拾ってきたギターを今も愛用
――「I miss you」は、SNSを題材にした今っぽい曲で、歌詞に絵文字が出てくるのも面白いです。
TwitterのDMで出会っているカップルが増えているという噂を耳にして、シンガーのマーリーくんがそういうことに詳しかったので、そういったやりとりをイメージして作りました。
――ネットを介しての恋愛に対しては、どういう考えですか?
アリだと思います。たまたま出会った場所が、そこだったというだけですから。そもそも僕はネットやSNSなどには疎くて、エゴサという言葉も最近覚えたばかりなんです。
――かしわさん自身は、新しいものよりも古きよきものに惹かれるようなタイプなんですね。
ずっと同じものを使っているという感じですかね。新しいものが気に入れば、それをずっと使うみたいな。結果的に物が捨てられなくて、部屋が片付かないですけど(笑)。
曲作りやレコーディングで使っているアコギも、小学生のときに父親がどこかから拾ってきたものなんです。「みりん」もそのギターで作りました。もちろん新しいギターを買えば音も良いんだろうけど、やっぱり愛着があるんですよね。それに、どこか懐かしい感じの音が出るような気がするし。
――「ゆるゆるなme」というインスト曲も収録していて、シンセの音も懐かしい音ですね。
そういう音を好んで選んでいます。中学生でバンドをやっていたときに、ちょっと古くて変わったバンドのほうが格好いいみたいな感じでいろいろ探して聴いていて。P-MODELが大好きやし、PLASTICSや戸川純さん、イエロー・マジック・オーケストラとか、80年代のニューウェーブも好きで、影響を受けているところがありますね。
――また「8月」は重ためなトラックとラップの曲で、タイトルは「8月」だけど、秋に聴くとすごく合いますね。
8月が過ぎ去って…という曲です。僕の曲は、前を向いている曲もあるけど、過去を見ている曲が多いんです。「8月」もそうやし「CLUB・DT」、「どうでもいいこと feat. HARZEY UNI, KOPERU」もそう。だから半年後くらいに曲を出すときは、ちょうど今くらいの気持ちを振り返っているかもしれないです。
――それが、かしわの曲の持つノスタルジックなムードに繋がっているわけですね。
未来的なことを書いても、結局それもいつか過去になってしまう。「telescoop -New Version-」という曲では未来のことを思って書いているけど、結局そこにも過去のことが出てくるし。そういうノスタルジックな部分は、自分の曲の特色として残していきたいです。
――このアルバムは、どんな人に聴いてほしいですか?
肩の力が抜けていて素朴で、今まででいちばん素が出ているアルバムです。男女や年齢に関係なく、幅広く聴いてほしいです。同世代の20代や学生の人なら、きっと何年か経って聴き直したときに、歌詞の意味を実感してもらえたらいいなと思いますね。僕も実際に今の年齢になって、歌詞の意味を実感した曲がたくさんありますから。
それには長く聴いてもらう必要があるけど、長く聴いてもらえるものになったと思うし。その人にとってどことなく懐かしくて、落ち着けるアルバムになったらいいですね。それに、女子にも聴いてもらえると思うんですよね。僕ら顔面偏差値は低いけど(笑)、曲はいいと思うので!
(おわり)