ACIDMAN、『Λ』の結実 ツアー、日本武道館を総括 追い求める音楽の根本
INTERVIEW

ACIDMAN、『Λ』の結実 ツアー、日本武道館を総括 追い求める音楽の根本


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年12月09日

読了時間:約20分

胸を張る生き方

――さて、この1、2年の活動は一つの括りとして表せられると思いますが、20周年を迎えてのこの1、2年での変化など、何か感じることはありますか?

浦山一悟 『SAI』というフェスで、自分でも夢をみているような時間を過ごさせてもらって、20年間やってこれて良かったというのもあるし、何よりも自分が色んな人に支えられてきて、感謝の気持ちがやっと芽生えて。その気持を大事にしようと思っている21周年目です(笑)。

――一悟さんは優しさが滲み出ているので、普段からそういった感謝の気持ちを持っていると思っていましたが(笑)。

浦山一悟 この中で一番ドライです(笑)。自分でも泣いたこともなかったし、色々と無感動みたいな。大木がいつも「感謝の気持ちが凄く大事なんだ」と言っていることが身に染みてわかってきたこの2年というか1年というか、そういう感じです。

浦山一悟

浦山一悟

――佐藤さんはいかがでしょうか?

佐藤雅俊 『SAI』であれだけの素晴らしいアーティストが一堂に集まり、総合プロデューサーも大木で、ああいう幸せな一日を過ごさせてもらったのは続けていられたからなので、付いていって良かったなと思った、そんな感謝の気持がありますね。武道館もそうですし、そういう気持ちを少しでも返していけるように頑張っていきたいなというこの1、2年です。

佐藤雅俊

佐藤雅俊

――『SAI』のときの大木さんの言葉が凄く印象的で、「ファンの子達と僕らは一緒なんだよ」と。

大木伸夫 たまたま僕らは凄くカッコいいことをやれているように見えているだけで、形が違うだけで、みんな苦しんで生きていて、みんなどこかでそれをなんとか解消して生きていて。ミュージシャンは夢をみせなければいけない商売だから言う言葉じゃないかもしれないけど、そこに共通ワードがあるような気がするんですよね。全員一緒だなって、それはいつも思っています。

 僕はあのときに一つ確信というか感覚が手に入れられて。それは、色んな人にめちゃくちゃ支えられている実感というか。そして本当はライバルであるはずのバンドが、ライバルではなかった、むしろライバルなんだけど、実は彼らがいなかったら僕らはどのバンドが欠けていても、もっと早めに解散していたかもしれないし。こんなモチベーションで音楽をやっていなかったかもしれないし。

 バンドというひとりでやっているようなイメージがあったけど、全然違うんだなと。色んなシーンがあって、ちっちゃなロック村だけど、そこにめちゃくちゃ支えられていたんだなというのがあったので、後は胸を張ろうと思いまして。そこからはずっと胸を張る生き方をしていますね。

――ということは、このツアーは胸を張った中でまわってきたという感じですか?

大木伸夫 そうです。だから今回のアルバムに関しても、もちろん不安はあるんだけど、みんなが聴きやすいように作りたいという欲望はあるんだけど、結局は自分の表現でしかないので、改めてこれをただただ胸を張って堂々と届けると。そしてその人達が本当に感動してくれたらずっと聴いてくれるだろうと。クラスに一人オカルト好きな奴がいるとするじゃないですか? 今までそのオカルト好きを全員に広げたかった活動をしてきたけど、一人にめちゃくちゃわかってほしいというか。オカルト好きに。そういう気持ちになって。そうするとクラスというよりも、もう世界中にその世界が好きな人がいっぱいいるので、それでマジョリティじゃなくてマイノリティになる瞬間もあるかなと思って。そのためには僕らが胸を張ってやるしかないかなと思っています。

――「マイノリティになる瞬間」ですか。

大木伸夫 あると思うんですよ。大袈裟な話、ガリレオ・ガリレイは地動説を唱えていたけど、それは超マイノリティで、断罪もされたし、糾弾もされて。でも今はそれが常識として当たり前になっているんですよね。だからそういう価値観だけで、みんながオカルト好きになるかわからないけど、ある日、本当にUFOが攻めてきたら全員がUFO、宇宙人を信じる訳で。変な話になったけど、そういうきっかけになればいいなと思っています、目に見えない世界、まだわからない可能性、生きることの美しさ、残酷さ、そういうものを提示できるバンドでありたいなとずっと思っているんです。

――大航海時代、例えばコロンブスはインドを目指したはずがアメリカ大陸に流れ着くわけですが、当時からしたら海の向こうは未知の世界。僕らは常識が、当時は非常識の世界。でも僕らが宇宙は未知の世界であるように、後に振り返った時に宇宙の事、それこそ宇宙人とかは常識になっているかもしれませんね。

大木伸夫 そうだと思いますよ。

大木伸夫

大木伸夫

――ACIDMANさんの活動をみて、20周年はもちろん大事ですが、そのなかで何をやるのか、ということが大事だなと思いました。濃厚な時間を過ごされて、どういうものになったのでしょうか。

大木伸夫 その答えはまだわからないかもしれないです。たかだか20年なので。もう何年かして、この20周年の総括ができるんじゃないかと思って。今はまだ先を見て目指しているモチベーションだけなので。それをもうちょっと、自分の人生を振り返ったときに「あの20周年で自分はこう変われたな」とか「よりポジティブになれたな」とかわかればいいと思うし。逆にネガティブになるかもしれないし。それはまだ旅の途中という感じですね。

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