メイド5人によるロックバンド・BAND-MAIDが5月10日、東京・TSUTAYA O-EASTで単独お給仕(ライブ)『BAND-MAID presents 冥途乃日』をおこなった。毎年恒例となったメイドの日のステージ。今回は新曲「endless Story」と「Azure」の2曲を初披露し、全23曲を圧倒的なパフォーマンスで魅了した。いつも以上にご主人様・お嬢様のシンガロングも響き渡っていた、お給仕の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

新曲「endless Story」で見えたアリーナの光景

BAND-MAID(撮影=MASANORI FUJIKAWA )

 令和初のお給仕ということもあり、会場のO-EASTは多くのご主人様・お嬢様で埋め尽くされていた。BGMにはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Killing In the Name」が流れ、これから始まるお給仕への期待感は高まるばかりだ。

 開演時刻になりおなじみのSEが流れ、新しい衣装に身を包んだメンバーが登場し、2016年リリースのアルバム『Brand New MAID』から「FREEDOM」でお給仕の幕は開けた。彩姫(Vo)が「お前ら声出せんのか!」と煽れば、オーディエンスもそれに応えるかのように<オイ!オイ!!>と声を上げ、拳を掲げる。あっという間に会場全体がトップギアに入ってしまった。

 今年1月にリリースされた「glory」はアドレナリン放出のハードナンバーで、これからお給仕定番になっていくことを想像させるには十分すぎるほどの盛り上がりを見せた。さらにその盛り上がりを「DOMINATION」、「I can't live without you」とハイテンションナンバーで畳み掛け、ここまでわずか5曲でピークに持っていってしまった感すらあった。序盤からこの勢いだと後半どうなっていくのか想像できないロケットスタートだ。

 ここでインストナンバー「without holding back」を投下。楽器隊の華のあるプレーにヒートアップしていくフロア。続いて、メンバーを囲むように天井から放射状に降り注ぐグリーンのレーザーライトが印象的だったパワーロックチューン「hide-and-seek」、『Brand New MAID』のラストを飾るナンバー「alone」では、KANAMI(Gt)によるギターソロパートで、ドラムセットの前でプレーするMISA(Ba)を後ろから抱きしめる彩姫。そんなお給仕を純粋に楽しんでいる姿が随所に見られた。

BAND-MAID(撮影=MASANORI FUJIKAWA )

 お給仕も中盤戦に差し掛かり、ステージから放たれるエナジーとオーディエンスの熱気で温度と湿度が上昇していくのがわかる。そんななか放たれたのはハードロックの醍醐味である良質のリフと哀愁のあるエモーショナルなメロディ満載の「secret My lips」。新しく作ったというBAND-MAIDのロゴが入ったお立ち台に腰を掛け、セクシーさを打ち出した姿勢で歌い上げる彩姫に視線が集中する。

 既にリミットを超え熱狂渦巻いたフロアをクールダウンさせてくれるかのような穏やかなSEは、徐々に熱を帯びシンフォニックなサウンドへと変化。コーラスパートが流れると彩姫が「みんな歌って」と投げかけ、オーディエンスもコーラスラインをトレースし盛大なシンガロングをステージに届け、新曲の「endless Story」を披露。ハードさもありながらも壮大さも持ち合わせたロックナンバーは、大きな会場で一つになれるような、アリーナを意識した1曲に仕上がっていた。この曲に関してKANAMIは「この曲をみんなで温めて育てて!」と新曲への思いを語った。

こんなんじゃ終われない!

BAND-MAID(撮影=MASANORI FUJIKAWA )

 「Bubble」では抑えたA,Bセクションから、一気に開放されたかのようなサビに、オーディエンスの声のボリュームも更新していく。感情の推進力はピカイチだった。彩姫が一旦ステージを後にし、会場にクラップ音が鳴り響くと「みんなで声を合わせて楽しんでいきましょうっぽ!」と小鳩ミク(Vo.Gt)がメインボーカルを務める「Rock in me」へ。ハンドマイクでステージを自由に動きながら、<Hey! Hey!>と掛け声とともにフロアを煽っていく。

 ここで、O-EASTの思い出を話す小鳩。まだ近隣のお給仕ハウスでお給仕おこなっていた時代に、このO-EASTに並ぶ行列を見て「こんなところで出来たら良いね」と話していたという。「今ではO-EASTで、多くの主人様・お嬢様と令和1発目のお給仕が出来て嬉しく思いますっぽ」と喜びの声を上げた。そして、恒例の「おまじないタイム」では、令和1発目ということもあってか、いつも以上に高ぶる感情をぶつけていた印象。BAND-MAIDが掲げる目標である「世界征服」をオーディエンスと何度も復唱。

 小鳩は「令和を素敵に彩りましょう!」と、もう1曲新曲「Azure」を投下。KANAMIによるエフェクティブなギターのイントロがインパクトを与え、パワフルなリズム隊が放つ音圧という風に乗って、彩姫のダイナミックな歌声のパワーもさらにブースト。これからのBAND-MAIDへの期待がより高まる1曲だった。

 彩姫が「渋谷、そんなんでいいのか?」と投げかけ、テクニカルなナンバー「Play」へ突入。絡み合う音が心地よい空気の振動を生み出していく。続いて、小鳩がエレキからアコースティックギターにチェンジし始まったのは「smile」。乾いたアコギのストロークも軽快に、また一味違ったサウンドスケープ。幅広い曲調で良質なメロディを紡いでいくBAND-MAID。

BAND-MAID(撮影=MASANORI FUJIKAWA )

 MISAによるゴリゴリのベースとAKANEの重戦車を彷彿させるようなドラミングが「DICE」、そして、2015年リリースのアルバム『New Beginning』からBAND-MAIDの特色でもあるツインボーカルをフィーチャーした「FREEZER」を披露。厚みのある豊かなハーモニー、そして、KANAMIとMISAの弦楽器隊による掛け合いのソロや、AKANEのバリエーション豊かな粋なドラムソロと見どころ満載。

 いよいよお給仕も佳境へ。彩姫が「ラスト、行くぞ!」と勢いよく声を上げ、疾走感のある高速2ビートナンバー「モラトリアム」でボルテージは最高潮。シンガロングも巻き起こると、彩姫は「こんなんじゃ終われない!」と「もっともっと!」と、オーディエンスを煽り続ける。今日イチのシンガロングが会場に響き渡るなか『BAND-MAID presents 冥途乃日』は大団円を迎えた。

 6月から始まるワールドツアー『BAND-MAID 2019【激動】 ~gekidou~"WORLD TOUR”』や国内ツアー『BAND-MAID WORLD DOMINATION TOUR 2019 【激動】』など、お給仕が目白押しの2019年夏。新曲で見せた新たな景色はどのように広がっていくのか、未来が楽しみになったステージだった。

セットリスト

『BAND-MAID presents 冥途乃日』
5月10日@東京・TSUTAYA O-EAST

01.FREEDOM
02.Screaming
03.glory
04.DOMINATION
05.I can't live without you
06.without holding back ※inst
07.hide-and-seek
08.Puzzle
09.alone
10.CROSS
11.One and only
12.secret My lips
13.endless Story ※新曲
14.Choose me
15.Bubble
16.Rock in me
17.Azure ※新曲
18.Spirit!!
19.Play
20.smile
21.DICE
22.FREEZER
23.モラトリアム

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