HOWL BE QUIET、圧巻の“依存”空間 ツアー最終で魅せた一体感
赤坂BLITZで全国ツアー『Mr. HOLIC 〜僕が虫で、君が男でも恋したいのです〜 TOUR』のファイナル公演をおこなったHOWL BE QUIET(撮影=山川哲矢)
4人組バンドのHOWL BE QUIET(ハウル・ビー・クワイエット)が8月16日に、東京・赤坂BLITZで全国ツアー『Mr. HOLIC 〜僕が虫で、君が男でも恋したいのです〜 TOUR』のファイナル公演をおこなった。3月からの『pre-HOLIC TOUR』を経て、5月24日にリリースされたアルバム『Mr. HOLIC』を引っさげて、7月20日の仙台を皮切りに全国7公演をおこなうというもの。アルバム『Mr. HOLIC』の楽曲を中心にアンコール含め全19曲を熱演。観るものを“依存”させる歌とサウンドで、オーディエンスをHOWL BE QUIETの世界へ誘った。
「ラブフェチ」でツアーファイナル幕開け
定刻を過ぎたところでゆっくりと暗転。SEが流れる中、メンバーがステージに登場し、定位置へスタンバイ。多くのオーディエンスが見つめるなか、竹縄航太(Vo、Pf、Gt)のピアノと歌による導入から「ラブフェチ」でツアーファイナルの幕は開けた。バンドサウンドが席巻するなか、竹縄は力強く足でリズム刻みながら熱い歌声を響かせる。続いての「ギブアンドテイク」では、岩野亨(Dr)の絶妙なパワーバランスでフロアの熱量をコントロール。オーディエンスの振る腕が、<Hurray Hurray♪>の歌詞に合わせ、ステージ上のメンバーにエールを贈る。ツアーを経て熟した演奏によって、序盤からヒートアップ。
「ウォーリー」ではイントロで、岩野亨(Dr)がエレクトリックドラムサウンドを響かせ、橋本佳紀(Ba)がベースからアコギにチェンジ。続いての「クローバー」では竹縄がアコギを奏でるなど、さまざな楽器のコンビネーションで展開。アルバム『Mr. HOLIC』から黒木健志(Gt)によるイントロのディレイギターが印象的に響き渡った「PERFECT LOSER」、シンセのリードサウンドが高揚感を煽る「Higher Climber」と、アップチューンでアゲアゲのテンションで赤坂BLITZを旋風していく。
ここでシーンは一転、竹縄がアコースティックギターを手に取り、シリアスなマイナーコードから「矛盾のおれ様」を披露。真っ赤なライティングでステージが染まる中、グルーヴィーでドラマチックな展開で会場を包み込んでいく。音源とはまた違ったサウンドスケープを映し出し、このライブの一つの見せ場となった。さらに、聴かせるセクションは続き、幻想的なイントロが印象的なインディーズ時代のアルバム『DECEMBER』から「GOOD BYE」を披露。竹縄の先ほどまでとはまた違った歌の表現力を見せ、橋本のメロディアスなベースラインで楽曲を彩っていく。
バンドとしてもターニングポイントの1曲「サネカズラ」。しっとりと切ない叙情的な空気感が赤坂BLITZを覆う。そこへ、さらに竹縄のノンフィクションなリアリティが存分に詰まった「208」を披露。天井から吊り下げられた1つのランプがゆらゆらと、楽曲の世界観に寄り添うように演出。オーディエンスも静かに佇み、ステージを見つめ耳を傾けどっぷりとHOWL BE QUIETの世界に浸っていく。
今日が来て欲しくなかった
竹縄がツアー中、欠かさず話してきたという『ドラゴンボール』の“精神と時の部屋”の話題で盛り上がり!?、ここからライブはラストスパートに突入。打って変わって軽快なリズムが心躍らせる「にたものどうし」を演奏。バンドの持つHOWLの部分をさらけ出していく。「歌う準備はいいですか?」と投げかけ、「ライブオアライブ」へ。躍動感に満ちた楽曲は、フロアから放たれる一体感のあるクラップとシンガロングによって、会場全体のテンション感がどんどん上がっていくのが感じ取れた。
竹縄もその盛り上がりに満足そうな笑顔を見せ、畳み掛けるように「MONSTER WORLD」に突入。竹縄も途中鍵盤から離れ、ハンドマイクでオーディエンスを煽りながら歌唱。本編ラストは「幸せになれよ!」と竹縄が投げかけ、ハッピーな風を振りまいた「ファーストレディー」。カラフルなサウンドでキラキラとした空間の中、本編は終了。
アンコールでは黒木、橋本、岩野の3人で竹縄が来る間、トークを展開。岩野はオーディエンスから“大将”と呼ばれご満悦の様子。3人はツアーへの想いを語り、竹縄が合流。「昨日は今日が来て欲しくなかった。(ライブが)終わりたくない。3月の『pre-HOLIC TOUR』から長い物語を走って来ました。終わりを迎えられるのはいいことなんだけど、寂しいところもあります」とツアーファイナルの感傷に浸る。
さらに続けて、「このライブ自体が幻みたいなもの、なんの形にもならないけど、でも俺はすごい幸せだし楽しい、また必ず会いたい。最後にドカンとデカい花火を打ち上げて終わりたいです」と竹縄の言葉から、ケルティックな旋律が印象的な「レジスタンス」を届けた。
アッパーチューンで高揚感が上昇していくなか、「いろんな嫌なこともあるけど、明日1日だけでも頑張って見ようかなと、思える日に俺はなりました。ありがとう!」と「Dousite」を全身全霊でパフォーマンスし、HOWL BE QUIETのサウンドに“依存”させた、ツアーの幕は閉じた。
【取材=村上順一】
セットリスト
01.ラブフェチ 02.ギブアンドテイク 03.Daily Darling 04.Wake We Up 05.ウォーリー 06.クローバー 07.PERFECT LOSER 08.Higher Climber 09.矛盾のおれ様 10.GOOD BYE 11.My name is... 12.サネカズラ 13.208 14.にたものどうし 15.ライブオアライブ 16.MONSTER WORLD 17.ファーストレディー ENCORE EN1.レジスタンス |