素直な私を受け取ってほしい―、宮下舞花 自分を知るきっかけになったソロ
INTERVIEW

素直な私を受け取ってほしい―、宮下舞花 自分を知るきっかけになったソロ


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年09月17日

読了時間:約7分

散る美しさ、繊細なビブラートで表現

――舞花さんの特徴はビブラートだと思いますが、今回の曲はそれがより効果的に出ていると思いました。

 普段からビブラートを付ける部分とそうではない部分を意識しています。付けることによって「悲しみなどの思いが伝わりやすくなるかな」と感じていて、歌い上げるときに結構、大きめのビブラートをかけることがあるんですけど、今回は繊細な曲だったので、細かいビブラートをかけることを意識して。それも新たな発見でした。

――もともと持っているものを使ってうまく表現できた?

 そうです。私のなかでは今まで活動してきた経験すべてが引き出しになっているので、今回はここの引き出しを開けて表現しようという感じでした。もともと私は細かいビブラートが好きでよく使ってはいるんですけど、この曲が、そっと聴きたいメロディなので、真っすぐ伸ばしながら消えていくように細かいビブラートをかけるところは苦戦しながらもよく録れたと思います。ですので、そこにも注目してほしいです。

――細かいビブラートから桜が散っている情景が浮かんできますし、曲だけでなく、その歌い方が映画のテーマをそのまま表現しているようにも感じます。

 命が絶たれる瞬間って儚いし、繊細な部分だと思うので、そういう部分がビブラート、私の歌い方で表現できたら…と思っていました。

――今回の曲でステップアップできましたか?

 決まっている大きなテーマに対して、私が出せる部分と、寄り添う部分とを考えるきっかけになったので、また新しい引き出しはできたと思います。

――ところで、先ほど「桜が散る瞬間が一番美しい」と話されていましたが、どちらかと言うと「咲いている方が好き」という方が多い気がします。もちろん、散る美しさはありますし、解釈は人それぞれなのですが。

 もちろん咲いている花も美しいです(笑)。実は小学校5年生の時に「桜笛」という曲を書いたことがあって、当時は曲を書き始めた頃で曲にもなっていない感じで笑っちゃうような内容でもあったんですど、その時に書いた内容も、満開の桜についてではなく、散った桜で桜笛を吹くというものでした。その時から潜在的に散って舞っている姿が美しいと感じているんだと思います。それと名前が舞う花で「舞花」で、両親から「舞う花のように美しく育ってほしい」と意味を込めて付けてもらったので、「舞う花は美しいもの」という印象はあって。今回の曲の歌詞でも<ひらひらと舞う花びらは散ってもまた咲くように>というのがあります。桜が舞う瞬間は美しいんだと改めて思って。散っていく瞬間があるからこそまた咲く、そういうことを考えても美しいと思います。

宮下舞花

宮下舞花

自然体なストレートな言葉

――さて舞花さんはソロ活動して1年が経ちます。振り返っていかがですか?

 昨年7月にソロアルバム『#blooMing』を発売しました。「放課後プリンセス・舞花」として活動してきた私は、プリンセスに変身して、そのプリンセスの人生や物語を放課後プリンセスで表現するという発信方法でした。ソロでは、宮下舞花として自分の気持ちをストレートに表現できていると思います。しゃべるよりも何をするよりも歌うことで私を分かってもらえると思っているので、ソロでは素直な私、作っていない自分は出せていると思います。もちろん放プリの舞花は作っているわけではないけど、アイドルとして皆に元気になってもらいたい、好きになってもらいたいと放プリの世界観を大事にしています。

 宮下舞花としては肩の力を抜いて自分の事を分かってもらえる活動と思っていて、それから1年が経って、今年も9月18日に両A面シングル「na.na.na/サクラの約束」を発売するんですけど、「na.na.na」とカップリングの「砂時計」は私が作詞しました。『#blooMing』を制作したときよりもすらすらと歌詞が出来たり、当初はちょっとかっこつけたかったところもあったんですけど、今回はより自然体の私のストレートの言葉が表現できていると思います。ソロ活動は自分と向き合ってより宮下舞花を自分自身が知れる機会なのかなと思いました。何も装っていない素直な宮下舞花を多くの人に受け取ってもらいたいと思い、挑めたと思います。

――歌詞を書くにおいて経験は大事ですからね。

 多くの事を経験しようと思っていますし、映画もたくさん観ているので、蓄積はされていると思います(笑)。何よりも映画では主題歌も重要だと思っているので、今回、それを担当させて頂いてすごく嬉しいです。

宮下舞花

宮下舞花

(おわり)

◆宮下舞花 1993年7月12日生まれ、神奈川県出身。人気アイドルグループ「放課後プリンセス」の「舞花」としてメインボーカルを務め、加入してから11作全てがオリコンウィークリーランキングTOP10入りする等活躍している。歌声はアイドル界を超えて噂となり、個人でのテレビ番組出演やドラマ挿入歌歌唱、海外音楽賞受賞などで実力を証明してきた。2018年7月から本名である宮下舞花としてソロ活動を開始し、自身の手掛けた楽曲を含むミニアルバム「#blooMing」を発売。2019年9月18日、待望のNEWシングル「na.na.na」が発売される。「na.na.na」に収録された「サクラの約束」は誰にでも訪れる死について描いた映画『みとりし』の主題歌として制作され、切なさとそれを包み込む優しさを感じる作品となっている。

作品情報

映画『みとりし』
出演:榎木孝明、村上穂乃佳
高崎翔太、斉藤暁、つみきみほ、宇梶剛士、櫻井淳子ほか
原案:『私は、看取り士。』柴田久美子著(佼成出版社刊)
監督・脚本:白羽弥仁
配給・宣伝:アイエス・フィールド
有楽町スバル座ほか全国順次公開中

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宮下舞花
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