松本穂香ら、新島での撮影を回顧 ふくだももこ監督は母からの手紙に涙
松本穂香、板尾創路、浜野謙太、笠松将、ふくだももこ監督が31日、都内でおこなわれた、映画『おいしい家族』(9月20日公開)ヒット祈願!特別上映会に出席した。
映画は、人も気候も穏やかな島を舞台に新たな家族像を作り上げる物語。主人公・橙花を演じるのは若手女優・松本穂香。本作で長編映画初主演を務める。亡き妻の服を着て暮らす父・青治には板尾創路。青治のパートナーでありお調子者の居候・和生には浜野謙太。橙花の弟・翠は笠松将が演じた。また、作家・ふくだももこ氏にとっては自身初の長編監督作品となる。
本作制作の経緯は、ふくだ監督が監督と脚本を務め、板尾が出演した『父の結婚』での舞台挨拶にあったという。ふくだ監督は当時を振り返り「板尾さんが良い話だから長編にできないかと言ってくれて…」。板尾も「時間と予算に限りがあったので、もう少し表現できるなと。出来が良かったので、お金出してくれといったら、日活が釣れた」とユーモアを交えて明かした。
松本は、ふくだ監督の印象を「一番楽しんでいたというのは一番覚えています。良いアングルがあったら『ええやん』と。自信満々で先陣を切ってくれるから私たちも楽しんでできた」と語った。また、撮影地が新島だったことも大きかったようだ。「まわりから遮断された環境だったので、余計なものがなく純粋に役に入れた」と回顧。なかでも板尾と浜野の「犬のシーン」が印象深いようで「笑いをこらえるのが大変でした。一番楽しかったかもしれない」とした。
浜野も「楽しかったっすね」と笑顔で振り返ると、数ある思い出話から監督の部屋で酒を飲み交わしたエピソードを紹介。「監督が酔っ払って力説して。この映画は『グレイテイストショウマンみたいにしたい』と言われて、ぐうの音も出なかった」と語った。
笠原はキャスト陣が「個性が強め」とし、「みんながいるだけで楽しい雰囲気になる」と語った。ふくだ監督の人柄については「こういうしゃべり方だから嫌だなって。僕は肌が弱いんですけど『日焼けしてくれへん』って。怖いなって。ストレートな人」としつつも「立場的に僕は弱いじゃないですか、でも分け隔てなく平等に接してくれた」と明かした。
板尾も「いろんな役の人がいたので、変な感じと言えば変な感じ。そこに何日間も住んでいるので、朝は眠そうだし、夜は疲れたら帰ったり、生活を共に、合宿をしているような感じ。島でずっと泊って撮影している感じが学生気分で楽しかった。それが映画に出てる」と振り返った。このほか、板尾が浜野を誘い“デート”に出かけたことや、笠原を含めた3人で温泉に浸かったことなどが明かされた。
この日は、サプライズで、ふくだ監督の母から手紙が送られた。松本が代読するその内容に、流れる涙を浜野の浴衣の袖でぬぐっていた監督は、「生まれたときからいろんな人に優しくしてもらって、もちろん傷つけたり、傷つけられたりしたけど、だからこういう映画で、いろんな人に返していかないといけないと思った。そういう思いがちょっとでも伝わっていると信じたいし、ちょっとでも感じてもらえたら嬉しいです」と感謝と本作への思いを、声を震わせながら語った。

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