演劇は花、美しさと儚さが同居
――ベンジャミンはどこか、一つのことに対して猪突猛進みたいなところがありますね。ハリエットと似ているところはありますか?
良かれと思ってやることが裏目に出るということが共通しているのかわからないですけど(笑)。僕もそんなに色々と女性が思っていることに対して敏感な方ではないので、そういう部分は共通していると思います(笑)。それと、ベンジャミンはハリエットのこと好きですが、ベンジャミン自身は好きになられる側でもあるんです。その人との関係はどうなるかわからないんですけど、そういう、知らないところで女性にモテてしまうということは共通している部分じゃないかなと(笑)。
――そういうことに気づかないタイプ?(笑)
あるんじゃないですかね…(笑)。「そういうところだよ」みたいなことを言われることはよくあるんですけど、僕のなかでは「どういうところなんだろう?」とか「鼻についているのかな?」と思ってしまうので、気づかないところはあると思います。
――個性的な女性が多い稽古場で、いまのような…。
ヤバいかもしれないですね(笑)。でも僕は姉と妹がいるので、女性への接し方については大丈夫だと思います(笑)。無難にちゃんと渡り歩いていく自信はあります。逆に、男性が少ないので、是非とも仲良くしていきたいと思います。
――普段、稽古場で意識されていることは?
僕は稽古場が好きなんです。なるべく早く入って遅く出たいというのがあって、そうするとけっこう色んな人の色んな顔が見られるんです。「この人はこんなことをやっているんだ」とか新しい発見もあって。そういうのが稽古場にいながらも分かってくると、よりコンタクトもとりやすくなりますし、芝居の話もしやすくなる。それはどの稽古場でも意識してずっとやっています。それが座長にしろ、大きなカンパニーの一人だとしても。
――演劇が好きなんですね。
好きです。演劇は一回一回が合宿みたいで、長ければ3、4カ月いますけど、短ければ1カ月で終える。そのときだけしか集まらない人達でやるというところに青春を感じるんです。なので、少しでも長くいたいと思うし、たとえ短い期間でも一人一人と深く関わりたいなと思っています。やっぱり終わっちゃうとけっこうそれっきりになってしまうこともありますし、だから、そのときはなるべくいたいなと。そういうところから、演劇が好きということに繋がっていると思います。
――青春は青春ですが、どこか儚さもありますね。
演劇って儚いですよね。本当に一回で終わりますから。
――美しき花のような?
散る、というか(笑)。まず咲かなければいけないですからね。毎公演みんなで花を咲かせる、そういう良さがありますから、それは観に来た方にしか見られないという。そこはやっぱりいいですよね。その日にその場所にいた方にしか味わうことができないという。同じものをやっていても違いますから。そこがやっぱり好きですし。本番だけじゃなく、稽古場も一緒です。
――今回は世界初演でオリジナルキャストの一人。どんな爪痕を残したいですか?
やはり前例がないものなので、まずこれをやった一人一人の役がひとつの正解というか指針になってくると思います。ですので、一番は、ベンジャミンという役として必要な存在になるということです。「あいつがいたから色々あったんだな」と色々思い返せるような、できれば「憎いけど、憎めないよな」「もしかしたら良い人だったのかも」とピュアな青年としての良い印象を持ってもらえるような爪痕を残したいと思います。
作品からはきっと、働いている方や頑張っている方、特に女性の方は勇気がもらえると思っています。ロックミュージカルということで歌も盛り上がる曲がたくさんあると思うので魂に訴えかけていきたいと思います。そういう意味では「いまちょっと疲れたな」とか「大変だな」と思っている方も含めて、元気になってもらえる作品になると思うので、是非観に来てほしいです。あと、モテモテの僕を観に来てほしいです(笑)。