振り切れて幅が広がった2ndアルバム
――2ndアルバムの制作にとりかかるとき、どういう作品にしたいと思われましたか?
Yurin 1stアルバムでも今までやらなかったことに挑戦し、それをライブで育てていって、すごく手応えがあったんです。そしていざ2ndアルバムというときに、「もっと広げて、さらに掘り下げていくようなアルバムを作れるんじゃないかな」と感じたので。実際に1stアルバムと比べても、より振り切れて幅が広がったアルバムを作れたのではないかなと思います。
――幅を広げる分、制作過程では悩むことも多かったですか?
フジムラ そうですね。もともと今までにないものを作るというところでは、いつもどおりだったんですけれど、4曲目の「化物」は世間的に「サイダーガールはさわやかだ」というイメージを自分の中で覆したかった気持ちもあって。逆にお客さんはどういう反応をするだろうと不安はありましたが、ライブでやってみると、皆さん気に入ってくれて。「これはやっちゃいけない」といったものは、意外とないのかなと感じました。
Yurin 今回はリード曲の「サテライト」、「パレット」、「約束」で今までのサイダーガールっぽいことはできていたので。アルバムならではのフックの効いた部分を作りたいなというのは、ありましたね。
――「化物」はフジムラさんの曲ですよね。ジャズっぽくて少しクールなナンバーです。
知 普段フジムラが持ってくるデモの100億倍良かったです。僕は好印象でした。
フジムラ 自分も100億倍くらい良いのができたと思うので(笑)、100億倍自信があった(笑)。
知 普段はフジムラ自身が見えない曲が結構多いなと思っていたのですが、この曲はちゃんと考えて出てきたんだなとわかるし。新鮮で単純にいいな、と思いました。
フジムラ 自分らしさって意外とわからないんです。でもこの曲を作って、なにかをつかんだ気はします。
Yurin 今までのフジムラの曲は、自分らしさというか、誰でもないなという感じの方が強かったかもしれないです。でもこれは、核の部分がちゃんと見える。
――5曲目の「ぜったいぜつめい」は、みんなで歌い踊りたくなるような曲で。
Yurin わりと前作でやったことを踏襲して、四つ打ちのちょっと明るめというか、みんなで騒げる曲みたいなのを作ろうとなって。結構派手にしたかったので、いろんなエレクトロ要素がある音を入れたり。決めとかも多くて、曲で遊べたかな。
フジムラ 前作も「メランコリー」という曲があって、それもジャンルとしては同じように四つ打ちでノれる曲なんです。でも違う点は「メランコリー」は結構シンセサイザーが引っぱっているんですけど、「だったいぜつめい」は、バンドサウンドが軸になっているので。そこで差別化できて、違う方向に行けた気がします。
――タイトルがひらがななのは、なぜでしょう?
Yurin 最初は漢字だったんですけれど、曲と歌詞が斜に構えているイメージをだったので、ひらがなの方がそういう斜め上の感じがあるかな、と。
フジムラ 曲名からもYurinぽさが出ています。
Yurin 絶体絶命だけど、そんなに考えすぎないというか、「何とでもなるか」みたいな気持ちが強いのかもしれないですね。
――7曲目の「ミスターデイドリーマー」も、「気楽に行こうぜ」といっていて、前向きな明るさを感じさせます。
フジムラ 自らを鼓舞するというか。曲調が明るいわけではないので、マイナスの気持ちを引きずったままで歌詞を書いてしまうと、本当に暗いだけの曲になってしまう気がして。そこは1回振り払って、ポジティブな歌詞を書いたんです。そうしたら自分でもとても気に入りました。
知 すごく二枚目の歌詞になっています(笑)。
Yurin 結構長く一緒にいるので、われわれの先入観もあるかもしれないんですけれど、気障だなあってところもあって(笑)。マネージャーから「ミスターデイドリーマー(笑)」といつも言われているんですよ(笑)。