オメでたい頭でなによりが4日、東京・マイナビBLITZ赤坂で初の全国ワンマンツアー『"1"マンツアー ~今 いくね くるね~』東京公演を開催。同ツアーは、1月9日に発売した1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』を引っ提げ、2月9日の千葉LOOK公演を皮切りに21日の松阪M'AXA公演まで全国12カ所12公演をおこなう。彼らにとってこの日はデビュー1周年となる記念日。ボーカルの赤飯が「ここにいる俺ら全員が主役だ」と叫んだように会場にいた全員が主役のように自身の思うままに騒ぎ、会場を熱狂が支配したこの日の模様をレポートする。【取材=長澤智典】

激烈さとエモい魅力をミックス

ライブのもよう(撮影=ゆうと。)

 ライブが始まる前には、オメでたい頭でなによりのライブではお馴染み、赤飯によるライブ会場限定ラジオ番組「オールナイト会場」を生放送。今回は番組のコーナーを受け「オメマッチョ29」という筋肉大好きユニットが舞台に登場。3人メンバー中、細マッチョな2人がメンバーの赤飯(Vo)とぽにきんぐだむ(Gt&Vo)だったことも報告しておこう。この番組、各会場毎に内容も変わるので、オメでたい頭でなによりのワンマン公演に足を運ばれる方は、ライブ前にこの「オールナイト会場」も楽しんでいただきたい。

 デビューシングル「鯛獲る」の発売から、ちょうど1年。いつしか彼らは、マイナビBLITZ赤坂をパンパンにするほど仲間たちを増やすまでに成長。その理由も、分からなくはない。一度でいい、彼らのライブに触れていただきたい。そうすれば、あなたも実感するはずだ。現実をすっかり忘れさり、舞台上の彼らと一緒にダブルピースサインを掲げながら笑顔ではしゃぐ楽しさを。

 身体を激震させる攻撃的な音が炸裂。ライブは、気持ちを前へ前へと突き出す「日出ズル場所」から幕を開けた。魂が熱く疼く演奏に刺激を受けた観客たちが、冒頭から「押せや、押せや」と騒ぎ出した。まるでガチンコ相撲を味わうような激しさに触発され、騒がずにいれない。いつしかフロア中の人たちが大きく手を掲げ、ワッショイワッショイと喧騒を生んだ。

オメでたい頭でなにより(撮影=ゆうと。)

 その勢いへ拍車をかけるようにぶつけたのが、メジャーデビューシングルの「鯛獲る」だ。ブチ上がった熱い演奏に触発され,、会場中に響き渡った<おめでたい!!>の大合唱。突き上がる無数の拳、一体化したこの空気がとても心地好い。メンバーと満員の観客たちが気持ちを一つに、デビュー1周年のめでたい日を、思いきりオメでたい頭でなによりのライブに相応しい、笑顔と熱狂が支配する光景へと染め上げていった。

 フロアの中にいくつものブロックを作り、それぞれのブロックごとに観客たちを“ネタ”と“シャリ”に二分し赤飯の合図で一気に身体をぶつけあい“寿司”を作りあげる、ウォール・オブ・デスならぬ“ウォール・オブ・お寿司”という光景を作りあげた「wosushi~ウォールオブ寿司~」では、オメでたい頭でなによりの仕掛けにより会場中がぐちゃぐちゃに入り乱れる。むしろ、ぐっちゃぐちゃに乱れ騒ぐ光景こそが彼らの、そしてファンたちの求めていた姿。演奏に合わせ無邪気に、でも体感的な興奮や高揚を覚えながら騒げる様も、オメでたい頭でなによりのライブの醍醐味だ。

 「えんがちょ」では、両隣の人たちと肩を組み合い身体を折り畳めば、間奏では、フロア中をぐちゃぐちゃに掻き回し騒ぐ姿も誕生。続く「言葉のあやや」でも、赤飯と一緒に「言葉の」「あやや」と叫び合えば、歓声を上げながら飛び跳ねる宴の様子も描き出していった。

 激烈でラウドな表情から始まり、次第にスケールを膨らませた「HELL"O"」を通し、気持ちが高揚するままに歌い叫ぶ赤飯の姿に心が惹かれれば、サイレンの音と一緒に悶々とする感情へ導いた「サイレンとジェラシー」では、激しくもエモい表情を投影。「悶々するわー!!」と叫びながら歌う赤飯の歌声は、悶々というよりもエモーショナルな表情を描き出していた。激烈さとエモい魅力をミックスした様子も刺激的だ。

ここにいる俺ら全員が主役だ

オメでたい頭でなにより(撮影=ゆうと。)

 「オメでたい頭でなによりのライブがきっかけで出会い、結婚をしたカップルがいます。その話を聞いて、結婚をテーマに作った曲です」の言葉に続いて披露したのが「ピ」。「結婚行進曲」のフレーズも巧みにモチーフとして用いながら、口ずさみやすく軽やかなパーティポップチューンとして仕上げる手腕は流石だ。触れているだけで気持ちがウキウキ弾みだす、まさに歓喜の想いを導き出す楽曲だ。終盤で合唱が生まれていたのも、はきちれんばかりの楽しさを身に感じていたからだ。

 続く「終わらない恋からの脱出」は、横ノリのパーティソウルチューン。いつもは鉄槌を全力で振り下ろすような激烈な縦ノリラウド曲を軸にしているオメでたい頭でなによりだが、この手の、お洒落で甘いムードを醸しだすソウルフルな楽曲も似合う表情。この曲では、なぜかぽにきんぐだむが欠席。変わりに、西海岸からやってきたピアニカを吹くアフロヘアのミュージシャンPKDと女性シンガーのPKDが、間奏でゲストとして飛び入り。詳しくは語らずとも正体はお分かりだろう…。こういう遊び心も随所に組み込んでいくところも、“笑(わ)ラウドバンド”なオメでたい頭でなによりらしさ。

PKD(撮影=ゆうと。)

 89秒に楽曲をまとめ上げた「鯛アップ」では、地域ごと、その地にちなんだ変え歌を披露。もちろん東京公演でも、先に正規バージョンを披露したあとに、マイナビBLITZ赤坂公演を抑えてくれたイベンターの樋(ドイ)さんへの感謝の気持ちを伝え、「やれてよかった 樋樋樋」と満員の観客たちとともに歌い叫ぶ「鯛アップ」赤坂バージョンも披露。その土地の名産や観光地ではなく、身内にしか分からないけど、とても感謝しているスタッフの名前をモチーフにしてしまう遊び心も、オメでたい頭でなによりらしいところ。この日は悪ノリをして、樋さんの顔写真入りのステッカーも作り、フロア前方の人たちにバラまいていた程だ。

 キラキラとした輝きを放つラウド&ダンスナンバーの「推しごとメモリアル」では、ラウドロックとアイドルポップソングを1曲の中にミックス。激しく身体を折り畳む激烈な様を描けば、転調した途端、ダンスポップなアイドルソングに変貌。その時はメンバー全員が楽器を置いてお立ち台の上に乗り、アイドルダンスを披露。それを1曲の中で何度も繰り返していたように、メンバーはかなり目まぐるしかったに違いない。観てる側は純粋に2つのノリを楽しめば、アイドルパートでは、アイドルライブではお馴染みの「俺もー!!」コールまで入れていたくらい観客たちも大はしゃぎ。この奇天烈さもまた、笑ラウドなスタイルが魅力のオメでたい頭でなによりだからこそ出来ること。

 「オイオイ」絶叫飛び交う激烈ラウドナンバー「ダルマさんは転ばない」では、お馴染み、赤飯の呼びかけによる「ダルマさんが転んだ」のオメでたい頭でなによりバージョンを通し、観客たちと遊び倒していく。壮観だったのが、赤飯の「ダルマさんは転ばない」の声に合わせ、演奏はもちろん、観客たちもピタッと動きを止めていたこと。その様に喜びを覚えた赤飯は、何度もフェイント交じりの「ダルマさんは転ばない」を仕掛けていけば、満員の観客たちもしっかりと順応。終盤では、ぽにきんぐだむがラップを披露。その声に同じく赤飯もラップを重ね、ツインラップしていく様も見せれば、会場中の人たちを、拳を高く突き上げる激しいうねりの中へ巻き込む様も描き上げていった。

 激しい演奏でフロアに熱気を沸かし続けたのが、「スーパー銭湯~オメの湯~」。フロアを熱く沸かせる様を銭湯に掛け合わせる遊び心こそ、オメでたい頭でなによりらしい手腕。途中、赤飯が巨大なアヒルのゴムボートへ乗り込み、熱したフロアの中へ漕ぎだす場面も。その姿に触発され、大波の如く、次々とダイブしてゆく観客たちが登場。激しい人の波に呑み込まれ、赤飯の乗ったボートが転覆していたこともお伝えしておこう。

ライブのもよう(撮影=ゆうと。)

 クイーンのフレディ・マーキュリーの様に、満員の観客たちと声のやり取りを交わした上で、オメでたい頭でなによりは「We will luck you」を披露。お馴染み、“ドンドンパン”のリズムに合わせた手拍子や、フロア中を沸き立たせる大きなコールも生まれていた。まさに、会場中を一つにして騒ぎ合唱していく最強の躍動ロックチューンだ。その熱狂ぶりを観て、赤飯が「映画の中で観た光景みたいだな」と感想を述べていたのも嬉しいじゃない。

 「ワクワクしてるかぁー。俺たちはいつだってこの場所からワクワクを届けていくからさ、一緒に革命を起こそうぜー!!」赤飯の声を合図に飛びだした激烈高揚ナンバーの「ザ・レジスタンス」。この歌に触れているだけで、気持ちに熱が注ぎ込まれ、とても感情が高ぶりだす。魂震える興奮に触発され、拳を突き上げ騒がずにいれない。演奏が進むにつれ,、どんどん興奮を増していく観客たちの感情。赤飯に至っては、騒ぐ気持ちを抑えきれずフロアへダイブしていたほどだ。

 最後は、会場中の人たちと一緒に、ダブルピースをした両手を掲げ<オメでたい頭でなによりです>と歌い続けた「オメでたい頭でなにより」だ。「ここにいる俺ら全員が主役だ」と叫ぶ赤飯。その言葉のように、オメでたい頭でなによりのライブに足を運び、彼らの演奏に合わせ自分の心を素直に解き放った瞬間、一人ひとりがこの日の宴の主役になる。笑顔と興奮だけをただただむさぼり喰らう。その楽しさを、あるべき自分の姿に戻す音楽の媚薬を、オメでたい頭でなによりはライブを通して満員の観客たちに煎じてくれた。

ライブのもよう(撮影=ゆうと。)

 アンコールでは、デビュー1周年というオメでたい頭でなによりの誕生日を、「VIVA!ハピバ」を通し会場中のみんなと祝っていた。頭上からは、たくさんのカラフルなバルーンがオメでたい頭でなによりのバースデーを祝福するように降り注ぐ。そんな楽しさも、いつしか宴もたけなわな時間へ。続いてオメでたい頭でなによりが奏でたのが「宴もたけなわ」。ここでは軽快なパーティ系のロックンロールナンバーを演奏。メンバーも、観客たちもツイストをしながら、終わりの近づいた宴を徹底して味わい尽くそうと全力ではしゃいでいた。

 そして、オメでたい頭でなによりは「チャバシラタッター」をプレゼント。ワチャワチャとした激烈パーティロックチューンに合わせ、会場中の人たちが両手を頭上で合わせ、茶柱姿で飛び跳ね続けていく。会場中の人たちを座らせ、赤飯の「茶柱立ったー」の歌声に合わせ大茶柱ジャンプをしていく様も圧巻だった。

 全国ツアーは21日まで続いていく。これからライブに足を運ぶ人たちは、ぜひ全力で宴を味わい尽くしてくれ。オメでたい頭でなによりは、夏に新曲をリリースする。さらに、秋には『真剣2マン遊VIVA!』と題しツーマンライブシリーズもおこなう。

 テクニカル集団であり、ラウド&エモーショナルなロックスタイルを軸に据えながら、次々とポップな音楽要素やコミカルなネタを仕込み、笑顔で楽しむ世界観を作り続けていくオメでたい頭でなにより。軸を持ちながらも、枠を自由に広げていくその姿勢に今、大勢の人たちが食いついている。

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