大好きな吉本ばなな先生の作品に出演できた感動
――今作の舞台となるゲストハウス「エンド・ポイント」のセットもなかなか、日本の生活に根差したものが様々に見えて、趣があるように感じましたが、この建物に対して何か印象はありましたか?
最初にこの場所は、ユミにとって“この場所は何だろう?”と思うくらいの強く印象的な美術を想像していました。だから、そこは逆に“もっと違和感があればどうだろう?”と思うくらい、特に強い印象を感じることはありませんでした。でも逆に温かい雰囲気のお店だなという感じはありましたね。セットにあったインテリアや空気感は、韓国にも今たくさんあるので。
――では今回、名古屋での撮影をおこなってはいるけど、撮影に対してそれほど緊張した感じでもなかったと?
そうですね。名古屋もこれまでツアーでたくさん来ていましたし。あと少女時代のメンバーのみんなが名古屋を大好きで、来る時にはひつまぶしを食べたり、一緒に遊んだりした思い出もあって。その意味では、慣れた場所でもありました。
――今回、日韓合作ということもありましたが、その難しさは、あまり感じませんでしたか?
逆にほかの俳優さんやスタッフさんたちのほうが、もっと大変だったのではと思います。唯一現場の俳優の中で、多分私だけが両国の言葉を理解できる人だったこともありますし。また現場では、主に使われる言葉が韓国語だったこともあったので、それほど私は異国に来ているという感じはしませんでした。
――そうでしたか。でも1カ月丸ごと名古屋で過ごされるのは、きっと初めてだったでしょう? ずっと1カ月名古屋にいて、どんな街だと思いましたか?
確かに純粋に長い期間、外国にいて帰らずに泊まったことは初めてでした。私はもともとあまり賑やかな街、観光地を旅行するタイプではなくて、街を歩いたり、ローカルの人が行くカフェに行ったりするのが好きで、どの国に行っても観光地には行かずに、静かなカフェで本を読んだりすることが多いんです。
だからすごく名古屋の穏やかできれいな街が、自分の性格的なところというか、旅行のスタイルとよく合う街だなと思いました。撮影期間はずっとすごく空がきれいで、青空も澄んでいたのが、すごく印象に残っています。
――東京や大阪とはまたちょっと違った感じがありますよね。一方で、初めて台本を読まれた時の、第一印象はいかがでしたでしょうか?
実は、子供の時から吉本ばなな先生の作品の大ファンだったんです。またこの作品は、吉本先生が短編小説の中では一番好きな作品だということですし、すごく楽しんで読みました。
ストーリーからは、単純な男女の別れだけではなくて、傷ついた人、その痛みとか、若い人たちを慰められるような内容がたくさん入っていて、自分もその作品を通して癒やされました。その一方で、女性なら誰でも共感できる感情の流れが、すごく心にとても響いたので、これを自分がうまく表現できるだろうか? という少しの不安もありました。
――ちなみに吉本先生の小説は、韓国語で読まれたんですか?
そうですね。でも読んでからは、次にシナリオと。さらに日本語原作の3バージョンを置いて、どんなセリフが一番よくお客さんに伝えることができるのかをみんなで悩んだり。本からそのまま引用して使ったセリフもあります。
――とても勉強心旺盛ですね。先日おこなわれた完成披露上映会の舞台挨拶で、実際にはご自身演じられたキャラクターと、ご自身の性格が“ちょっと違う”とおっしゃっていましたが、具体的にご自身と似ているところ、違うところとはどんなところでしょうか?
ユミというキャラクター、原作ではミミという子なんですけど、彼女は良い環境で育った人なんです。だからこのストーリーに描かれている時までは、人生の中で大きな痛みなどに出会ったことがない、本当に純粋な女性。家族も立派な身分を持ち、本当に幸せな家庭で育った人で、このストーリーで起きるようなことについては“本当に私にこんな怖いことが起こるのか!?”という予想もしていなかった、そんなところは、私と似ていると思います。
逆に違うところは、ちょっと鈍感な部分(笑)。例えば、彼氏と全然連絡がとれないのに、疑うことがないなんて…私だったら連絡をしている時に“おかしい!”と気づいていたんじゃないかなと思います。どちらかというと、私はプライドが高いほうだと思うし(笑)。だから、向こうの反応が全然ないのに、そこに未練たらしく思ったりするよりは、反応がないのだったら”もういいわ”と、こちらから振ってしまうくらい。そんな性格が、ミミとは違う部分ではないかなと(笑)













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