大城美友「明るい未来のためにできること」時代と向き合った彼女の変化に迫る
INTERVIEW

大城美友

「明るい未来のためにできること」時代と向き合った彼女の変化に迫る


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年02月10日

読了時間:約10分

 沖縄・名護市出身で在住のシンガーソングライターの大城美友が2月10日、2ndミニアルバム『TURNING POINT』をリリース。同作はフィジカルな作品としてはアルバム『MI JUNGLE』以来約1年半ぶり。昨年11月に配信リリースされた「ヤンチャ風」や、アニメ「ログ・ホライズン 円卓崩壊」エンディングテーマとしてO.A中の「ブルー・ホライズン」、珠玉のバラードナンバー「believe」など、今の時代と向き合って書かれた全6曲を収録した。インタビューでは、2020年を経て成長できたと話す大城美友の心情に迫るとともに、『TURNING POINT』の制作背景など、多岐に渡り話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

少し大人になれた1年間

『TURNING POINT』ジャケ写

――昨年はライブかもなかなかできない1年だったと思うのですが、大城さんはどのような心境だったんですか。

 ミュージシャンにとってライブができないのは、死んだも同然なんですけど、マネージャーともここからもっと活動していこうと、たくさん計画を立てていたんです。それはたくさんライブハウスを回ったり、路上ライブとか色々あったんですけど、その最中にコロナで緊急事態宣言が発出して、人に会うこともできなくなってしまって...。その中でも溜まっていく思いというのはたくさんあるんですけど、この気持ちさえも私たちミュージシャンは音楽にできるなと思って。

――アウトプットできますよね。

 なので考え方をポジティブな方に変えて、より時代や自分と向き合ったりするようになりました。一昨年までの私はゴミ同然のような感じでしたが、このコロナをきっかけにすごく成長できたなと思っています。また私は新しい自分には気づけてはいないんですけど、気づきそう、というところまで登っては来ているという感覚はあります。

――楽曲の作り方にも変化があったのでは?

 曲作りに関しても今の状況でこんなこと書いていいのかな? とか悩むこともあったんです。「頑張れ!」と応援するような歌詞を書いても、もうみんなすでに頑張っているので、普通の応援ソングもどうなのかな…、と思ってしまったりもして。年齢を重ねてきた私はその見方も変わってきたんです。「強さ」というものが基本ベースにあった私ですけど、ただ強いだけではないといいますか。もちろん人の背中を押したいという気持ちは変わらないんですけど、その押し方に変化が出てきたじゃないかなと思っていて、少し大人になれたんじゃないかなと思っています。

――強さのバリエーションが増えたんですね。

 そうです。やってはダメと抑制されるといろんな物が溜まっていってしまうんですけど、将来できた時にそれを放出することはできると考えると、私は我慢できたりするんです。なので基本的に落ち込んだりはしなかったんですけど、不安になった部分はやっぱりありました。もしかしたら音楽出来なくなっちゃうのかなとか...。でもこの時代にはやっぱり音楽が必要だし、音楽が一人でも多くの人を救えるはずだ、ということはより強く思いました。

――昨年メジャーデビュー2周年記念として配信ライブを行いましたが、実際にやってみてどんな思いが生まれましたか。

 音楽をしているということには変わりはないので、配信もすごく楽しかったです。どうしてもコメント、文字でしか会話ができないので、ライブを観てくれているみんながどういう表情なのか分からないし、考えるところはあって、コミュニケーションをとるのがなかなか難しいなと思いました。どこか自己満足になってしまっているんじゃないか、という不安があって...。ここからまた配信をやっていくならば色々考えないといけないなと思いました。そうしないと勘違いして、自分が痛い目をみると思ったんです。なのでいろんなアーティストの配信ライブを観て勉強しています。

――今年はライブをたくさんやるんですか。

 私は配信ライブをそんなに頻繁にやろうとは、今のところ考えてはいないんです。どちらかというと「ここだ!」という時にピンポイントでライブができたらいいなと思っていて。もちろんやろうと思えばたくさん配信ライブもできてしまうと思うんですけど、ライブをするということを、大切にしていきたいなと思っています。

時代と私が一対一で向き合ってできた作品

――今作『TURNING POINT』はどんな思いを込めて作ったEPなんですか。

 基本、届け方というのは変わっていないんです。その中で少し大人になった私を感じてもらえるような作品になったらいいなと思って作りました。コロナになる前からアルバムを出そうという話はあって、楽曲が完成して行く半ばぐらいでアルバムタイトルの候補がいくつか出てきて、最後の最後に『TURNING POINT』という言葉に着地したという感じなんです。それは私もここからがターニングポイントだな、という感覚があったからなんです。

――そのきっかけになった楽曲は何だったんですか。

 楽曲という意味ではなかったんです。今作は時代と私が一対一で向き合ってできた作品なんです。この激動の時代を生きていく中で素敵なターニングポイントに出会えた、私もこのアルバムからターニングポイントにしていきたいという思いが生まれました。「戦って行く」という私の中のテーマは変わらないんですけど、その捉え方が変化していった感覚なんです。

――昨年先行配信された「ヤンチャ風」はいつ頃作っていた楽曲なんですか。

 「ブルー・ホライズン」と「あのね」以外は同時期に作っていた楽曲なんです。「ヤンチャ風」は自分では新しい物ができたなと感じていて、こんな曲も私にできるんだ、という驚きがありました。これまでの私の恋愛の在り方が良くなかったところもあったと思うんですけど、今回は恋愛のウキウキしたところもしっかり入っていて、自分の気持ちのフラットなところを歌えたんじゃないかなと思います。それを歌う照れ臭さもあるんですけど(笑)。

 あと、この曲はみんなが口ずさんでくれるような曲になってくれたらいいなと思いながら作りました。私の曲は難しいと言われることもあったので...。初めてこんなにも女の子になった気持ちで書いたので、共感してもらえたら嬉しいです。

――その中で一人称がこの曲では「わたし」なんですけど、「あのね」では「あたし」で、その使い分けはどのようにしているんですか。

 自分としてはメロディの音にはめて響きが良い言葉を選んでいるだけなので、意味としての使い分けはないんです。でも、「あのね」は16歳の時に書いた曲だったので、「ヤンチャ風」で成長して「わたし」になったのかも(笑)。

――この曲は、めんどくさい自分を歌っているとのことですが、ご自身で一番めんどくさいと思っている部分は?

 私はすごいヤキモチ焼きなんです。好きな人がどこで何をしているのか、とか気になってそれを表に出してしまうところは、自分がめんどくさいところの一つでした。どうしても気になってしまうんですよね...。

――好きが故の気持ちですよね。あと、大城さんは歌詞で同じ言葉を繰り返すものもあるんですけど、そういう時は感情的に深いところに行っている時なのかなと思ったり。

 それはあるかも知れないです。「ブルー・ホライズン」の歌詞はyumaさんとの共作なので、第三者が加わるとまた変わるの確かです。今回、初めてのアニメタイアップで、応援ソングというリクエストをいただきました。なので、それを書くには自分がヤンチャしていた時代、学校に行けなかった時代のことを私は思い出すことが多くて、またその時の自分と向き合って書きました。聴いてくださる方の背中を押せるように、アニメの次に繋がるようにと気持ちを込めました。デビューミニアルバムに収録されている「オレンジバタフライ」と歌詞の書き方は近いかも知れないです。

――そのヤンチャ時代とは?

 中学生の時なんですけど、学校に行かなかったり、家出をしたりしていた時があったんです。あの時の自分がいたから今の自分がいて、自分が皆さんとアニメに伝えられることはなんだろう? と考えて<何度も立ち上がればいいから>とか歌っていて。

――肯定ソングでもあって。

 はい。あの時の全てが悪いことだとは思えないくらい意味があったんです。家出した時は友達の家に泊めてもらったり、公園で過ごしたこともありました。食べるものもないから、おじいちゃんが私にお寿司を買ってきてくれたり、すごく楽しかったんです。周りには迷惑をかけてしまったんですけど。そこで色んなことを学んで今に活きているので、貴重な経験でした。

明るい未来のために自分ができることでみんなの背中を押せたら

大城美友

――「wonder」はどのような心境の時に作られた曲なんですか。

 実はこの曲の歌詞は映画『ワンダー 君は太陽』を見て、その映画から影響を受けて書いた曲なんです。今の現状をリンクさせている部分はもちろんあるんですけど、映画の主人公の男の子、オギー・プルマンに対して作った曲と言ってしまっても過言ではないと思います。

――タイトルもそのままなのは、そういった思いがあったんですね。

 『ワンダー 君は太陽』から私自身はすごく勇気をもらえました。こうやって作品から影響を受けて歌詞を書いたのは初めてなんです。作詞は頭から順序立てて作って行ってワンコーラスできた段階で放置していたんですけど、また今この時代と向き合っていく中で映画と今のこの現場が重なって、2番が完成してきました。

――さて、ミディアムバラードの「believe」のサビの<誰だってできるファイヤー>という言葉もすごく印象的でした。

 この時代と向き合って強く書いた歌です。サビは色んな言葉がハマるとは思うんですけど、私の中ではもう<ファイヤー>じゃなければダメでした。最初は曲のタイトルも「ファイヤー」だったんですけど、あえてここは「believe」にしようと思って。

 <君と君のままで息切れしたい>という歌詞があるんですけど、一見ネガティブなことを言っているんですけど、すごく希望が見えるような歌詞になるように、<僕らは行ける空に限界はない>とか<夢を夢のままで飾るもんか>など自分なりに沢山そういった言葉を詰め込んだ曲なんです。

――ミニアルバムの最後を締め括るのは「べっこう飴と君の真ん中で」ですが、弾き語りっぽい雰囲気で。

 弾き語り風のアレンジにしていただきました。私が一人でライブで披露できるような感じにしたかったんです。

――甘いということを表現するにあたってべっこう飴というのは渋いですね。べっこう飴に何か思い出があるんですか。

 飴は大好きなんですけど、特に思い出があるわけではないんです。これは作曲段階でべっこう飴というワードが突発的に出てきてしまったので、はまりが良かったこともあって変えたくなかったんです。この曲は実は4〜5年前にサビだけ存在していて、そこから2020年になって命を吹き込んだんです。私は意外とそういうのが多くて、昔と今の自分とのコラボレーションみたいな(笑)。この曲は気に入っていて今回のミニアルバムにもすごく入れたかったし、是非、べっこう飴のCMに使って頂けたら嬉しいです。

――すごくピンポイントでいいと思います(笑)。最後に大城さんの2021年の意気込みをお願いします。

 ライブもなかなか出来ない、人とも会うことができない中、今できることをやるとなったらSNSとかネットを使ったことしかないと思うので、そこでできることを今年はたくさんやって、一人でも多くの人に大城美友のことを知っていただけたら嬉しいなと思っています。今を信じて、明るい未来のために自分ができることでみんなの背中を押せたらと思っています。私が今できることは声をあげて歌うことなので、頑張って歌っていきたいです。

(おわり)

■作品情報

大城美友「TURNING POINT」の全曲視聴トレーラー
https://youtu.be/15O5e8gZFMw

大城美友
2nd Mini Album「TURNING POINT」
2021年2月10日(水)リリース
CRCP-40619 2,273円+税

【収録曲】

1. ヤンチャ風
2. wonder
3. ブルー・ホライズン
4. あのね
5. believe
6. べっこう飴と君の真ん中で

※M3.ブルー・ホライズン
アニメ「ログ・ホライズン 円卓崩壊」エンディングテーマ

【購入者特典】
・CDショップ購入者特典:ジャケット絵柄缶バッジ
・チェーン別購入者特典:オリジナルポストカードセット
(「ログ・ホライズン 円卓崩壊」アニメ絵柄+大城美友アーティスト写真絵柄)

●大城美友Official YouTubeチャンネル
「シンガーソングライター大城美友のボーカル講座」
毎週火、木、土 20:00 更新中
https://www.youtube.com/channel/UC6aejBAaneUuIahswwf6lfg

<オンライン ミニライブ&トークイベント>
大城美友「TURNING POINT」発売記念オンラインミニライブ&トーク配信
日程:2021年2月10日20:00 配信スタート
配信場所:YouTube「ゲマチャンネル」 
https://www.youtube.com/channel/UC_zBYH60OukiGnKSZJJxENw

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村上順一
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