自分が聴いてきたメロディが自然と出た
――アルバムには「Carpe Diem」と「Only Our Oath」という、インスト曲も入っている。バンドという形では表現し切れないものが、ここに込められている感じがしました。これも福島さんが?
福島由也 はい。これによってアルバムとしての統一感を持たせられたら良いかなと思って。あと小休憩とか、場面転換の意味もあったり。アルバム1枚を通して聴いて、少しでも楽しんでもらえたらと思って。飛ばしたかったら飛ばしてくれても良いけど(笑)。
――「Carpe Diem」(カルペディエム)は、ラテン語で「その瞬間を楽しむ」みたいな意味があるとか。
福島由也 「Memento Mori」を作った時に、そのツアーのオープニングに流すSEとして作ったんです。「Only Our Oath」も、Zepp DiverCity TokyoでのライブのオープニングSE用に作って。
――そのライブに行った人は、「あの時に流れていたSEだ!」と。
福島由也 みんな覚えてるかな(笑)?
寺口宣明 覚えてると思うよ。曲名を見ただけじゃ分からないと思うけど、曲を聴けば「なんか聴いたことがある。あ、あのツアーのやつだ」って、そのツアーの思い出ごと引っ張り出してくれるものになるんじゃないかな。
――そうやってライブと作品を紐付けて作ることは多い?
福島由也 前々作の「揺れる」という曲も、イベントのオープニングSE用に作ったものだったから。わりと前からこういうことはやっています。
――今作には、アニメ『トライナイツ』のEDテーマ「模様」も収録しています。アニメの曲は初めてだったとのことですが、いかがでしたか?
寺口宣明 アニメのタイアップが決まった時は、すごく嬉しかったですよ。ただ俺は、アニメをまったく観ないので…。そんな俺でも小学生の頃は、家に帰ってテレビを付けるとアニメをやっていて、その時に聴いたアニメの曲は大人になっても覚えているんです。そういう影響を考えると、すごく大きなものだと思うので、そうやって誰かの記憶にこの曲が残って行けるのだとしたら、素晴らしいことだと思っています。
――記憶に残ってるアニメの曲って?
大島知起 FLOWさんが歌っていた、アニメ『NARUTO-ナルト-』のテーマソングとかですね。
寺口宣明 そうそう。みんな口ずさめるよね。他にもASIAN KUNG-FU GENERATIONさんとか、バンドがやってる曲がたくさんあって。アニメの曲って無意識に入っていくところがあるから、すごく光栄な機会をいただけたと思います。
――「模様」は、バラードで切なくしっとりとしたナンバーです。どういったイメージで作ったんですか?
寺口宣明 書き下ろしではなく、もともと作っていて、それを使っていただいた形です。これは自分が今まで聴いてきた、いわゆるJ-POPのメロディを全面に出して作ってみようと思って。自分が今まで聴いて単純に良いと思ったような曲を、自分でも生み出したいというところから作りました。
最初はメロディから作って、どんな歌詞にしようかと考えていって。「人は何で言葉を持ったんだろう?」ということをふと思って、それを歌詞にしてみようかなと思いました。
――アコギと歌で始まるのが、胸をギュッとつかみます。それにすごく美メロですよね。
寺口宣明 僕はいつもアコギでメロディを作るんです。だからメロディは、グッとくるものを選ぶにようにして作っていて。
――福島さんと寺口さんで、作る曲のテイストがだいぶ変わりますね。
寺口宣明 そうですね。「Oh,My Graph」も僕ですし。
――「Oh,My Graph」は、どこかMr.Childrenさんの曲っぽいなと思いました。
寺口宣明 それは、すごく言われます(笑)。「無色の声帯」も僕が作ったんですけど、それはYELLOW MONKEYさんっぽいって言われます。
――そういうバンドからの影響というのは、実際にあったりするんですか?
寺口宣明 誰かをモデルにして作ったことはないんですけど、お茶の間でよく耳にする曲や、誰もが知ってるバンドの曲を聴いて僕は育っているので、自分が聴いてきて自分の中にあるメロディが、自然と出ているんだと思います。
カワイリョウタロウ 「Oh,My Graph」が出来た時は、僕自身ミスチルさんをよく聴いていたんですね。そんな時に「Oh,My Graph」が上がってきたから、個人的にはすごくテンションがあがりました。僕自身もこういう曲がやれたらいいなと思っていたところがあったし、いい意味で僕らっぽくないところで、他の曲と上手く化学反応を起こせたらいいなと思いました。
大島知起 2000年くらいのJ-ROCKの雰囲気があって、メロディもすてきだったし。アルバムで福島の曲と一緒に並んだ時に、作曲者が違う曲同士で互いに引き立て合いながら、良い相互作用が働くと思いました。