TRUE「もっと先に進んでいく」デビュー５周年迎え更なる活躍誓う決意の裏側

先に進む準備の１年

――カップリング曲の「ふたつの惑星」は、ビッグバンドのスウィングしたサウンドが心地いいです。ホーンの音が入っているのは、『響け！』との繋がりを意識して？

　もちろん意識しました。今回のシングルは、『響け！』を愛してくださっている方に１枚を通して楽しんで欲しいという気持ちを込めて、カップリング曲も『響け！』の世界感を意識したサウンドにしています。

――作曲と編曲の松本良喜さんは、中島美嘉さんの「雪の華」などで有名です。松本さんの楽曲を歌うのは、初めてとのことですが。

　はい。なのですが、実は10代の頃からの友人で、ここ何年も疎遠になっていたんです。楽曲のイメージをスタッフに伝えて、作曲家さんを誰にするかはお任せしていたのですが、デモを頂いてどなたが作られたのかを伺ったら良喜さんだと知って、本当に驚きました。でも今回の曲で久しぶりにお会い出来て嬉しかったし、言葉の立つメロディはさすがだなと改めて思いました。

――松本さんは、何と言っていましたか？

　良喜さんもすごく喜んでくださって。時をだいぶ経てこうしてお仕事をさせていただいて、私も嬉しかったです。何としてもよりいい歌詞を書いて、「いい曲にしなければ！」と思いましたね。ただ、スタジオに私が10代の頃の写真をいっぱい持ってきてくださって、当時の黒歴史が掘り起こされたのは恥ずかしかったです（笑）。

――歌詞は、個人を尊重しながら２人でいる時間も楽しもうという、大人の恋愛観が表れていますね。

　最初は、自立した女性の夢に寄り添うような曲にしようと思って書き始めたのですが、夢に向かうまっすぐな気持ちは「Blast!」にすべて込めたし、大人の女性である自分の素直な気持ちもそこに込めてしまったので、それを俯瞰から書くのも違うなと思って。途中で急ハンドルを切り、まったく違うラブソングを書くことにしました。

　今までの『響け！』は、青春や友情といった熱いものがテーマになっていたのですが、今回の劇場版はそれを基本にしながら、恋愛要素も含まれた内容になっていて。主人公の久美子が下した決断に、すごく共感したんですね。カップリング曲は、それも加味した上でのラブソングを作れたら面白いんじゃないかと思いました。それで久美子とは違いますが、歌詞では遠距離恋愛をテーマにして、付き合っているけどお互いが自立した男の子と女の子の恋愛を描きました。

――遠距離恋愛を惑星レベルで表現するのが、ロマンチックだなと思いました。

　でも、感じ方ですごく近くにいるのに遠くに感じてしまう時もあると思うんです。東京と大阪は、新幹線では２時間半だけど、本人たちには外国のように遠く感じるかもしれない。だから距離感は、そこまで明確でなくてもいいと思いました。

　それに仕上がった楽曲を聴いたら、ファンと私の曲だなとも思いました。お互い会いたいと思っているけど、年に数回のライブでしか会えない。でも会える時のために、普段の仕事が頑張れる。それは遠距離恋愛と似ているなと思って、私とファンのこととも重ねています。かわいらしい曲にしたかったので、歌詞の言葉にはあえて平仮名を多く使いました。

――ジャズ調の曲は、これまでもありましたね。

　はい。レコーディングも肩の力を抜いて歌えました。『響け！』の世界も、みんな決してずっと吹奏楽と向き合って熱くなっているばかりではなくて、日常のリラックスした時間も描かれています。オンとオフじゃないけど、そういう両面も１枚を通して描けたらいいなと思って。「Blast!」は力強く歌いましたけど、「ふたつの惑星」は、お散歩するような感覚で、肩の力を抜いて歌いました。

――さて、TRUEさん名義でデビューして５周年とのことですが、５周年を迎えてどんなお気持ちですか？

TRUE

　最初はあまり実感がなく、「ああ、５年も経ったのか～」と。あっと言う間だったし、長かった気もするし。ファンの方から「５周年おめでとう」と声をかけていただいたり、こういう取材で聞かれたりしながら、少しずつ実感が沸いてきているところです。

　ただ、５周年を盛大にお祝いしましょうみたいな気持ちとは少し違っていて、６周年、７周年、さらに先の10年と、もっと先に進んでいく準備をするための１年にしたいと思っています。

――２月には『-TRUE 5th Anniversary Live- Sound! vol.1 ～SINGLE COLLECTION～』もありました。これが、次に向けた第一弾だったわけですね。

　この時は、５年間応援してくださった方への感謝を込めて、今までで一番濃厚なライブを楽しんでいただこうと思い、ライブハウスの会場でシングル曲をすべて歌いました。ただライブハウスは、お客さんのエネルギーや熱量に助けていただく部分もすごくあって。それは悪いことではないし、これからも続けていきたいのですが…。お客さん一人ひとりのパーソナルスペースをきちっと確保していただいた上で、それぞれの楽しみ方もして欲しいと思って、８月に初めてのホールライブを開催します。また、その先のこともすでに考えているので、それらを経て、改めて６年目以降の方向性を考えていこうと思っています。

――８月12日に東京・なかのZEROホールで開催する『-TRUE 5th Anniversary Live- Sound! vol.2 ～FAN SELECTION～』がそうですね。

　ホールライブは、昨年１月にシングル「Sincerely」をリリースした時期から考えていました。「Sincerely」のようなバラード曲をきちんと聴いていただける環境を整えていくことで、私の音楽はより映えるのではないかと。そのほうが曲に込めた思いも受け取ってもらえるんじゃないかと思いました。

――『FAN SELECTION』ということで、楽曲はファンの投票で決められていくんですね。

　ネットで投票を開催中で、バランスのいい結果になりそうです。歌うことの少ないシングルのカップリング曲や、アニメ『コメット・ルシファー』の挿入歌など、リリースしていないアニソンも入ってきていますね。WEBアニメ『A.I.C.O. Incarnation』（NETFLIX）のOPテーマ「A.I.C.O.」とか、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の挿入歌もあります。そういういろんな曲がバランスよく入った、今までで一番バランスのいいセットリストになりそうです。そういう意味では、初めての方も安心して楽しんでいただけるものになると思うので、楽しみにしていてください。

（おわり）