TENDERLAMP「人に寄り添える音楽を」元ChelsyのAMIがソロでやりたいこと
INTERVIEW

TENDERLAMP「人に寄り添える音楽を」元ChelsyのAMIがソロでやりたいこと


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年12月04日

読了時間:約10分

 元ChelsyのドラマーAMIのソロプロジェクト=TENDERLAMPが11月28日、1stデジタルシングル「jealousy / SNOWDOME」をリリース。2014年にガールズバンドChelsyのドラマーとしてデビューし、アニメ『アオハライド』挿入歌「I will」などがヒット。AMIはChelsyの活動と並行して、舞台や映画に出演するなど多岐にわたって活動。Chelsy解散後、今年6月にTENDERLAMPとして1stシングル「あなたいろ / ベテルギウスのなみだ」をリリースした。「もともとインストゥルメンタルやアンビエントミュージックが好きだった」とのことで、Chelsyとは一転、エレクトロサウンドを聴かせるTENDERLAMP。AMIは「人に寄り添える音楽をやっていきたい」と話す。彼女にTENDERLAMPの楽曲に対するこだわりについて語ってもらった。【取材・撮影=榑林史章】

疲れてもろくなっている人に寄り添いたい

TENDERLAMP(撮影=榑林史章)

――ChelsyではドラマーだったAMIさんですが、このソロプロジェクト=TENDERLAMPでは、ボーカルと作詞作曲をAMIさん自身が手がけているんですね。

 Chelsy解散後のそれぞれの進む道を考えた時に、自分がもっと表現できることがあるんじゃないかと思ってチャレンジしたのがTENDERLAMPです。作詞作曲については、子どもの頃からやっていて、Chelsyの時も作詞作曲をしていました。そういう自分の中の原点である作詞作曲を軸にして、TENDERLAMPとしては活動をしていこうと思っています。

――子どもの頃に作詞作曲をやっていたのは、誰か憧れのアーティストがいたんですか?

 ピアノをずっと習っていて、小学生の頃は、旋律がきれいな音楽に惹かれていました。例えば久石譲さんとか坂本龍一さんとか、どちらかと言うとインストゥルメンタルで旋律のきれいな音楽が好きだったんです。

 中学生になってからは椎名林檎さんにハマって。日本語の美しさとか、林檎さん独特のオシャレな旋律が好きになって。哀愁感と言うか、ちょっとセンチメンタルになるような曲を自分でも作りたいと思うようになりました。そもそも曲を作る時は1人だし、1人の時はセンチメンタルになるものだから、そういう感じの曲を作っていたんです。その当時作っていたような感じを、TENDERLAMPでも表現したいと思って、テイストとして少し入れていますね。

――TENDERLAMPという名前の意味は、「やさしい光」みたいなイメージですか?

 まさしく、そんな感じですね。TENDERという言葉は、もろいとか儚いといったイメージがあって、LAMPはランプの光のことです。社会にもまれて疲れちゃって、ちょっともろくなっているような人がたくさんいると思うんです。私の身近にもそういう人がいて、音楽をきっかけに一歩を踏み出すことができた経験があって。私はそれで、音楽にはそういう力があるんだなって。それで、そういう人を照らす光になりたいと思って、TENDERLAMPと付けました。

――デビューシングルの1曲「ベテルギウスのなみだ」のMVには、ランタンが出てきますけど、あれはTENDERLAMPの象徴のような?

 そうなんです。シンボルみたいな感じで作りました。今作の1曲「jealousy」のスタジオライブの動画にも同じランプが出てくるのですが、ライブでも必ず傍らに置いてあったりしますね。単純にああいうランプの光が好きだというのもあって、キャンドルの光みたいな動いてる光とか、クリスマスツリーの飾りの電飾とか、子どもの頃から好きなんです。

――Chelsy時代からのファンは、どんな反応ですか?

 バンドではドラマーとして生きてきたので、それがいきなり作詞作曲をすることを掲げて歌うのは、正直緊張していました。でも自分の中では、バンドでドラムを叩くことも、TENDERLAMPで作詞作曲をすることも、お芝居をすることも、どれも変わりがなくて。表現方法が違うだけで、心から出るものだから同じだと思っています。そういう思いでドラムを叩いていましたし、このプロジェクトもそう思っています。

――お客さんは、「え! ドラム叩かないの?」ってならなかったですか?

 最初はそんな反応もありましたが、今ライブに来てくださるお客さんは、その部分を分かってくださっていますね。

――1stデジタルシングル「jealousy/SNOWDOME」がリリースされていますが、曲はピアノを弾きながら作っているんですか?

 そうです。先にコードとメロディを考えて、DTMで打ち込んで。ある程度形にしたものをアレンジャーの桑っち(桑原康輔)さんと仕上げていくスタイルです。

――ドラマーなだけに、やっぱりリズムやドラムの音にこだわっているんですか?

 スネアのリバーブとかには、たぶんうるさいと思います(笑)。「jealousy」は、Bメロにすごく大きなリバーブのかかったスネアの音が出てくるんですね。そこはすごくこだわっていて、そこがこの曲でもすごく好きなところです。そういう私の好みも、アレンジャーさんとエンジニアさんが理解して一緒に作ってくださるので、すごく嬉しいです。

――「jealousy」は、切ないラブソングですよね。

 人間って誰しも嫉妬することってあると思うんです。好きがゆえに、好きすぎて相手を苦しめてしまったり、自分自身が苦しんだり、そういう不思議なところがあって。この歌は、人間のそういうところを描いています。不器用なところって言うか。

――人間くさい部分と言うか。

 でもそれは、うまく作用しないからもどかしいのであって。元にあるのは愛だから、決して悪いことではないんです。そういうところを描きたかったんですね。だから私が書きたかったのは、誰かを攻撃するようなジェラシーではなくて、ひとりで頭の中で悶々として考えるほうのジェラシーなんです。だからメロディやサウンドも攻撃的ではなくて、音的にもやさしい生ピの音を出したりとか、頭でぐるぐるしちゃってる雰囲気を表現したくて、ふわふわした音にしています。

――そんな風にもやもやしてる女の子が聴いて、共感したり癒やされたりしてくれたらいい?

 そうそう。そういう時って、音楽を聴きたくなるじゃないですか。そういう時に、少しでもそこに寄り添えることができたらいいなって。

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