サイダーガール「一瞬一瞬を大切にしていきたい」刹那的な美しさを音楽に
INTERVIEW

サイダーガール「一瞬一瞬を大切にしていきたい」刹那的な美しさを音楽に


記者:桂泉晴名

撮影:

掲載:18年12月01日

読了時間:約14分

音を聴いて匂いがする曲だったらいいな

――1曲目の「アクセル」はThe Beatlesを意識したそうですね。

知 The Beatlesを意識したというのは、曲の短さもあるんですけれど、後は全員がメインボーカルになる部分でのThe Beatles感、というのを意識していて。前についてくれたプロデューサーの方から「楽器を鳴らすのもバンドだけれど、みんなの声が、それぞれ個性があるのもバンドの強みだから」と言われていて。それからずっと全員の声を入れようという気持ちになっていたんです。前まではコーラスを録る時もYurinくんに歌ってもらっていましたが、「約束」という曲を作ったときくらいから、ハモりを僕がやって、コーラスをフジムラと一緒にレコーディングしてくれたマネージャーとやっていて。それをもっとわかりやすくしたのが「アクセル」かな。僕は自分ではハモり声だと思っているんですけど、フジムラは結構特徴ある声なので、レコーディングした後、音量を下げても下げても、出てくるんです(笑)。

フジムラ マネージャーと僕が歌ったんですけど、マネージャーの声が全然聴こえなくて。僕だけソロみたいになってしまって。

Yruin フジムラの声って、どの楽器にもない帯域なんじゃない?

知 それはやっぱり使わないともったいないな、と思って。

――「アクセル」の曲調はメロコア的ですよね。

知 やはり早い曲が好きだから、と好みでしかないです(笑)。この曲のThe Beatles感というのは、説明しないとわかってもらえないかもしれないんですけど、逆に説明したらわかってもらえる部分がたくさんあるかと思っていて。伝わったらいいなと思っています。

――中盤の6曲目「最終電車」はそばにはもういない人を思った切ない歌詞ですが、音はカラフルですね。

知 この曲はスクラッチ音も入っているけど、ちょっとオリエンタルな曲です。オマージュではあるんですけれど、久石譲さんのなんとも言えない、夏の終わり感というか。匂いがしてくる感じをバンドでもやりたくて。なんとかしてできないかな、と作り始めたのがきっかけでした。「最終電車」は音を聴いて匂いがする曲だったらいいな、と思っています。

――五感に訴える感じを大事にされているんですね。

知 共感覚的な部分がほしいのかもしれないです。誰でも感じられるようなもの。だけど普段は意識していないものみたいなところに、音楽でアプローチできたらと。

――音楽と匂いの関係というのも、おもしろいですね。

知 逆に僕は匂いから思い出すことがあるんです。でも、音楽から匂いを思い出すというのもあんまりないなと。難しいことではあるんですけれど、少しでもそういうところに届いたらいいなと思います。田舎育ちなので、実家の畳の匂いとか。僕は北海道出身なので、夏はカラっとしているんですよ。家の近くにも原っぱとかあって、よく学校をさぼって、そこで寝転がりながら本を読んだりしていました。本当にカラカラの草の上に転がったりすると、すごく気持ちいいんです。

――育ってきた環境が曲に影響しているんですね。

Yurin 東京の終電は人が多いじゃないですか。でもこの「最終電車」の曲の中では、人がいない。そういうところも、故郷のノスタルジックな感じとつながっている気がします。

――そして弾き語りの「スパイス」はYurinさん作詞作曲です。

Yurin この曲は最後の方にできた曲です。1stアルバムのときも弾き語りを入れたいな、という思いはあったのですが、その時は入る隙間がないというか。あれはあれで流れが良かったので、次の機会にしようと思っていて。2ndアルバムで流れを見たときに、「dialogue」という曲がスケールの大きい曲で。ストリングスとか楽器もいっぱい入っているから、逆に歌とアコギ一本で、すごくせまい部屋の感じを出したくて。「スパイス」と「dialogue」の真逆さがきれいに出たかな。「スパイス」は身近なものを身近に感じてもらいたいというか。さっきの匂いの話じゃないですけど、曲を聴いていて、「こうやって曲を作っているんだな」といった曲作りの風景が脳内に浮かべばいいなという感じですね。

フジムラ この曲を聴くと、缶コーヒーの味がしてくるんです。

――<缶コーヒーでも買ってみる>という歌詞がありますし、コーヒーのほろ苦い味を感じさせる曲調ですよね。

フジムラ 僕は結構味覚に注目することが多くて。

――知さんは匂いで、フジムラさんは味覚?

Yurin そういえば「化物」もラーメンの曲ですしね。

――そうだったんですね。確かに<即席の願いを次々飲み込んで>とか、<でも頬張る分だけどんどん膨らんでいくよ>といった歌詞でしたね。

Yurin 「ミスターデイドリーマー」も、サビの前の<気楽に行こうぜ>という歌詞があるんですけれど、僕らが大好きなラーメン屋に“きらく”というのがあるので、この歌詞を見るとそのラーメン屋を思い出すんです(笑)。フジムラの曲、2曲ともラーメンの曲ですね。

――ははは! でも本当に五感ですね。ちなみにYurinさんは何の感覚が強いですか?

Yurin 僕はわりと映像っぽい歌詞を書こう、ということは意識していて。どちらかというと視覚的ですね。

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