷由実の「恋人がサンタクロース」、「Winter Wonderland」など披露。「赤鼻のトナカイ」ではユウの低音による歌が印象的。ストーリー性も感じさせてくれたメドレーで楽しませた。観客も手拍子で盛り上がった。

  ベイビー・ブーが今年Twitterを始めたということで「きよしこの夜」では、観客の撮影OK。2番からは観客も参加して合唱。ホールはみんなで歌う、うたごえ喫茶の空間を彷彿とさせる美しい歌声が響き渡った。そして、今回の場所にピッタリな1曲でフランク永井の「有楽町で逢いましょう」をチェリーがメインで歌い上げMCへ。

 ユースケは今年を振り返って、「一歩ずつ進んで行けている1年になった」と話し、ケンは今年声が出なくなってしまった時期があったことで「歌える喜びがこんなに大きいんだ。歌手なんだ」と実感したという。そして、ユウはファンクラブで小田原に泊まりでコンサートを行ったことが印象的だったと述べた。

 チェリーは今年一番嬉しかったことにディズニー映画『ライオン・キング』のプレミアム吹替え版で「コーラスで参加出来たこと」だと語り、「ちょっと歌って良いですか」とシノブをメインボーカルに「ライオンは寝ている」を届けた。シノブの透明感のあるハイトーンボイスに絡むように、イントロでのチェリーのライオンの遠吠えが印象的で、その遠吠えに会場からは笑い声も。

 この日はベイビー・ブーの師匠である日本を代表する正統派老舗コーラスグループ・ボニージャックスのデビュー記念日ということで、「ボニージャックスの世界 冬メドレー」と題した昭和歌謡曲メドレーをボニージャックスのアレンジで届けた。童謡唱歌「ペチカ」、「冬の星座」、手拍子も起きた「スキー」の3曲を歌唱。歌唱後ユースケは「ボニーさんからもらった譜面を大切にしていきたい」とコメント。

 2020年4月に東京文化会館でコンサート『ベイビー・ブー コンサート2020 ~時代を彩った青春名歌~』を行うことを発表し、その先取りでその時に歌うであろう楽曲たちをギュッと凝縮してダイジェスト版と称して村下孝蔵の「初恋」、ガロの「学生街の喫茶店」、森山直太朗の「さくら(独唱)」、チューリップの「青春の影」など披露。昔の曲から近年の曲まで、時代を彩った名曲たちを15秒ほどで曲をどんどん切り替えメドレーで歌唱。

 1部ラストは彼らの代表曲「花が咲く日は」。うたごえ喫茶ともしび新宿店で19カ月連続リクエストランキング1位という快挙を成し遂げ、現在も継続中。毎年12月に京都の清水寺で発表される「今年の漢字」にちなんで、昨年掲げた彼らの漢字は「芽」で今年は「蕾」だと話す。「来年は花が開くようにもっと大切に歌っていきたい」と芽から蕾へと成長した「花が咲く日は」を情感を込め丁寧に歌い上げた。

皆さまの励みになる歌を

ベイビー・ブー

 第2部は冬の日本の名曲をテーマに、汽車の蒸気を想起させるスモークの中、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」で幕は開けた。続いてはアダモの「雪が降る」を天井からのスポットライトを浴び、チェリーが甘い歌声で熱唱。

 昭和生まれ、平成育ちのベイビー・ブーが届けた「冬の名曲メドレー」へ。観客による手拍子先行で、まずはケンとシノブがメインでアリスの「冬の稲妻」から、チェリーをメインに中島美嘉の「雪の華」、シノブがメインで広瀬香美の「ロマンスの神様」、ユースケがメインで森進一の「冬のリビエラ」の4曲を披露した。

 続いては森 昌子の「越冬つばめ」をシノブが叙情的に歌唱。歌唱後に「越冬つばめ」の作曲者が円 広志(クレジットは篠原義彦 名義)という事で「夢想花」のサビを披露する場面も。そして、吉幾三の「雪國」へ。切ない楽曲の世界観を5人のハーモニーで、“雪國”の世界観を鮮明に映し出して行く。

 リクエストコーナーへ。由紀さおりからの手紙を読み上げるユースケ。他のメンバーには、手紙のことは内緒だったようで、由紀からの手紙に驚く4人。由紀から「ベイビー・ブーに歌って欲しい曲がある」と、リクエストで「雪の降る街を」を披露。さらにサプライズは続き、今度は徳光和夫からのメッセージが会場に流れた。由紀に続いて徳光からのリクエストはロシア民謡の「郵便馬車の馭者だった頃」を披露。ユウのセリフもアクセントに、ロシアの情景、楽曲の持つ背景を歌で見事に表現した。

 コンサートもラストスパート。ベイビー・ブーのコンサートではお馴染みの「高校三年生」、「青春時代」の2曲を届けた。5人はステージを降り、観客とコミュニケーションをとりながら歌唱し、ファンにとって嬉しい瞬間。さらに観客と合唱し、一体感のある空間を作り上げた。そして、谷村新司の「昴」。5人の凛とした“五位一体”の歌声は、多くの人の心に響いた。ユースケは「多くの人に支えられてここまで来ました」と話し、本編最後は彼らのオリジナル曲「ごめんね…ありがとう」でステージをあとにした。

 アンコールは再び雪が降る演出のなか、ワムの「ラストクリスマス」を歌唱。よりクリスマスムードを高めてくれた。「皆さまの励みになる歌を歌えるグループになれるよう精進していきます」と決意を語り、来年願いが叶いますようにと想いを込め「When You Wish Upon A Star(星に願いを)」を歌唱。ミラーボールが星の瞬きのように輝くなか、歌声と光の演出で幻想的な空間を作り上げた。この1年の感謝を「走れベイビー・ブー」にのせて、日本武道館と『NHK 紅白歌合戦』への目標を掲げ、『クリスマスコンサート~イブの日は有楽町で逢いましょう~』の幕は閉じた。

メンバーコメント

▽ユースケ(リーダー)

まず、今年最後のコンサート、年末のお忙しい中、1000人の方が時間を作ってお越しくださったことが嬉しく、何より有難かったです。自分達も今年の総決算という想いの中、臨んだコンサートでした。お越しくださったみなさまに、「本当に楽しかった!最高だった!」と言って頂けたこと。何よりのクリスマスプレゼントを頂いたと思っています。そして、今年も「花が咲く日は」という曲を皆さんに一年間育てて頂き、歌声喫茶ともしびのリクエストランキングで19ヶ月連続一位にして頂きました。「花が咲く日は」をみなさんに歌って頂けるようになったことで、去年を表す漢字として「芽」という漢字を挙げましたが、今年は更に育てて頂き、さらに温かい応援も頂いたことで「蕾」になってきていると実感できる。そんな充実した1年でした。来年は、「花」を咲かせられるよう、メンバー一丸となり、更にone teamで、目標に掲げている「1万人の方と共に日本武道館での大合唱祭」を現実にするべく歩んで行きたいです。

▽チェリー(リードテナー)

僕らの声だけで今年最後のステージを作りたい!と、今日は全曲アカペラでお届けしました。5人全員が満足できるハーモニーが中々奏でられずに悩む事が多いですが、今日お客様と一緒に歌った瞬間に、何か自分の歌が前に進めた様な気がしました。

セットリスト

『クリスマスコンサート~イブの日は有楽町で逢いましょう~』

12月24日@東京・よみうりホール

1部

01.White Christmas
02.クリスマス・イブ
03.Xmas メドレー
04.きよしこの夜
05.有楽町で逢いましょう
06.ライオンは寝ている
07.ボニージャックスの世界 冬メドレー
08.時代を彩った青春名歌メドレー
09.花が咲く日は

2部

10.津軽海峡・冬景色
11.雪が降る
12.冬の名曲メドレー
13.越冬つばめ
14.雪國
15.雪の降る街を
16.郵便馬車の馭者だった頃
17.高校三年生〜青春時代
18.昴
19.ごめんね…ありがとう

ENCORE

EN1.ラストクリスマス
EN2.When You Wish Upon A Star(星に願いを)
EN3.走れ!ベイビー・ブー

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