制限を決めずにやりたい――、板野友美 挑戦の日々が生んだ新たな輝き
INTERVIEW

制限を決めずにやりたい――、板野友美 挑戦の日々が生んだ新たな輝き


記者:木村武雄

撮影:

掲載:19年03月26日

読了時間:約15分

輝きだしたナチュラルさ

 荒れ道で激しく揺れるバスの中に板野友美がいた。1月放送のテレビ朝日系バラエティ番組『世界の村で発見!こんなところに日本人』に出演した板野は、約24時間かけて南米ブラジルに住む日本人を探した。この移動時間は番組史上最長記録だったという。

 「あまり制限を決めずにやりたいと思っていて。『できない』と思わないで挑戦していきたい。ブラジル渡航も昔だったら『大丈夫かな』という不安を抱いた時点で『できない』という判断をしていたと思う。でもこうしてできたし、自分で制限をかけずに」

 そう語る彼女からは、どこか心の余裕が感じられた。もしかしたらこの1年の活動がそうさせているのかもしれない。「まわりに言われて『もう1年が経ったんだ』と気付くほどでした」。充実した1年だったことはこの言葉からもうかがえる。

 板野は昨年2月、節目となる10thシングル「Just as I am」をリリースした。前作「#いいね!」ではこれまでのダンスナンバーから一線を画し、ポップなナンバーを提示した。このため今後、どのような音楽性に挑むのかが注目されていた。そこで打ち出したのは「自身と向き合うこと」だった。

 自身に手紙を宛ててこれまでの活動を振り返った。彼女が出した答えは「自分らしさ」「これまでの選択は間違っていなかった」。整理できた思いを歌詞にしたためた。

 この年は「Just as I am」だけでなく様々なことに挑戦した。自身初のバンド編成でのライブツアー『板野友美 LIVE TOUR 2018 ~Just as I am~』。久本雅美とのW主演映画『イマジネーションゲーム』など。

 そうした挑戦によって新たな魅力が引き出された。というよりも、もともとあった魅力が輝きだした。その一つに「ナチュラルさ」がある。

 普段の彼女は飾ることはなく、屈託のない笑顔を見せる。冗談もよく言う。そんなナチュラルな彼女にファンは惹かれる。しかし、表舞台に立つとどうしても表情を作ってしまう。そこで3rd写真集『release』(講談社)では、素の表情に迫りたいとスタッフに全てを委ねた。その結果、新たな表情に出会えた。

 ナチュラルは、飾り気のない、無理のない、膨張のないことを指す。表舞台に出ると気を張ってしまうのであろう。しかし、音楽や芝居ではそうしたことは見られない。例えば、映画『イマジネーションゲーム』。

 同作は、経済力を手に入れながらも独り身のキャリアウーマン・早見真紀子(久本雅美)と、若くして家庭を築いたものの自身の将来を見失っている若き専業主婦・池内葵(板野友美)が、あるゲームサイトを通じて出会い、それぞれの人生を見つめ直していく物語。

 親に進路を決められた葵。その役を務めた板野の演技はナチュラル。演技しているようには見えず、演じた登場人物が実在するかのようだった。その理由を聞けば、役柄と、当時の26歳の自分と似ているところがあったからだという。

 「自分が今後どうなっていきたいのかを考える機会があって、そのときにこの作品に出会いました。葵も真紀子も2人の出会いによって『自分はこうして生きて行きたいこと』を決断して。そういう道を歩む姿も自分に重なったし、葵を応援したい気持ちもあった。夫への復讐という怖いイメージが先立つけど、人間らしくて共感できる部分も。悪い女に見え過ぎないように意識したところはあったけど、演じてるというより、葵になった気持ちというか、そのときを一緒に生きているような感じでした」

 「演じず、役と共に生きる」。そのことに気付いたのはここ数年。

 「『こうやって演じよう』と思うと不自然になってしまう。でもそれは演技をするなかで学びました。昔は、お芝居をどうやっていいか分からなくて。AKB48で色んな経験をさせて頂いてお芝居もやりましたが、不自然になってしまう。でもそれは『こうやって見せたい』というのが先立ってしまっているから、ということに気付いて。その人になりきったら自然にできるのではないかと」

板野友美

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