内田真礼「新たなスタートを切りたい」様々な表現で歌手として見せた成長
INTERVIEW

内田真礼


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年10月07日

読了時間:約13分

大ファンの曽我部恵一が作詞・作曲・編曲で参加

内田真礼

――「共鳴レゾンデートル」のレゾンデートルという言葉は、「生きる理由」や「存在価値」という意味ですが、内田さんとしてはどんな風に捉えましたか?

 私が主人公の小鳥遊六花役で出演した、アニメ『中二病でも恋がしたい!』(2012年)のEDテーマを歌ったキャラクターソングのユニット名が、Black Raison d'etreだったんです。確認は取っていませんが、田淵さんもそのことはご存じだったと思うので、きっとそれもあって「レゾンデートル」という言葉を使ってくださったのかなと思います。

――『中二病』は、内田さんがブレイクするきっかけになった作品でしたね。

 だから「レゾンデートル」という言葉にも、思い入れがあって。それが今、こうして曲に取り入れていただけたことは、すごくうれしかったです。アニメ『Charlotte』の話もそうですけど、今作は過去から今に繋がっているものがけっこうある印象です。

――y0c1eさんが作詞・作曲・編曲を担当された「Girl is fun」は、女の子らしさが全面に出たポップな楽曲ですね。

 このアルバムは1枚を通して前へ前へと向かっていて、何があっても折れず、止まらないぞ! というものが表現されていますが、その中でもこの曲は、ホッとできるものになりました。頑張っている日常でも「たまには休んでもいいんだよ」と、優しく語りかけてくれるような曲です。歌詞に出てくる<ペールラベンダー>は、パール感のある薄いラベンダー色のことで、コスメのアイシャドウやハイライトで使うことが多い色なんです。y0c1eさんは男性なのですが、どうしてこういう女の子らしさを出せるのかすごく不思議です(笑)。

――「キミ行きEXPRESS」は、内田さんのライブでサポートメンバーとしてギターを弾いている山本陽介さんが作曲したポップなバンドサウンドが印象的ですね。

 陽介さんは去年のツアーの時から、「内田真礼のかわいい部分を、俺が書きたい!」とずっと言ってくれていて、今回初めて曲を書いていただきました。みなさんの中でも、ライブでは明るく元気な内田真礼というイメージが強いと思いますが、そこから一歩踏み込んでかわいい面を引き出してくれてすごく嬉しかったです。作詞は4thシングル「Resonant Heart」のカップリング曲「TickTack…Bomb」と同じ山本メーコさんです。女の子らしい、かわいい一面を書いてくださって、自分で書いているわけではないのに、すごく私らしいと思いました。

――「あの人に会いたい」という曲は、サニーデイ・サービスの曽我部恵一さんが作詞・作曲・編曲を手がけたアコギがメインのしっとりした曲ですね。内田さんは、もともとサニーデイ・サービスの大ファンだったそうですが、どういうきっかけで聴くようになったんですか?

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 ある時カフェで流れていたのを聴いて、「この曲いいな」と思って調べたら、それがサニーデイ・サービスでした。それがきっかけでファンになり、曲を聴いたりライブに足を運んだりするようになって、Tシャツとかグッズもたくさん持っています。好きな曲は「クリスマス」とか、アルバム『DANCE TO YOU』の収録曲「セツナ」で、今回作ってくださった曲にも、私が好きな曽我部さんのテイストが入っています。コーラスも曽我部さんが入れてくださったんですよ。

――曽我部さんとはどういうやりとりだったんですか?

 曽我部さんがスタジオに来てくださって、「じゃあ試しにやってみましょう」という感じで、その場でキーチェックしたり試しに歌ったりという感じでスタートして。曽我部さんのギターに合わせて歌ったのが、すごくぜいたくで幸せでした。ただ、私が曽我部さんをリスペクトしすぎて、キーチェックで歌った歌い方が、曽我部さんの歌い方に似てしまっていて。それを聴いた曽我部さんから、「もっと内田さんらしく、内田さんの良さを出して歌ってほしい」と言われました。

――いつもよりも透明感があって、肩の力を抜いて歌っている印象でした。

 歌詞の分量が少ないのもあって、歌うことに集中できましたね。歌詞がこうだからここはこうしようとか、細かく考えなくてはいけないところがなくて、自然にメロディと言葉に乗ることができました。私自身がとても気持ちよく歌えたので、そういう印象になったのだと思います。

――曲調と歌詞から、物語のワンシーンが切り取られたような曲だと思いました。

 山と海があって、坂道になっていて、坂の上のほうから海を眺めているような情景が浮かびます。以前に雑誌の表紙で、白いワンピースに麦わら帽子という姿で写真を撮っていただいたことがあって、私がイメージしたのはまさしくそのときの写真です。ただ、特に年齢とか設定があるわけではなく、どちらかと言うと自分の中で高まっている嬉しい気持ちを重要視して歌いました。早く好きな人に会いたくて、あちこち歩き回って暑さと疲れで“ホヤ〜ッ”としているのですが、それでも気持ちが高まってしまう。それくらい、すごく好きな気持ちです。

――時代や世代を問わず、共感してもらえそうですね。そういう普遍性があるところも、サニーデイの曲の良さですね。

 本当にそうです。一人称を<ぼく(わたし)>と歌っているのですが、<ぼく>で歌ったことがなかったので、それも新鮮でした。90年代感と言うか、ちょっとした懐かしさを感じて、そこもすごく好きなポイントです。

――サックスのソロもあって。

 最高です。たまらないです(笑)。

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