大城美友「ありのままでいい」自身のすべてを注ぎ込んだ音楽から見えた未来
INTERVIEW

大城美友「ありのままでいい」自身のすべてを注ぎ込んだ音楽から見えた未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年08月20日

読了時間:約11分

 沖縄・名護市出身で在住のシンガーソングライターの大城美友が8月21日、1stアルバム『MI-JUNGLE』をリリース。昨年10月10日にミニアルバム『MI-POSITION』でメジャーデビュー。今作『MI-JUNGLE』では、大城の憧れの存在であるプリンセス プリンセスの岸谷香が作詞・作曲した「不器用なエンジェル」や永井真理子の「ミラクル・ガール」のカバーなど全12曲を収録。インタビューでは素の自分を出したかったと話す、90年代テイストも感じられるアルバムの制作背景や、岸谷香との会話の中で見えたもの、“輝き人”になりたいと話す彼女の未来への展望など話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

信念を持って歌い続けていけばきっと伝わる

大城美友

――SNSをみると最近はこういった取材だったり、テレビやラジオのコメントと忙しそうですね。

 ありがたいことに、たくさん取材していただいています。大変なんですけど、特にインタビューは聞いてくださる方の色が皆さん違うのですごく楽しいんです。

――それはインタビューする側としても嬉しいですね。さて前回の『MI-POSITION』のインタビューの時に聞こうと思っていたことがあったのですが、大城さんは切ない恋愛の実体験からの曲が多くて、今作でも何曲かありますが、歌詞に登場する相手は全部違う方ですか。

 実は私、過去にお付き合いした人は1人だけなんです。なので、基本的にはその1人の男性とのことを歌詞に書いています。ちょっと例外もあって今作に収録されている「ロックん女」はちょっと違っていて、これは私の周りの友達の話から膨らませました(笑)。ちょっと危険な恋なので、ぜひ不倫のドラマとかに使って頂けたら嬉しいなあという気持ちで作りました。

――周りの方のお話から作ることもあるんですね。『MI-JUNGLE』は今の大城さんがすごく反映されているアルバムになりましたね。

 そうなんです。なのでタイトルはすぐに決まりました。一応、他の候補には『MI-VOICE』とかあったんですけど、それはちょっと違うかなあと。

――全曲揃ってからタイトルを考えた?

 いえ、全曲揃うちょっと前くらいでした。私はタイトルとか響きで決めたいタイプなんです。最初からそこに意味があって出すのではなくて、そこに後から意味を吹き込んでいきたい、私達のいる世界、街ってすべて響きなんです。この説明もなかなか伝わりづらいんですけど(笑)。打ち合わせでもマネージャーさんが「こういうことでしょ」と要約してくれて「それ!」ってなったりしますから。

――言葉で説明するのが苦手?

 出来ないんですよ。そんな私の頭の中がごちゃごちゃしているから“ジャングル”なんです(笑)。でも、そこには太い根っこがしっかりとあるイメージなんです。基本はやる気、元気、ポジティブ、太陽が私なんですけど、今回は26歳になった私の今まで見せなかった素の部分ポイントにあるんです。

――ある意味さらけ出した1枚で。その中で「不器用なエンジェル」はプリンセス プリンセスの岸谷香さんプロデュースで話題になりましたね。

 6月ぐらいに録ったんですけど、もうすごく前のような気がしています。1日が1年ぐらいの感じもあるくらいで(笑)。ずっと岸谷さんに曲を作ってもらいたいと、周りに話していたら実現できました!

――すごいですね! 夢が一つ叶いましたね。実際にお会いしてみて、いかがでした?

 ずっとテレビの画面越しでしか見たことがなかった香さんは、めちゃくちゃ華奢で、私がお会いしたときはすっぴんだったんですけど、すごく可愛くて。私の母とあまり年齢が変わらないんと思うんですけど、母に「香さんを見習え!」って言いたいと思いました(笑)。

 あと、香さんが皆さんから好かれる意味がわかりました。すごくサバサバしているんですけど、周りへの気遣いがすごいんです。私がレコーディングの前日に練習しすぎて喉の調子が悪かったんですけど、香さん特製のミントティーとマヌカハニーのキャンディを頂いたり。こういったことを当たり前かのように出来るというのはすごいと思いました。私も香さんみたいな人になりたいなと思いました。人としての目標です!

――他にはどんなお話をされたんですか。

 レコーディングが終わってから中華料理屋さんにいったんです。食事しながらプリプリ時代のお話を聞かせていただいたり、香さんは母親になったけど、芯の通ったロックな人だなと思いました。結果を残された方というのは、どこまでも輝いているなと思いました。

――アドバイスなんかもいただきました?

 もう「美友ちゃんのやりたいようにやりなさい。信念を持って歌い続けていけばきっと伝わるから」と言っていただきました。それを聞いて私はとても自身がつきました。もうありのままの私で良いんだと思えましたから。以前、青山テルマさんにも「このままでいいよ」と言って頂けたのも嬉しかったです。あとはトーク力を上げれば完璧だと(笑)。すごくMCが苦手なんです。

――今後の課題ですね。「オレンジバタフライ」では松岡モトキさんと矢野まきさんにプロデュースしてもらって、その歌詞の中にも不器用とありましたが、今回も不器用ということで(笑)。

 そうなんです。結局私は不器用で、今回はタイトルにまでなってしまいました。実は最初のタイトル候補は「臆病なエンジェル」だったんですけど、香さんが「なにか違う、もう一つなにかある」と話していて。その中で出てきたのが不器用だったんです。自分でもやっぱり私は不器用なんだ…と改めて認識しました。

――岸谷さんと矢野さんにそう言われてしまったら、もう“大城美友=不器用”で決定ですね(笑)。

 もう不器用と暮らしていくしかないんです。あと、いまだに自分のことがよくわからないんです。

――なんとなくなんですけど、大城さんはわからないままの方が良いような気がします。

 確かにわかってしまったらゴールかもしれないです。死ぬまで自分を追求して行きたい、それが“大城美友”かもしれない(笑)。

――探求者ですね。「不器用なエンジェル」を歌ってみての感想は。

 最初は香さんに書いて頂いた曲に、私が歌詞を書かせて頂いたんです。でも、私はハッピーな恋愛はしてこなかったこともあって、やっぱりドロドロな恋愛の歌詞になってしまったんです。それを香さんがポジティブな方向に導いてくれたんですけど、めちゃくちゃ音域の幅が広くて、歌えなかったんです。今もまだ歌いこなせてはいないんですけど…。

――7月13日におこなわれた『當山みれい×大城美友 2man Live』でも、この曲を生で聴かせていただきましたけど、そんなことを感じさせない歌唱でしたよ。

 ありがとうございます。でも、本当に難しいんです。おそらくあと100回歌ったら理想に近づけるとは思うんですけど。

――あと、アルバムを聴いて感じたのが、今回全体的にロックよりなサウンドが多いですよね。

 『MI-POSITION』のときは迷いがあったと思うんです。今も模索中ではあるんですけど、今回はソフトロック中心で行きたいというのがありました。私は過去にやんちゃな時代があったんです。でも、それを隠していた自分もいました。私からすると『MI-POSITION』の時は、見た目も含めて猫を被っている大城美友だなと感じていて…。実際、色んな人に迷惑をかけた時代もあったんです。そういうのを隠していたけど、先輩から「これまでがあったから今のお前があるんだろ。やんちゃ感だせよ!」と言われたんです。

――それで素の自分というテーマが出てきて。曲もロックっぽい感じになったんですね。

 ここからどんどん素の自分を出していきたいと思っていて、次の作品には「10代のバカな景色(仮)」という曲が待っています(笑)。

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