HOWL BE QUIET「歌を伝えたいと思った」新しい一歩踏み出した新譜に迫る
INTERVIEW

HOWL BE QUIET「歌を伝えたいと思った」新しい一歩踏み出した新譜に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年08月04日

読了時間:約13分

紙一重のなかの一瞬一瞬で出来た8曲

――さて、松本さんの印象的な曲は?

松本 拓郎 僕も「名脇役」です。バンドの中でのベースの在り方というのが良い塩梅で録れたのかなと思っています。昔から僕のことを知っていてくれる人も「拓ちゃんのプレイだね」と言ってもらえるベースになったのと、それをSexy Zoneさんに提供したこの曲で出来たことが嬉しかったです。

――そういえば、レコーディングは自宅でやられているみたいで。

松本 拓郎 黒木さんと僕は機材が揃っているということもあって自宅で録らせていただきました。それもあって細かく練りながら録ることが出来ました。

――黒木さんと相談しながらレコーディングした感じなんですか。

黒木 健志 今回は先ほどもお話ししたTAKU INOUEさん主導で、フレーズなど考えて頂いて録っていきました。そのおかげでプレイヤーとして、弾くことに集中させてもらえて。

――ブログに松本さんのベースの波形の写真が載っていて、すごいタイミングがジャストで驚きました。

松本 拓郎 あれはHOWLの曲ではないんです。僕はスタジオミュージシャンの仕事をもしていて、そこでは正確さが求められるんですけど、その気持ちでHOWLのレコーディングに臨んだら、真面目過ぎてつまらないと言われて(笑)。「もっと(良い意味で)ふざけて良いんだよ」と言ってもらえたんですけど、僕はそれが中々出来なくて...。そのバランスがすごく良かったのが「名脇役」で、良い意味で羽目を外せたんです。

――もう一曲は?

松本 拓郎 「幽霊に会えたら」です。これは一般的には怒られる限界ギリギリまで弾き倒しています(笑)。この曲は一番最初に全員でプレイした曲なんですけど、長く演奏しているとどんどん変わったことを入れたくなってきてしまう癖が僕にはあるんですけど、それが怒られるかなと思ったら、メンバーはそれが面白いと言ってくれて、それならばと、ふんだんにアイデアを入れました。黒木さんから「ライブでやっていた暴れているフレーズも絶対いれてね」とリクエストをもらって。

黒木 健志 そういう要望は細かくありました(笑)。

松本 拓郎 だんだんヒートアップしていった結果がこの曲には詰まっています。前回のツアーを通して、今までの経験値もそうなんですけど、暴れたプレイをしているんだけど、成立させるタイム感とか音作りを研究してきたので、それらを特に上手く出すことが出来たのが「名脇役」と「幽霊に会えたら」なのかなと思っています。

黒木 健志 その2曲はベースだけでも聴ける感じに仕上がってますから。「名脇役」はもともと拓郎がもっていたものを更に進化させた感覚があります。「幽霊に会えたら」は実はもっとBPM(テンポ)が早かったんですけど、もう少しポップスよりにしたいとBPMを下げていったんです。それで、こういった速めのポップスも拓郎はカッコよく弾いてくれるんだと、最初に作った曲ということもあって、印象に残ってます。

――さて、「fantasia」は最後にできた曲でタイトルも相当悩んだみたいですけど、ある程度曲が出揃って、その中でピースが足りないなと思って?

竹縄 航太 そうです。今までに作っていた曲だったり、新しく作った曲も含めてアルバムの顔になる曲が欲しいなと思いました。このタイミングで自分が何を歌いたいか考えた時に、シンプルで真っ直ぐな歌を歌いたいと思ったんです。というのも、これまであまり素直に歌ってこなかったなと自分では思っていて…。

――確かにどちらかというと一癖ある感じが多かったかもしれないです。

HOWL BE QUIET

竹縄 航太 そうなんです。この曲はサビのメロディと歌詞が同時に出来上がったんです。その時に偶発的に浮かんだメロディと歌詞だけど、このくらいシンプルで素直に歌ってみたいなと思えたんです。自分史上、一番素直に書けた歌で、その思いがファンの方やこれから初めて聴いてくれる人たちに届くといいなと思っています。

――なぜ、今までストレートに表現できなかったと思います?

竹縄 航太 自分ではストレートに書いていたつもりなんですけど、後から見直すとちょっとひねくれていたりしていて(笑)。恥ずかしがっている、強がっているなと感じるんです。

――また大切な曲が増えましたよね。さて、最後に今のHOWL BE QUIETを一言で表すとしたらどんな言葉が合うと思いますか。

黒木 健志 アルバムをリリースして今は良いものが出来たなと思っていますけど、もしも明日、竹がいなくなってしまったら解散になってしまうと思うんです。ボーカルがいなくなったら僕らは活動しないと思うので。そんな紙一重のなかの一瞬一瞬で出来た8曲だなと感じていて、次のアルバムやツアーがどうなるかもわからないですし、1日1日をみんなが大切に過ごして、バンドのことや人生、これからのことを考えて出来たアルバムだとめちゃくちゃ思います。FINE LINE=紙一重という言葉が、今の僕らには合うんじゃないかなと思います。

竹縄 航太 「七転び八起き」ですかね。本当に僕らはうさぎと亀で言えば亀の方で。全速力で駆け抜けていくバンドを横目にしながら、のそのそと歩くことしか出来なかったんですね。それ自分たちの実力不足もあったと思うけど、悔しいもんは悔しくて。それでも一歩ずつでも前に進んで来れたのは、応援してくれる人だったり、僕から言わせればメンバーも限りなくそうで。黒やとーるや拓郎がいてくれて救われた部分もたくさんあって、だから起き上がれたんですよね。きっと一人じゃ起き上がれなかった。僕も、バンドも。だから、支えてくれた人にはありあまるほどの愛を伝えたいし、これからも絶対起き上がりたいと思う。99回転んでも、100回起きればいいんだ、みたいに思いながら、これからも前に進んで行きたいと思ってます。

(おわり)

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