『東京喰種』が問いかけているもの
――ところで、『東京喰種』ファンの小笠原さんだからこそ聞きたいのですが、この作品が伝えたいメッセージとは。
作品自体が難しい内容じゃないですか。種族の違う喰種を主軸に描かれていて、そもそも喰種が人間を喰べるという世界のなかに放り込まれた元人間が、その世界に振り回されていく話で、映画では、作品を通して人間らしさを伝えようとしていると思います。窪田君演じるカネキは、人間の世界から喰種の世界に放り込まれたことで人間らしさを改めて感じるというか。トーカを演じる(山本)舞香ちゃんのセリフにもありましたけど、「たまたま人間に生まれただけできれいに生きることを許されている」ということもある。実際の世界でも僕ら人間は牛とか豚とかの命を頂いているわけだし。たまたま人間に知性があったということだろうし、食べられる側からしたらグールと同じように化け物かもしれない。命とは何か、ということを改めて問うていると思います。
――海さんがこの作品を惚れ込んだのは、もちろん描写もあると思うけど、そうした深いところにも魅力を感じて?
そうですね。原作は最初、メンバーのユーキに教えてもらったんですよ。ユーキはアニメを見ていて「アクションがすごいし、キャラクターがかっこいいから」と言われて見たらハマって。それで何作か読んでいくなかで「ただかっこいい」というだけじゃない魅力を感じて。もちろんかっこいいんですけど、それだけじゃないかっこよさだったり、えぐみがあったり、それが心地良くて。
――そのなかでヒデを演じることになるのですが、共通する点はありますか?
勘が鋭いというか、気づく部分が近いのかなと思います。ちょっとした変化とか、わりと気づく方ではあるので。些細な変化は気づくという点はヒデにもあって、そういうところは似ているかもしれないですね。
――そのヒデは、カネキが喰種になったことは気づいているんですかね?
気づいているんじゃないかと思いますけどね。親友として小学生からずっと一緒なので、やっぱりその親友になにかあったら気づくだろうし、具体的に何かあったと分からなくても気づくと思うんです。
――前回では喰種になったカネキの性格が変わるタイミングがあったんですよ。とすると、それにもヒデは気づいているはずですよね。
そういうのは気づいているはずなんですよ。ヒデ自体が勘のいい人なので。でも、カネキが喰種になったところで、カネキはカネキだし、そういうのは関係なく今までと変わりない親友。だから一緒にいるんだろうし、あえてそういうところは意識しないで演じました。
――人間の本質を試されているような感じでもありますね。喰種だろうが、人だろうが、その人をちゃんと見ているような。
本質は変わらないと思います。カネキは喰種になってしまったけど、人間の気持ちは残っているし、ヒデが大事だという気持ちは変わらないと思う。ヒデがいるから人間としての心の支えというか、一つ柱になっている部分があると思いますし。それはヒデにとっても同じだと思います。やっぱり親友なので。
――この作品はいろんな問いかけがありますね。食べることもそうですし、今の真の友人とは何かということも。
原作の話になりますが、実はヒデの父親は喰種に殺されていて、その時期にカネキと会っているんです。その時のカネキも独りぼっちで、学校で孤立していて。そんなときにヒデと会っているから、お互いに心の支えになっているんです。ほかの関係性では築けないような信頼のなかで、支えあっているような関係だと思います。
――カネキとヒデとは別に、そうした関係性は本作にも出てきますよね。友情ではなく、愛情として描かれていますが。
出てきますね。やっぱり喰種の種族がメインですけど、同じ世界に人間もいるわけで、喰種と人間の関係性はね。喰種から見たら人間は悪だし、人間から見たら喰種は悪だし。ただ、喰種は人間を喰べることでしか生きていけないので…。
――なんだか切ないですね。海さんは前作ではかなりのアクションがありましたね。
あれはワイヤーにつられて、ニシキ役の(白石)隼也くんにやられて机にバーンというのはありましたね(笑)。
――すごいなと思って。
あれ、自分でもすごいなと思いました(笑)。あとから映像で見て自分でも驚いて!(笑)
――原作としては『東京喰種トーキョーグール:re』などもあって、実写でもシリーズ化が期待されますね。
ただ、そればっかりは分からないところでもあって、みなさんの反響がどうなのかということだと思いますし。でもここまで来たらやってみたいです。ヒデの見せ場もまだあると思いますから。そういう気持ちは常に持っています!
――この作品を通じて視聴者にどう受け止めてもらいたいですか?
一番は原作を知らない方にも観てもらい、興味をもってもらうことが、原作があるものを実写化した意味があると思うので、ぜひ原作もすごく面白いので、原作を手に取ってもらえたら嬉しいですね。実写化して終わりじゃなくて、原作に興味をもってもらって、そこから実写に戻って頂いても良いですし、アニメを見て頂いても。この作品はメディアミックスになっているので、いろんなものを見てもらうのが一番ですね。そのきっかけがこの作品になれたらいいなと思います。
――その話を聞いたら石田スイ先生も喜ぶでしょうね。
先生ももちろんこの作品を注目されているようですし、すごく協力してくださっています。前作でも現場に来ていただきましたし。
――現場では何を話されたのですか?
僕は単純に原作のファンなのでそういう話をしたり、舞台挨拶のときも作品の話をしました。
――今回はヒデ役でしたが、演じてみたいキャラクターは?
まだ実写化していないキャラを演じてみたいですね。『東京喰種トーキョーグール:re』の瓜江久生(うりえ・くき)をやってみたいです。瓜江は人間側だけど喰種の力も持っていてめちゃくちゃ強いけど、葛藤も強くて心のなかでしゃべることが多いんですよ。言っていることと腹のなかで思っていることが全然違ったり、どれだけやっても貧乏くじを引いてしまうとか。本当はめちゃくちゃ強いのにそれよりも強い敵に当たってしまって何回やっても負けてしまうとか。そういう部分が人間的な魅力を感じます。
――憎めないやつなんですね。
愛されるキャラですので、面白いですね。








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