あなた達の先輩、BURNOUT SYNDROMESでした!

ライブのもよう

 ここからライブコーナーへ。生徒たちもスタンディングで待機し、盛り上がる準備は万端といった様子。そして、SEが鳴り響き、勢いよくステージに飛び出してきたのは廣瀬と石川。2人に続いて最後は熊谷が颯爽と登場し、昂揚感を高まらせる石川の「行けますか? エビバディ!」の煽りから「文學少女」でスタート。歌詞を<西大和学園と僕らとの小説を書いてる♪>とこの日ならではのニクい演出も。エキサイティングなロックサウンドを響かせると、生徒たちも手を振り上げ、そのバンドの放つ熱に応える。熊谷も「ありがとう! 最高です!!」と言葉を投げかける場面も。

 続いて8月に配信リリースされた「世界を回せ」を披露。ライブのために作られたといっても過言ではないナンバーは、テンポ180というバンド最速の疾走感も相まって全てを解放するかのような熱さを感じさせた。その熱をかき回すかのように生徒たちもタオル回しで応戦、序盤からクライマックスのような盛り上がりを見せた。

 メンバー紹介で石川は「自慢の後輩たちを廣瀬に見せることが出来て良かったです」としみじみと話し、更に「3人対600人だとは一切思っていません。3対1、いつだってあなた一人に正々堂々勝負を挑みたい。この後もあなたのためだけに歌います」と、外へ向かうエネルギーが存分に詰まった1曲「花一匁」。まさにここにいる一人ひとりに届けるように、一心不乱の演奏。自分たちの生き様をぶつけるかのようなパフォーマンスだった。

 その熱が伝染したのか、生徒たちの振り上げる腕がより力強さを増していくのが感じられたのは、メジャーデビューシングルの「FLY HIGH!!」。サビでシンガロングも誘発させ、一体感のある空間を作り上げていたのが印象的だった。熊谷は「歌って笑って嬉しかった! 最後、母校に捧げます」と投下されたのは「ヒカリアレ」。タッピング奏法を取り入れたギターソロで沸かせ、感情を揺さぶりかける3人の全身全霊の演奏で、会場が満たされるなか、「西大和学園のBURNOUT SYNDROMESでした!」と言葉を残し、ステージを後にした。

 間髪入れずに鳴り響くアンコールを求める声に、ステージに戻ってきた3人。ここで熊谷が前半のトークコーナーで出てきた「大切な友達ができる」ということについて、熊谷は学生時代の友人との話しを明かしてくれた。そのなかで友人は当時、音楽を生業としていくと決めた熊谷について「なんて馬鹿なやつなんだ」思ったという。しかし、その友人も今では熊谷の選んだ道は正しいと認めてくれた。その友人は「引かれたレールの上に輝く未来が待っていると思っていた。でも、今やっている仕事にやりがいを感じていない」とゴールだと思っていたことがゴールではなかったと熊谷に話したという。熊谷はその話を聞いて「すごく寂しいことだと思いました…。そのレールは今皆さんの足元にあります。今は熱意のある先生と共にそのレールを走るべきだと思います」と語る。

 さらに続けて、「だけどひとつだけ覚えておいて欲しいのは、いつかそのレールはプッツリと途切れて、何が正しいかはわからない世界、日々が必ずやってきます。それはおそらく皆さんの10年後ぐらいにやって来ると思います。僕らだって今やっていることが正しいのかなんて永遠にわかりません。その時にひとつだけ支えになるものがあります。それは自分らしい生き方が出来ているかどうか、自分にしかやれないことが出来ているかどうかです。僕らのように『生きろ』とは言いません。でも10代からそれを考えるのはすごく大切です。自分の好きな、得意な仕事に就けたならば、40年でも100年でも楽しく人生を過ごせると思います。僕らのこのライブを観て、それを考えるきっかけになれば…」と熊谷は後輩へメッセージを送った。

集合

 自身の経験から得たものを伝え最後の曲に選んだのは14歳の時に書かれた楽曲「ラブレター。」。この曲で『閃光ライオット』で準優勝し、プロの道を目指したバンドにとって重要な1曲。<何も恐れることはない♪>とエールを送るように情感を込め歌う熊谷、そのメッセージを余すことなくしっかりと受け止める生徒たちの姿。熊谷は「あなた達の先輩、BURNOUT SYNDROMESでした!」と締めくくり、この場所でしか生まれないエネルギーを完全燃焼したステージだった。8年越しとなったBURNOUT SYNDROMESの記念すべき“初”『西大和祭』のライブは大団円を迎えた。

 どこかメンバーも当時の姿に戻ったかのような瞬間、叶わなかった2009年のステージを今再現しているかのようにも感じたステージだった。それもあって会場には通常のライブとは違う感情が飛び交っていた。光り輝く未来が待っている後輩たちにしっかりと、BURNOUT SYNDROMESの生き様を映した背中を見せることが出来たライブは、生涯忘れられない思い出になったはずだ。それは終わった後のメンバーと生徒たちのキラキラとした笑顔がそれを強く物語っていた。

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