「暗さも、負けん気も全て私」ありのままの姿、アーティスト・ニノミヤユイ
INTERVIEW

「暗さも、負けん気も全て私」ありのままの姿、アーティスト・ニノミヤユイ


記者:木村武雄

撮影:ニノミヤユイ

掲載:19年10月27日

読了時間:約10分

強い感情を手にするために捨てるもの

――そんなニノミヤさんのデビューアルバム『愛とか感情』ですが、その表題曲はバグベア氏が作詞・作曲をされています。最初に聴いたときの印象は?

 歌詞を初めて読んだときに「どう解釈すれば良いんだろう…」と悩みました。というのも、愛には人を好きになる直接的な表現もありますが、この歌詞ではそういう枠に収まらない漠然としたものだと感じて…。

 歌詞に<愛が死んだ>というフレーズがたくさん出てきますが、「愛」というのが温かみのあるものを指すのであれば、この表現は、温かい場所、安心できる場所に頼り切っては勝利が掴めない、ということを意味しているのではないかと思って。自分自身が強くなるためには、強い感情を手に入れるためには、温かみや優しさ、心地良い場所を捨てないといけないと解釈しました。

 それと、2番に<優しいだけの世界線なら平和な夜明けが来るだけだ>というのがありますが、その言葉の通り、優しさとか温かい気持ち、プラスな気持ちだけでいたら平和ではあるけど、自分が目指しているものは掴めないと思いました。優しさを捨てて強さを得るというように。

――曲を作るにあたっては事前に、バグベア氏からインタビューを受けた?

 はい。お話させて頂いて「こういうことを考えています」と伝えました。それと、「ピアノが好きです」ということも伝えました。それで再びバグベアさんにお会いして、出来上がったデモを聴かせて頂いたらピアノも多く取り入れて下さって、素直にかっこいい曲で嬉しかったです。だけど私の陰の部分を引き出して下さいましたが「この曲の強さに自分の歌声が負けないか」という不安もありました。

――バグベア氏から見た「ニノミヤユイ」像が曲で表現されているわけですね。「歌声が負けないか」という不安を解消するために取り組んだことは?

 曲自体が難しかったのでどうやって歌って表現しようかと考えました。好きな歌い方をされる方を参考にしたり、ちょっと喉を絞めて歌った方がより雰囲気が出るかもしれないと思い試してみましたがなかなか難しくて。レコーディング前までみっちりと練習しました。

――テンポが速いですが、その点はいかがですか?

 私自身、もともとテンポが速くてまくしたてる曲は好きだったので、歌えたことが嬉しかったです。でも、それまでの声優で身に着いた、キャラクターが引き立つ活舌の良い歌い方がどうしても出てしまって。最初は「声優っぽさが残っているね」と言われました。陰の部分やアーティストっぽさを出すためにそういうところを捨てていかないといけない。わざと活舌を崩すわけではないけど、歌い方をダウナーにしてみたり、試行錯誤しました。気だるげに歌っているけど、そのなかに真の強さがある、陰のなかに一筋ピンと張るような一貫性はあるけど陰でずっと揺れている歌い方をしたくて。でもそれは難しくて、そもそも私は巻き舌が苦手で…(笑)。

――でもそうした試行錯誤によって良い曲が出来上がったわけですからね。MVの撮影はいかがでしたか。文字の部分は実際に投射されているような感じでしたが。

 そうです。後から付け加えたものではなく、実際にその場で投射して文字の影を作っていました。私はすごいと思いながら寝ていたので…(笑)。監督が色々と考えてかっこいいものを作って下さいました。私は頑張って寝ていました(笑)。

――完成したMVを観てどう思いましたか?

 「あ!ミュージックビデオだ!」と興奮しました(笑)。撮影は朝から晩まで13時間ぐらいかけて行いましたが、撮っている時は、音が流れていない時もありましたし、ファーっと撮って「ハイOKです!」という感じでしたので、これをどう繋ぎ合わせてMVに仕上げるんだろうと思っていました。でも完成したものを見たらかっこよくて、「うわ!」となりました(笑)。改めて「アーティストになったんだな」と実感しました(笑)。

ニノミヤユイ

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