GLAYのギタリストでリーダーのTAKUROが3月26日、Zepp Tokyoで全国ソロツアー『GLAY TAKURO Solo Project 3rd Tour“Journey without a map 2019”』の東京公演を開催。同ツアーは2ndソロアルバム『Journey without a map II』(2月27日発売)を携え、3月14日のZepp Fukuoka公演を皮切りに4月6日のビルボードライブ大阪公演まで全国10カ所13公演をおこなう。逞しくも艶やかなギタートーンがホールを包み、インプロビゼーション・プレイが飛び交う活きた空間を生々しく展開させ、会場をブルージーに染め上げた。圧倒的表現力で“地図なき旅”をジャジーに魅せたステージの模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

ジャジーでブルース・フィーリング、時にロック

TAKURO(撮影=岡田裕介)

 「GLAYのTAKURO」とは別次元のTAKUROの音楽がそこにはあった。“音楽家・TAKURO”としての洗練されたプレイ・サウンド・パフォーマンス——。ブルース・ジャズを基調とした芳醇な音の連なりは、予定調和とインプロビゼーション(=即興性)の時間軸を縦横無尽に駆け巡り、会場をロマンティックに網羅した。

 「帰ってきたぞ! Zepp Tokyo!」と気合い十分のシャウトをするTAKURO。スタイリッシュな黒のスーツスタイルでにこやかに登場し、2ndソロアルバム『Journey without a map II』1曲目の「SOUL FRIENDLY」から、甘く艶やかなギターサウンドを意気揚々と奏でた。GLAYで魅せるギタープレイとはまた一味違う、ジャジーでブルース・フィーリングで時にロック。TAKUROのバックボーンが垣間見える深く艶やかなプレイは一発で聴衆の心を撫でるように、掴むように、抱きしめるように捉えていた。

 この日のバンドは6人編成にゲストのトランぺッターを迎えたメンバー構成。音の呼吸は抜群に弾み、ムーディーなサウンドにキレ味鋭い演奏が飛び交う垂涎の迫力。TAKUROの「バンドは今メチャメチャ温まっている。みなさんツイてますよ!」という言葉も納得の出だしだ。息が弾んだ音の会話が楽曲を、ライブを、即興演奏を鮮やかに彩り、グルーヴとダイナミズムというライブならではの醍醐味を存分に浴びせていた。

 公式サイトのTAKUROのコメントにある「『Journey without a map』(=地図なき旅)というタイトルの通り、型にとらわれずに自分のギタリストとしての表現力のアップを求めてスタートしました」という内容はライブに染み渡っていた。ギタートーンが踊るように、語るように表現され、メンバーの演奏とエネルギッシュに混ざる。アップテンポな楽曲も、スウィングする演奏も、5曲目「北夜色 Port Town Blues」のようなメロディアスでスローな楽曲も、表現力に満ちたプレイの勢いは、どんなカラーの楽曲でも呼吸が乱れることはなかった。

 ジャズやブルースといった音楽要素が色濃くみられる『Journey without a map II』の楽曲を中心としたセットリストでは、ジャズのライブのような“パートのソロ回し”的なアプローチが多くみられた。ギター2人にサックス、トランペットと「アンサンブル上でリードセクションが映えるパート」が並ぶ中、各人は主役級のプレイを燃え上がるように披露していた。

“GLAY・TAKURO”とは別次元のベクトルで炸裂

TAKURO(撮影=岡田裕介)

 ひとたびTAKUROにリードパートのバトンが回ると、一音一音、言葉を紡ぐようなプレイで圧倒的な存在感をみせる。その姿は、GLAYでのTAKUROの存在感とはまた違う、ソロ公演でのフロントマン・TAKUROの別次元の魅力を知らしめるようだった。

 TAKUROはMCで「インスト曲だから歌詞がいらないのにメロディが一緒に降りてくる」という、曰く“そういった病”に罹っていることを告白する。一瞬、心配とともに「何ですかそれは?」という空気になるが、それがどういったものであるか、TAKUROはピアノの伴奏をバックにアルバムのインスト曲を歌詞付き生歌で披露。その内容たるや、途中から漫談のようになっていたがオーディエンスから湧く笑いがそのクオリティの高さを物語っていた。恐らくライブでしか聴くことは決してないであろう、なんとも貴重なテイクだ。

 また、TAKUROはこの日の“重大発表”として、4月から4カ月連続新曲発表に加え8月17日、18日のメットライフドーム公演を発表した。TAKUROはその旨をオーディエンスに撮影・SNS拡散を促した。

TAKURO(撮影=岡田裕介)

 「自分のキャラが迷走しようとも愛し合ってくれますか!」と、コール&レスポンスを熱く挟み、ライブはスタンディング・スタイルへ展開。「SARAH 派手にやれ!」では美しいツイン・ギターの音色を奏で、ラストはGLAYのカバー「鼓動」をインストで聴かせ、ボルテージもマックスのなか、華麗に走り抜けるように本編を終了させた。

 「やすらぎのチセ」そして1stソロアルバムからの「Journey without a map」などを放ったアンコールでは、インプロビゼーション混じりのTAKUROのギタープレイとメンバーの演奏が大爆発。怒濤のライブ感の熱量が会場を埋め尽くし、『GLAY TAKURO Solo Project 3rd Tour “Journey without a map 2019”』の東京公演は幕を閉じた。“GLAY・TAKURO”とは別次元のベクトルで炸裂させた “Journey without a map(=地図なき旅)”。 TAKUROの音楽愛の深さとこれからの新たな旅への新境地を、全身に浴びることができた一夜だった。

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