フレデリズムの源流
10月31日未明、電波に乗ってある曲が流れた。その直後、ツイッターに多くの書き込みが起きた。「かっこいい」「今までにない感じ」「成長角度が凄い」。どの書き込みも彼らの新曲を受け入れるものだった。新曲が初解禁された瞬間のドキドキ感は何年経っても変わらない。
その曲こそフレデリックの新曲「LIGHT」だ。
MV撮影で、康司は我々に手ごたえをこう口にした。
「歌詞が多くなくて、一つ一つの言葉の重さやはっきりとしたテーマを伝えられるにはこういうビート感ではないかと思いました。物凄く良いバランスの音像感はできました。ダンスミュージックと言っている限り、どこでも踊れるものを目指すのは自然な流れ。洋楽にはそういう部分で素敵な曲が多い。それを自分たちが再現するうえで最適な楽曲が『LIGHT』でした」
康司が言う、この曲で示した「ビート感」とは何だろうか。
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フレデリックを語る上で欠かせないのが「リズム」である。
そのきっかけは「オドループ」と言っても過言ではない。そして、自身初の全国ツアー『フレデリズムツアー』でそれが確信へと変わり、ドラムスとして、それまでサポートで入っていた高橋武が正式加入したことで土台がしっかりと出来上がった。
その過程で発表した「たりないeye」「飄々とエモーション」ではbpmをぐっと落とした。テンポが遅くなったことによって生まれる「間」、それは一つ一つの言葉や音が際立つことを意味する。その分、バンド力が試される。この曲で見事にそれを成し遂げた彼らがそれを経て発表したのが新曲「LIGHT」だ。
踊る音楽でありながらも言葉をしっかりと届ける。そのスタイルを確立したのがこの曲であり、高橋武の言葉を借りれば「フレデリックの根幹をみせた」曲なのである。
ではどのようなものになったのか。長年、取材している我々からすれば「地殻変動」とも言うべき大変化だ。
端的に言えば、洋楽的アプローチのダンスミュージック。彼らの代名詞であるダンスロックは、ギターをベースとしたエレクトロへと進化を遂げた。
邦楽の多くは、Aメロ、Bメロ、Cメロ(サビ)という流れがある。洋楽の場合は、同じリフをループさせることが多い。「LIGHT」は後者に近い。
そして、そのアプローチは、今回のMVでも視覚化された。