chay等身大の“いま伝えたいこと”を一枚に
――本作のテーマにもなっているアイデンティティ・クライシスは女性特有のものでしょうか?
男性にもあるらしいです。40歳手前くらいと言われていますが…女性は結婚とか出産とか、さりげない謎のプレッシャーが(笑)。無意識かもしれませんがそれで焦ったりと。、「このままでいいんだろうか」とか、仕事だったら「転職しようか」とか。なんとも言い表せないモヤモヤした気持ちなんです。
――それを音楽で表現できるのは凄いです。
このときにこの人だから通る、ということではないと思うんですけど、広い目で見たら色んな方が不安や焦りや迷いと葛藤のなかで生きていると思うんです。だから、たくさんの方々に聴いてもらいたいなという気持ちで作ったアルバムです。
――chayさんは音楽を作ろうとして曲を書くのか、それとも“伝えたいこと”があって音楽を作るのでしょうか?
基本的には曲が先行ですけど、自分が伝えたいことがあるというタイミングと、曲作りを作るタイミングが重なってリリースするというイメージです。
――基本的には同時進行なのですね。
そのときにしか出てこない気持ちと言葉、メロディを大事にしているので、あまりストックから引っ張ってくるということはないんですけど、そういうタイミングが来たときに作り直すということのほうが多いです。
――8曲目の「ずっと きっと 叶う」で<いつからこんな ちっぽけになってしまったんだろう>とありますが、これはそのときに思ったことでしょうか?
これは27歳の頃に書いたんですけど、私は19歳の頃にギターを始めて路上でデビューを目指して活動を始めたんです。そのときは、とにかくがむしゃらで夢に向かって猪突猛進型でした。それ以外のことは何も考えずにとにかく歌とギター、という日々だったんです。だからこそ人に馬鹿にされそうな大きな夢も抱けて堂々としていました。根拠のない自信もありましたし。
でも年齢を重ねていくうちに現実を見て色々と知っていくなかで、人に馬鹿にされそうなくらい大きな夢を抱けていた自分が、徐々に現実的ではないということに気づき、ちょっと恥ずかしくなったりとかモチベーションが上がらなくなったりとか…あのときあんなに根拠のない自信だけでがむしゃらにやってこられたのに、何でこんなにちっぽけになっちゃったんだろうと。そこにぶつかったのが25歳のときなんです。「あの頃の自分を思い出せよ!」って自分を鼓舞してなんとかやりきっていた頃なんです(笑)。
――そういう時期もあったのですね…。
だから“19”や“25”という数字が出てきたりするんです。
――現実的にという意味で、何も知らない頃はある種の“無敵感”があるというか。
無敵ですよね。対照的に書いた曲で、<何も怖くなかった>と<全てが怖くなった>と、<がむしゃらに走ってた>と<躊躇いながら歩いた>、<大きな夢抱えて>と<小さな夢抱えて>とか。年齢によって気持ちが真逆になってくるというのを書きたかったんです。
――不思議ですよね。年齢とともに強くなっていくと思っていたらむしろ逆だったりと。
夢って年齢とともに難しくなっていくのを肌で感じながら、それでも追い続けるのって難しいじゃないですか?
――夢を現実に置き換えてしまう、ということもありますよね。
そう。それで現実的な夢となるとどんどん小さくなってきちゃうという。あの時あんなに大きな夢を持って本気で叶えようと思っていたのに。いつのまにかちっぽけになっちゃったりとか。
――ちなみに19歳の頃の夢は何でしたか?
武道館公演でした。そういうのも経て、いまは19歳の頃ほどがむしゃらではないけど、心に余裕を持ちながらリラックスしながら、でもちゃんと堂々と自分の大きな夢を抱けるようになったと思います。人生何があるかわからないじゃないですか? 努力していれば絶対に誰かが見ていて報われるときが来るというのを、デビューしてからの間で経験したからだと思えるんです。今の自分のペースでだけど、大きな夢を抱くということも、前向きに捉えてやれるようになりました。
――こうしてお話しさせて頂くと、chayさんは凄く前向きだしリラックスされているなと感じます。
でも、それは最近だからかもしれないです。20代前半の頃とは違うというか…。
――人によるかもしれませんが、20代前半の頃ってどこか心に鎧をつけているというか。
そうですよね。あれ何でしょうね? 常に何かと戦っているという。誰からも戦いを挑まれていないのに(笑)。
――わかります(笑)。
「負けない!」みたいな謎のプライドがあったり。そういうプライドもくだらないなと思う瞬間がたぶん26、27歳の頃に来て。
――人によっては30歳、60歳までそういうのがあるかもしれないので、今作に込められたそういった想いがあらゆる時代で感じる作品でもありそうですね。ずっと色褪せずに残るというか。
それは私も常に心がけていることで、エバーグリーンなポップスを作りたいと思っているんです。武部さんもそういう想いなんです。良い意味でスタンダードだし何年経っても年代問わず良質な作品を作ってくださるんです。「小さな手」ではストリングスが12本も入っていて、そういう現場に立ち会わせて頂いたりと、あれほど豪華な生音を浴びて歌えるって凄く恵まれているし幸せだなって思いました。
――プロデューサーとして武部さんは相当大きな存在なのですね。
もう人間国宝と思うくらいです! ディレクションも迷いがなくて的確なんです。こんなに頼りになるんだなって。、こんなにスムーズにぶつかることなく、関わる方々が納得いくものを作れたのは武部さんだからだったんだなと思います。
――“伝えたいこと”がしっかりと込められている作品ですね。
正に、今作は等身大の、“いま伝えたいこと”を一枚にしたアルバムです。
(おわり)
衣装協力=MERCURYDUO、ADER. bijoux 、グロッセ・ジャパン
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