全人類に刺さる音楽、SHERBETS・浅井健一　確固たる信念で紡ぎ出す音の世界

人との相性が全て

――過去にもSHERBETSはベスト盤『SIBERIAN MADNESS（2005）』をリリースされています。その時は「HIGH SCHOOL」や「ジョーンジェットの犬」などを再録されていましたが、今回は再録の案もあったのでしょうか。

　今回は再録の話は出なかったね。もうそのまま出そうとなった。

――新曲も初回盤に「愛が起きてる」通常盤に「Yesterday」の２曲が今回収録されていますが、初回盤に収録されている「愛が起きてる」は宇宙を強く感じさせる曲になっています。浅井さんは宇宙をどのように捉えているのでしょうか。

　みんなの故郷かな。好きだから宇宙のことは少し気にしているよ。

――宇宙に行ってみたいという思いはありますか。

　絶対行きたくないね。だって宇宙船とかすごい狭いところに押し込められるわけじゃない？　窓も開けられないし、そんなところに何時間も…俺はそんなの嫌だわ（笑）。まあ、確かに月の裏側にいるとか凄いことなんだろうけど、あの狭い部屋がダメ。たぶん俺は閉所恐怖症だと思うからさ（笑）。

――そうでしたか。

　おそらくね。でも、宇宙に行かなくても宇宙には行ける気がするんだよね。

――それは音楽も関わってくることですか。

　そこは難しい話になるから詳しくは話さないけど、音楽も関わっては来るかもね。

――「愛が起きてる」はサウンドももちろんですが、タイトルもすごく良いですね。

　これは斬新でしょ。地球のどこかで愛が起きてるんだよすでに。すごく前向きな言葉だよ。

――歌詞から広がっていった感じでしょうか。

　いや、これはセッションしながらイントロのリズムから出来ていったんだよね。それもあってMVが面白いよ。メンバーみんなで踊ってるからさ。

――えっ！　みなさん踊られているんですか。

　そう（笑）。踊りってその人が出るよね。そのビデオを観てもらえればメンバーの人間性がわかるよ。そういったビデオは初めてだからね。

――浅井さんは踊られてみていかがでした？

　楽しかった、踊るのは好き。昔、よく踊りに行っていたからさ。今みたいなクラブじゃなくてディスコの時代だけど、踊るのは大好きだね。

――私は人生でほとんど踊ったことがなくて…。

　それは人生損してるよ（笑）。踊った方が楽しいよ。人間ってさ踊る動物で、その行為は原始時代から備わっていると思うんだよね。踊ることは重要でそこに喜びがあると思う。例えば、盆踊りって側から見ているとどこが面白いのかと思うんだけど、これが踊ってみると楽しいんだよ。

――今度踊ってみます！　さて、20年という大台に乗ったわけですが、バンドを続けるのに重要なことは何だと思われますか。

　人との相性が全てで、一人でも相性が合わなかったらこんなにたくさん曲も出来なかったと思うんだよね。あとは、SHERBETSの音楽を欲してくれた人がいてくれたということ。それには自分自身が聴きたいと思える音楽を作り続けていかなければいけないし、それをちゃんと理解してくれているファンの人達がいてくれたからだね。その２つが上手い感じに回って来れたから20年も続いて来れたんだと思う。

――理解者を作ることが重要ということですか。

　違う。頑張ってたらたくさんの人が好きになってくれた。俺らはいつも先のこととか考えてはいなくてさ、その都度、格好良いアルバムを作ろうというのがみんなの中で自然にあって、みんなで集まると良いものが作り続けることが出来たんだよね。昔は昔で凄いなと思っていたんだけど、ここ最近の３枚のアルバム『STRIPE PANTHER』『きれいな血』『CRASHED SEDAN DRIVE』は凄く良いんだよね。自分としてはその最近のアルバムが好きで、そういったものが作り続けられているのは嬉しいかな。

――確実に進化されていますよね。

　何かが進化しとるね。自分の中ではアルバムが出来る度に気づくことがあるんだよね。ツアーでも発見があったり。それは今でもあるね。

――その発見もバンドが続く要因かもしれませんね。もちろん昔の作品も良いのですが、DISC3に収録されている曲を聴いて、改めて凄いなと思いました。こうやって時系列を追って連続で聴いていると、どんどんバンドが成熟しているのが良くわかりました。

　昔の曲も今の曲も良いと思ってもらえるのがバンドとしてはいいよね。

――世間では長く続けていると、思い出補正もあって昔の方が良かったと言われることが多い節もありますよね。私は未来がさらに楽しみになるベストだと思いました。ちなみに浅井さんは未来のことも考えてますか。

　未来についてはそんなには考えてないかな。仲田君がいつまで出来るかもわからんしね。この前、仲田君が大病をして危なかった。今は復活したんだけどさ。ちょっと心配してる、それもあってというか、今回是非ライブを観に来て欲しいよね。